憂鬱な朝41話の感想です。8巻のネタバレになるのでネタバレ不要の方はお気をつけください。

8か月ぶりの連載再開です。お帰りなさい日高ショーコ先生。まだかなまだかなとじりじりしながら待っていました。

初めてやってきた鎌倉で暁人と再開し愛し合った桂木。そこで桂木はイギリス留学に次世代の久世家を託す将来有望な書生を連れていくことを知らされました。

久世家を通して興した産業は後世にまで残る。古い慣習や価値観にとらわれず、土地に見合った産業を残していこうと考えている暁人を日本で静かに待つしかない桂木の胸中は…。

前回40話の感想はこちら。

憂鬱な朝40話 ネタバレ感想

それでは以下「憂鬱な朝」41話の感想です。雑誌キャラセレクション9月号最新話の感想です。ネタバレにご注意ください。

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キャラセレクションは残念ながらまだ電子書籍化されていません。電子化を心待ちにしています。

憂鬱な朝41話 感想 ネタバレあり


やることがなくてぼんやりする桂木


若き子爵と美貌の家令のクラシカルラブロマンスの名にふさわしく(?)暁人に頼まれて桂木の靴を隠す世話人・田村さんのひとコマからスタートです。

桂木の靴を磨いてからずらーっと並んだ堤灯箱の1つに隠すあたり、さすが長年久世家に仕えている人は違います。ここはさすがに桂木も見つけられないでしょう。

もう一人の世話人の女性に口止めするもの忘れません。長年久世家に勤める田村さんはよくデキる人でした。

いっぽう靴を隠されているとは知らない桂木は、初めて訪れた鎌倉のお屋敷ですることがなくなって手持無沙汰でぼんやり。

トランクに詰め込んで持参した造船所の経営報告書を見ると総右衛門に進言したいことは多々あるようですが、桂木はもう石崎家を出た身です。

今さら何を言っても受け入れられるはずもなく、しかし気になるので形にはしておく桂木が律儀というか生真面目というか。

桂木は暁人宛の手紙の整理などもしてみますが、ついに他にすべきことも見当たらず途方に暮れてしまいました。

暁人の父である先代暁直の言葉


1日が長く、こんなにも穏やかな時間の過ごし方もあったのだと息をつく桂木。これまで多忙で何かと緊張感溢れる生活だったので、ゆっくり流れる時間に多少なりともほっと安堵しているのでしょう。

ふと思い立ったように屋敷を歩く桂木は、廊下の奥にある先代の書斎だった部屋へと向かいました。亡くなる前の日までこの書斎に籠って何かに取り憑かれたように遺言状を書き直していたらしい先代・暁直。

この遺言状のために桂木の生き方は決められてしまったのでした。

先代の書斎は今では使われておらず、家具などにはすべて布で覆ってある状態で保たれています。壁の蔵書も立派に揃ったまま。

「お前には期待している。お前ならきっと私の望みを叶えてくれるだろう」

死してもなお消えない暁人の父・暁直の声。今は亡き先代の言葉を思い出す桂木には最後の最後まで暁直の考えは分からないままでした。

私を欺いた桂木家だけは絶対に許さん


暁直が生きていた頃、実は先先代の直弥に仕えていたきくが暁直に会いに来たことがありました。直弥が亡くなった後のことです。

桂木がたびたびお見舞いに足を運んでいたあのきくさんですね。きくは桂木が久世家に入った経緯を知る使用人を次々と久世家から切っていった元・女中頭です。

暁人が生まれてもう久世家は安泰。桂木が久世家を継ぐことはできなくなりましたが桂木の賢さは何物にも代えがたい。この時点ではまだ暁直は桂木を久世家に残しておくつもりでいました。

桂木は従姉の息子であると聞かされていた暁直。しかしきくから、自分の父・直弥の残した畜妾届の写しを見せられます。

「桂木高正は私を裏切った。私を欺いた桂木家だけは絶対に許さん」

自分の父親が妾に生ませたのが桂木であり、桂木はれきっとした先代の血筋。裏切られたと感じた暁直は、まだ中学生の桂木にもその怒りをぶつけました。

話を聞いても驚かない桂木に苛立つ暁直。冷たい目で手を振り払い、まだ幼い桂木に向かって敵意に満ちた目を向けます。

また暁直に自分を認めてほしい


幼い桂木は自分と暁直を繋ぐ糸が切れたことを敏感に感じとっていました。しかし久世家から追い出されることはなく、あいまいな立場のまま桂木は久世邸から学校に通い続けることになりました。

その後何年たっても暁直は桂木に冷たく、邸内でたまに会っても視線すら合わせてもらえません。桂木の学校の成績が主席続きであることにも、他の華族に勝ち過ぎれば余計な敵が増えると冷たく突き放されてしまいます。

