「家庭の事情で襲われてます」ネタバレ感想です。

三月えみ先生の新刊BL「家庭の事情で襲われてます」は「兄さんとセフレの関係」として先に電子書籍で1話ごとに配信されていたものがまとまった作品です。

絵が綺麗なのでしっとりした大人向けの作品かと思いきや、どこかズレた家族のコメディのような、それでいて家族って何だろうとちょっと考えさせられたり、家族という固定概念にとらわれすぎるのも考えものだなあと思ったり。

人類みな家族!という謎の名言があっぱれでした。


気軽に人に相談事ができるタイプではない真面目な性格の黒木裕真(攻)が心のよりどころとしているのは、芸能人の二階堂奏(受)のラジオ。

顔は見えないながらもフランクな語り口でにラジオのパーソナリティをこなす奏に、不思議と心を許し常連の投稿者になっていた裕真は、父親が亡くなったときのことや好きな音楽のことなど何でも奏に相談していました。

実はこの奏のDJとしての爽やかなお兄さんというのもイメージに合わせて奏が演じているだけですが、さすが芸能人ですね。ラジオのリスナーが求めるような親しみやすくて気のいいお兄さんキャラを見事に演じています。

それもそのはず、奏の母親は有名な実力派女優の二階堂響。両親の離婚後、奏は父親側に引き取られましたが血は争えないということでしょう。

ある日、裕真は会社帰りに偶然奏に会い、流されるように身体の関係を持ってしまいます。しかも後日、自分の母親(裕美ママ)の再婚相手として紹介された人の連れ子がまさかの二階堂奏という痛烈な展開。

さらに母親の再婚相手の要パパは、裕真の勤務先の銀行の支店長。父親になる人が自分の職場の上司というだけでも驚愕しますが、義理の兄になるのが芸能人なんてトンデモすぎて受け入れるのに時間がかかりそうです。

4人で一緒に暮らすことになるも、どこかぎくしゃくしている裕真と奏。ダラダラと身体の関係は続いているものの、やはりしっくりこない義理の兄と弟という微妙な関係が禁忌のようなそうではないような果てしない背徳感を感じます。

裕真の本音に「家族って上書きじゃない。増えるものだよ」と優しい言葉をかける奏。母親の圧力のせいて干されがちとはいえ、厳しい芸能界で働いてきて人の温かみは誰より知っている奏のセリフは真理を突いていて胸を打たれました。

裕美ママの妊娠をきっかけに、女優なのに神出鬼没でなぜか裕美ママと仲良くなる元妻の響さんのおかげでドタバタするものの、いったんはバラバラになった家族がまた再び集結。

裕真と奏も本当の兄弟のように、いやそれ以上の関係として迷惑をかけ合う関係に前進しました。結局、親たちと息子たちは仕事のしやすさから別々に暮らすことになります。

裕真と奏の濃厚なラブシーンを目撃しても表情を変えずに一緒に暮らすマネージャーのマリンさんがさすがです。何気にこのマリン嬢が一番パンチが効いていて好きなキャラでした(笑)

本編にもチラッと出てきましたが、裕真の亡くなったパパと裕美ママは教師と教え子で裕美ママは18歳のときに結婚したとか(そこにかなりのドラマがあったらしい)、奏の両親の要パパと響さんにはローマの休日のようなゆきさつがあったとか、各キャラクターが濃くて裏設定に興味津々です。

マリン嬢が響さんに拾われてマネージャーになったことなんかもそうですが、主役2人を圧倒するバラエティ豊かな脇キャラには楽しい気持ちにさせてもらいました。

しかしそれゆえ、あとがきにもありましたが、ページの数の都合上あふれてしまう設定やエピソードがちょっともったいなかったかなとは思います。

三月えみ先生のアイデアは豊富だということで、入れられなかったものについては今後の作品にぜひぜひ生かしていってくださるものだと信じてやみません。

ドラマチックな2人のBLもいいですが、こういう家族をめぐってのドタバタや家族の形についてちょっと考えさせられるようなお話もいいものだなあと思いました。裕真と奏にはこれからも良き家族として、兄弟として、恋人として、そして生まれてくる妹も合わせて皆で幸せになってほしいです。






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