「私がオジさんになっても 」ネタバレ感想です。

村上キャンプ先生の新刊BLは、ちょっと痛い子の受けとぼんやりした攻めの20年に渡る生活感あふれるお話です。1話ごとに電子配信されていたものがまとまったものですが、毎話必ずエロが入るのはご馳走様でした。

全131ページと少ないページ数ながらも、ちゃんと長い長い時間の経過を感じさせるのがすごいなと思います。5年単位で進んでも唐突感がないし違和感がなかった。話の作り方や構成が優れているんでしょうね。

素朴な絵柄と全体的なローテンションっぷり、そして少しずつ時計が進むようなストーリーがマッチしていて村上キャンプ先生らしい作品です。

惜しむらくはこの表紙が落ち着きすぎていて地味というか、色合い的にもちょっと表紙で損をしているような…ごにょごにょ。

村上先生は「BANBA BURGER」も「スクリーン」も表紙がすごくオシャレだったので意外な感じがしました。何回か見ているとこれはこれで味があっていいなと思えるのですが。

追記)電子では「20年で夜は変わってく」というタイトルでしたがコミックスでは「私がオジさんになっても」になっています。

私がオジさんになっても 電子書籍


紙のコミックスよりも電子書籍のほうがちょっとだけお安くなっています。(紙:700円 電子:540円)


私がオジさんになっても 感想 ネタバレあり


童貞青年×ちょっと痛い三角


幼少期から成人するまでずっと、その生まれ持ったかわいらしい顔立ちで周囲を翻弄してきた三角(受)は、チヤホヤざれて育ち大学生になった今も自分がかわいいと信じて疑わないという、いわばちょっと痛い人。

対して同じバイト先の吉丸(攻)は、いつもぼうっとしていて何を考えているか分からないタイプのカメラマン志望の童貞青年です。

三角は吉丸に「かわいい子と気持ちいいならHしたい」と言われて「つまり俺としたいってこと?」と聞いちゃうようなタイプ。

ちがーう!って全読者が突っ込むも、吉丸も否定しないものだからあれよあれよという間にホテルへ。まだ二十歳そこそこの学生同士、若さゆえの過ちとも言えそうです。

その後すぐに吉丸に彼女ができて関係はそれっきり。この彼女に対しても「俺の方がかわいいじゃん」とか言っちゃう三角がかわいいっていうか愛すべきバカというか。

勘違い君な三角が愛しい


子どものころからずっとかわいいかわいいと言われてチヤホヤされ続けると、こういう勘違い君になっちゃうものなんでしょうか。

なんか素直すぎるし自信も自意識も過剰だし、一周まわってこういう子が愛しく思えてくるという不思議。

いつか絶対外見のかわいらしさは衰えが来て、過去の自分の言動が痛々しくて顔真っ赤になる時が来るって大人になったら理解するじゃないですか。でも若いときは気付けない。

大人になってからそんな自分の過去が黒歴史になるという。俗にいう中二病もそれですよね。

5年後の再会


吉丸に彼女ができてから疎遠になり5年後。24歳のリーマンになった三角は街角でばったり吉丸に再会します。お互いにフリーだと知ってまたHする2人。

吉丸が少し前までつき合っていた彼女が15歳年上だったことにびっくりです。吉丸はぼうっとしているし母性本能をくすぐるタイプなので年上の女性の方が合っているのかもしれません。

彼女に仕込まれたこともあり初めてシた時よりも上手くなっていた吉丸に、三角も夢中になります。

大人になったらもう昔ほどかわいいと言ってくれる人もいなくなる。「俺で勃つ男がいる」という状態がたまらない三角は、心のどこかで自分の存在を認めてくれる人を欲していたのでしょう。

吉丸とのHで「俺ってまだイケてる」とか思っているところが若いというかなんというか。

セフレのような関係だったのに…


お互いに彼女ができたら会わない。彼女がと別れたらまた会ってHをする。いつしかセフレのような関係になり5年がたち29歳になる頃、吉丸が結婚すると言いだします。

もう会わない代わりに最後にHして別れるも、今までにない寂しさを覚える三角。

関係を持って幸せそうな三角を見ていると、まだ20年にほど遠いってことは、この後切ない別れとか悲しい展開になるんじゃないかと不安が押し寄せてきてハラハラしていましたが、きましたね吉丸結婚。

しかもハッキリと「会うのはもう最後」とか言われてしまって地味にダメージを受ける私(なぜ)

現実を突きつけられる三角


三角はこのままの関係がだらだらとずっと続くと根拠なく信じていたでしょうし、こういう腐れ縁みたいな人に「もう会わない」って宣言されるのって辛いだろうな。

吉丸に撮ってもらった写真を見てひとりで「もうかわいくも何ともないじゃん」と、三角は現実を突きつられてしまいます。

そして5年後。現実を受け入れた三角は34歳。いわゆるビール腹の普通のリーマン体型となり、仕事も忙しく課長に昇進。そんな折、留守電に吉丸から着信が入ります。

「あー離婚しました」

吉丸が病気のとき真っ先に頭に浮かんだ人


ファ!?三角じゃなくてもびっくりしますよね。吉丸らしいっちゃらしいですが、留守電で言うことじゃない!思わず何回も留守電を聞き直す三角。私もきっと同じことをすると思う(笑)

結局また会うことになり、吉丸をがっかりさせないようメタボ体型をなんとかしようとジムに通ったり、美容院に行ったりパックしたりとOLみたいな三角が健気です。

離婚はすれ違いからで、会わなかった5年の間に吉丸は脳卒中で倒れるなどいろいろとあったようで、しみじみと加齢について語り合う2人。

結婚したり独立したり、離婚したり病気したりと人生は思わぬ方向に多様に変わりゆくもの。吉丸が病気で倒れた時に真っ先に浮かんだのは三角のことでした。

三角に何も伝えていなかった、会いたかったと素直に告げる吉丸。名前のなかったあやふやな2人の関係は、30代半ばで再会して少しずつ変わっていきます。

学生時代から20年が過ぎ


40歳になるその日。吉丸は、三角をずっと好きだったこと、魔性だった学生時代の三角を手におえないと思いながらも忘れられなかったことなどを改めて三角に告げます。

結局は吉丸には三角しかいなかった。そして三角には吉丸しかいなかった。

20年という長い月日を経て、離れたり繋がったりしながらも結局こうしてまた恋人として会うことになったのは、きっと「縁」があったから。

お互いのことをほぼ知らなかったセフレ時代から、どちらかが連絡先を消したり失くしたりしたらもう二度と会えない可能性も高かったはずです。

でも神様はまた会わせてくれた。こういうのがご縁があったということなんだなと最後はじーんときました。

感想まとめ


最初は鼻持ちならない三角にこの子だ丈夫かなと思ったし、コメディになるのかなーと軽く読みはじめたら、生活感があふれた時間の経過や加齢についての現実感にしんみりするいいお話になって驚きました。

エロは毎回あるんですがどこかほのぼのしたエロスなのは素朴な絵柄の影響もあるのかも。

夢と希望のファンタジーBLとは対極にある生活感あふれる作品をお探しの人、社会人になりちょっとお腹まわりが気になってきた人、キラキラリア充BLが眩しくて直視できない心理状態の人におすすめしたいです。

村上キャンプ作品が初めての人は「スクリーン」もおすすです。スクリーンのほうがメジャーで村上節炸裂しているのでぜひ。

村上キャンプ先生のBLコミックス



BANBA BURGER

BANBA BURGER

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