良い成績を取り続ければまた暁直が自分を認めて必要としてくれるのではないか。「久世家にはお前さえいればいい」優しくそう言ってくれたあの言葉をもう一度聞かせてくれるのではないか。

心のどこかで期待していた桂木。しかし、ついぞその言葉を聞くことはなく暁直はこの世を去ってしまいました。

暁人様が諦めずに私に向き合ってくれたから


暁直の古い書斎で昔のことを思いだしていた桂木のもとに暁人がやってきます。起き抜けのラフな浴衣姿のままでがっつり寝癖もついたまま。

桂木はそんな暁人の無防備な姿を見て「寝癖を直してください」と相変わらずクールに応じます。暁人の長寝はもうこの2人の中では定番ですね。

真面目な桂木は、暁人の怠惰な時間の使い方に呆れるしかありません。よくもそこまで無為な時間をすごせるものだと、桂木は半ば嫌味のような感心しているような言葉を暁人へ投げかけました。

そしておもむろに自分が暁人の年のころに何を考えていたのかを語り始めます。

昔は嫡男である暁人をどうやって当主の座から引きずり下ろすかばかり考えて、幼い暁人に冷たく当たっていた桂木。

しかし暁直と同じことをしたつもりが、暁人は桂木のようにはなりませんでした。

「私が先代のようにならずにすんだのは、暁人様が諦めずに私に向き合ってくれたからだと分かっていますから」

かつて幼い暁人にした仕打ちを詫びる桂木に、暁人は静かに答えます。

「お前が僕にしたことと、父上のお前への態度は同じじゃないよ」

桂木や他の者の語る暁直と、暁人の知る暁直。2つの違いすぎる姿に、いったいどちらが父親である暁直の本性なのか、暁人にも桂木にも今となってはもう分からないことなのでした。

いっぽう避暑地の鎌倉を離れた東京では残暑が厳しい中、総右衛門と共に総一郎が浮かない表情で見合いの席に向かっていました。

小ふさ問題はどう決着がつくのか?というところで次回42話に続きます。

憂鬱な朝41話 感想まとめ


暁人が諦めずに桂木に向き合ってくれたおかげで、桂木は先代暁直のような冷酷な男にならずにすみました。それを桂木自身もきちんと自覚していたところに深い愛を感じます。

どんなに冷たくされても食い下がって好意を隠さずにまっすぐにぶつかっていった暁人の粘り勝ちです。桂木の雪解けを招いたのは暁人の姿勢によるものでした。

暁人のほうも最初は頼りなさげでしたが、桂木への想いを成就させようと随分と男らしくなっていきました。互いに影響しあい今ではもう無くてはならないかけがえのない存在になった2人。

鎌倉の書斎で話す暁人と桂木のシーンが、触れ合ってもいないのにとても甘美で恋人同士のピロートークのようでした。

暁人が桂木の苦言にまったく動じず「おやすみだいじだよ」とか思っているのがこの2人の性格の違いを象徴しているようです。

「おやすみだいじだよ」って暁人様かわいすぎるw

シリアスな内容を語りだす桂木に対して、あくまでも桂木の昔話を嬉しそうに聞きたがる暁人がまた対照的でした。

暁人のこういう性格に救われる部分は桂木にも大きいんじゃないかな。素直というか正直というか時々子供のような暁人が眩しいです。

桂木のようなめんどくさい性格の持ち主には暁人くらいのざっくりした性格のほうが合うんですねきっと。あーでもきっとイギリス行き前の甘い時間はこの鎌倉邸でのひとときが最後なんだろうな。

残された問題として総一郎と小ふさは引き離されたままの悲恋になってしまうのでしょうか。正妻と妾の両方をいったりきたりとうまくはできそうにない不器用な総一郎。

桂木に小ふさの居場所を聞いても教えてもらえなかった総一郎は、見合いの席に向かうにもお通夜に行くような沈んだ顔です。

桂木が以前「総一郎の味方だ」と含みを持たせた言い方をしていたので、お見合いの席に何か仕掛けがあったりするのかな。

本当に好きな人と一緒になれず政略結婚をさせられるというのはこの時代にはよくあることだったのでしょうが、何かしら桂木が置き土産を残していてくれると信じたいです。

久しぶりに暁人と桂木に会えて嬉しくて長々と語る感想になってしまいました。ラストが見えてきた「憂鬱な朝」がどう物語を閉じていくのか次回も楽しみに待ちたいと思います。

次号9/22発売のキャラセレクション11月号の予告には日高ショーコ先生のお名前がないのでお休みです。ということは続きは11月かな。

それではまた「憂鬱な朝」42話の感想でお会いしましょう。

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