「おいたが過ぎるわ子猫ちゃん」のネタバレ感想です。

ハード系シリアスとは真逆版の緒川千世先生の新刊BLです。

「カーストヘヴン」なんかを読んだ後にこれを読むと、本当に同じ作家さんなのかと我が目を疑いたくなるような甘さにほっこり。

世知辛い世の中に疲れ果てて糖分が必要な人にはもってこいの、甘くて優しくて癒したっぷりの平和なお話でした。

攻めの「越郎」が「エツロー」とカタカナ表記されていると「エッロー」に見えるのは私の脳内が腐っているからでしょうか。みんなもそう思いますよね、ねっ!

それでは以下、緒川千世先生の「おいたが過ぎるわ子猫ちゃん」の感想です。

おいたが過ぎるわ子猫ちゃん 電子配信



おいたが過ぎるわ子猫ちゃん感想 ネタバレあり


書道家×高校生の年の差ラブ


築60年の古い家で一人暮らしをしている35歳独身の越郎(攻)のところに、たまにおつかいで来ていた親戚の高校生・弓太(受)

ある日、弓太をバイクからかばった越郎が利き腕を怪我してしまい、当面は弓太が同居して身の回りの世話をすることになってしまいます。

からかってきたりちょっかいをかけてきても決して踏み込んでは来ず、どこかひょうひょうとした越郎がどこまで本気なのか分からず振り回される弓太。

ちなみに弓太は「このおれがおまえなんか好きなわけない」の御徒町や大成と同級生でクラスメイトという設定です。

同居は快適に過ぎていきますが、キスをしてきた越郎に弓太は驚いてつい蹴っ飛ばしてしまいます。おいたが過ぎちゃった弓太(笑)早々にタイトル回収です。

失うことを怖れて孤独に生きてきた越郎


自分が蹴とばしたせいでろっ骨を痛めてしまった越郎のために、同居を延長した弓太。自分に欲情している越郎を見て真っ赤になるのがかわいいです。

お弁当を作ってくれたり機嫌をとってきたり甘やかされたりするうちに、世話をしているのかされているのか分からなくなる弓太。

大人の余裕を感じさせる越郎の言動は軽く見えたり本気のようにも見えたり、高校生の弓太には判断しかねるため戸惑っているのでしょう。

越郎は実はその世界では腕を認められている書道家。両親を次々と亡くしてから9年間、たったひとりで生きてきたのでした。

適当に遊んできたようですが、失うことが怖くて本当に大切な人は作らずにきた越郎。弓太に対してもどこまでが本気なのか冗談なのか、試しながら様子見をしているようです。

ひとりの方が気楽だ


「ひとりの方が気楽だ」という結論に至る越郎の気持ちが痛いほど分かって切ないです…。孤独に慣れるしか方法がなかった越郎のささやかな光が、無邪気な子どもである弓太だったんですね。

こういう救いとなる人が越郎のそばにひとりでもいてくれて良かったと思います。弓太の計り知れないところできっと、越郎はたくさん弓太に癒されてきたに違いありません。

特別を作ってしまうと、大事な人を作ってしまうと、誰かに寄りかかると、その人をまた失うことになるかもしれないという恐怖。それが耐えられない越郎は、弓太との別離にもあっさりと手を離してしまいます。

両親の死からやっと立ち直り、ひとりでなんとかやってきた今の平穏を変えたくない。壊したくない。そんな思いが越郎をからめとり、がんじがらめになっているようで苦しそうな越郎。

そんな越郎の胸の内を知らないままに、弓太は追いかけても来てくれない越郎にショックを受けてしまいます。好きなのは自分のほうだけだと弓太が勘違いしてしまうのは無理もないこと。。。

だから一緒に俺ん家に帰ろうよ


想いは確実なのにすれ違いがもどかしいと思っていたら、弓太が猫をかばって事故に遭うという知らせが越郎のところに入ってきました。

まさかまた失うのかもしれない。恐怖のままに病院に走る越郎ですが、病院にはたいした怪我もしていない弓太の姿が。

思わず顔を覆ってしゃがみこんでしまう越郎の姿にうるっときてしまいました。弓太の身体が何ともなくて本当に良かった。

冗談にすることでいつでも引き返せるように予防線を張って、本気だと言いながら追いかけもしなかった越郎。

しかし弓太が事故に遭ったことを知ったとき、簡単に手離せる相手ではなかったことに気づきます。

無事だった弓太をそっと抱きしめて「一緒に暮らそう」とささやき、やっと希望を見つけたような、宝物を見つけたみたいな優しさでいっぱいの越郎の表情。

弓太もそんな越郎の温かさや覚悟を感じとったのか、素直に言葉に従いました。

両想いの優しいHでぐずぐずの弓太


お互いの気持ちが見えて新たに始まった同居生活。百戦錬磨の越郎に優しく抱かれる弓太が敏感でエロくて甘くてぐずぐずです。

弓太はもともとふとした表情に色気あるタイプですが、こうやって大人に仕込まれてどんどんエロくなっていくんですね。

女性もののパンティーを履かされた弓太もエロかったなー。あの下着は今どこにあるんだろう(笑)

越郎のことだからまた上手いこと言って履かせようとしそう。いいぞもっとやれ。弓太もなんだかんだ越郎の言うことは聞きそうですよね。

おいたが過ぎるわ子猫ちゃん感想まとめ


何かを怖れて臆病になっている大人が高校生によって救われるという、優しくて心温まるお話にとても癒されました。

ひとりのほうが楽で心穏やかに過ごせる、そうやって人生に折り合いをつけていく。そんなふうに思う越郎の気持ちはすごくよく分かります。

当たり前にあった家族を失うという喪失感を9年かけて埋めてきて、次なる1歩を踏み出せなくなる越郎。

大人になればなるほど、今の自分の生き方をガラリと変えることにはどうしても臆病になってしまいますよね。

ちょいちょい出てくる緒川千世先生の他作のキャラたちにもにニヤッとさせられました。知らなくても全く問題なく読めると思いますが、そのさりげなさがツボです。

最後に弓太の家族にカミングアウトしに行くシーンでは未遂に終わりましたが、越郎の大人としての覚悟が見えて弓太と一緒にキュンとしてしまいました。

普段はふざけてばかりのエロ魔人だけど、いざとなれば頼りになる年上っていいな。口コミ数と評価の高さも超納得です。

この愛らしい表紙にピンときた人、最近不足気味の糖分が必要な人、優しくて甘エロを求めている人など、BL初心者にも玄人なお姉さまにも誰にでもおすすめできる作品でした。

緒川千世先生の次回作にも期待しています。



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