ヘブンリーホームシック ネタバレ感想です。

京山あつき先生の異国の地での再会ものです。ノンケ同士、生活環境の違う異文化の外国ということが、2人を近づけそして遠ざける。

「寂しさ」なのか「恋」なのか、自問自答しながら覚悟を決める2人は、いかにして「バカップル」になるまで歩みを進められたのでしょうか。


“好き”だけで、触れたわけじゃない。




【あらすじ】

「ねえ、オレらゲイなの?」

イギリスで再会した元同級生の太田(おおた)と行貞(ゆきさだ)。ホームシックで参っていた2人は足を絡め、腕を抱き、ひざ枕を許したり……。その行為はしだいに心も浸食し、互いに離れがたい存在になっていた。

ある夜、ベッドですり寄って来る行貞にたまらなく愛しさがこみ上げた太田は、強引にキスをして、衝動のまま欲望を押し付けるのだが──。非日常に揺れるエロティック・異国ステイ。

「ヘブンリーホームシック」 京山あつき



元同級生の異国ラブ



「すのーふれーくす」と同時期に発売された京山あつき先生の、異国もどかし再会ラブです。

仕事でロンドンに転勤になったリーマンの太田(攻)は、最初は華々しい海外赴任に意気揚々と出国するも、1か月で孤独の限界がきてしまいます。

文化の違う国でひとりで暮らすことが寂しく泣いていると、偶然、高校の元同級生の行貞(受)に出会います。行貞のほうも仕事でロンドンに赴任中でしたが、こちらもホームシックにかかっていました。



異国の地でスキンシップ



言葉のみならず差別や味覚の違いなど不慣れな異国の地で、日本人の元同級生に再会。

これは男女でなくても安心して急速に距離が近付いていくでしょう。外国で暮らすというのは想像以上に大変なことだらけですし。

お互いにとって心強く、寂しさを紛らわせるよい相手として、一緒に食事したりしながらスキンシップも増えていく2人。

友達としてのつきあいのはずなのに、ある時太田がキスをして止まらなくなり、行貞を襲ってしまいます。もちろん拒絶する行貞。最後まではせずとも口でシて「天国みたいだろ?」と太田。

つい欲情して流されてしまうのは、異なる土地で求めていた人の肌のぬくもりというものに触れてしまったからですね。とはいえ太田の行為は無理矢理に近く、褒められるものではありませんが。。。



求めあう人のぬくもり



その翌日以降、行貞はパタリと太田の部屋に来なくなってしまいます。「時間が戻せたら」後悔する太田は、なんとしても行貞とまた会いたいと、つなぎとめることに必死。

異国の地でやっと見つけた人のぬくもり。好き嫌いがどうという気持ち以前に寂しさに耐えられない太田は、やっとのことで行貞をスキヤキに誘い「もうあんなこと絶対しない」と行貞に告げます。

余裕がなく捨てられたくないという気持から必死な太田は、食べ物で相手を釣るという手段に終始しますが、これには行貞も「食べ物しかないのか」と、ちょっと呆れ気味w


古今東西、胃袋をつかむというのは大切なこととはいえ、いつもいつも食事のことばかりだと食いしん坊キャラみたいですね。

行貞も太田も、「寂しいから」一緒にいるだけ。なのにこの気持ちは何なのだろう。

2人は徐々に、寂しさを埋めるためだけに一緒にいるのか恋愛感情なのか、男同士であることや置かれた立場など、自分の気持ちや相手のことを考え始めます。



寂しさを埋めるため?



寂しくて人恋しいから触れ合うのか、それともこれは恋なのか。ふたつの感情が混沌とするままに、微妙な関係のままつきあいが続いていく太田と行貞。

触りあうことはあっても最後まではしなかった2人ですが、「一緒にいるのが自然だった」という結婚する友達の言葉を聞いて、お互いに必要な存在であり、かけがえのない人だと気づきます。覚悟を決め、とうとう結ばれる2人。

「男は太田だけなんだよな」「オレも行貞だけだ」とノンケ同士ですが、ちゃんとHもできてラブラブモードに。。。

夏の休暇で一時帰国した際も、非日常から日常に戻ったら気持ちが覚めてしまうかと思いきや、いっそう絆を深めて。バカップルみたいになった2人がかわいい。もう好きにしてくださいw

イギリスに戻ってから、サラリーマンの宿命でもある転勤話が行貞に持ち上がりますが、お互いに男らしい態度を見せてホッとするようなラストでした。



「寂しさ」から「好き」へ



ノンケ同士というのもですが、生活基盤となる仕事や自分の立場など、リアルというか生臭さというかそんなところも描かせたら本当にお上手なのが京山先生だなあと思います。

「寂しいから一緒にいるのか」と自問自答する2人と、それでも人のぬくもりに触れていたいと求める気持ち、互いに決心して腹をくくる様など、心境の変化がとても丁寧に描かれていて自然に引き込まれます。

「好き」なのか「寂しい」のか、微妙な気持ちのままそばに寄り添う。最初は寂しさを埋める存在だったけれど、寝食を共にしてスキンシップがフ増えるうち、いつしかなくてはならない大切な存在になっていく。


きっかけがどうであれ共に過ごすうち絆が生まれ、そこから恋愛感情へとつながっていったという流れがナチュラルで、読後感がとてもよかったです。

恋なんてたいてい正気じゃないときに始まるもの。寂しさも戸惑いもすべてひっくるめて愛せるようになった太田と行貞の、今後の幸せを心から応援したいと思いました。

どんな人にでもお勧めできる良作です。






京山あつき先生のその他BLコミックス。



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