「オレとあたしと新世界」1巻のネタバレ感想です。

古宇田エン先生のデビューコミックスはむっちりした男たちの真実の愛と人間ドラマが魅力のお語です。新人さんとは思えぬ小慣れた絵柄とそれ以上に濃いお話に読みふけってしまいました。

オネエ攻めかと思わせつつ実は逆なの?どうなのどうなの?と受け攻めはっきりしないところもドキドキします。ギャグありシリアスありで読み応えたっぷりでした。

2巻に続くようですが1巻だけでも十分読ませるストーリーに釘づけです。ゲイバーの愉快な仲間たちもみんな強烈な個性でナイスキャラでした。

それでは以下「オレとあたしと新世界」1巻の感想です。ネタバレにお気をつけください。

オレとあたしと新世界 電子書籍



オレとあたしと新世界1巻 感想 ネタバレあり


交差するオネエとガチムチイケメンの人生


純度100%日本人なのに外国人のような風貌のためなぜか人が寄ってくるマコトは、日雇いの肉体労働に勤しむ健康的な日々を送っていました。

ある日同僚に誘われて行ったゲイバーで働くしのぶとひょんなことから仲良くなります。

マコトは子どもの頃から施設で育ち、しのぶは自分の性癖を自覚してから実家とは疎遠になり、お互いに寂しさを抱えながら生きてきました。

ノンケのマコトはゲイのしのぶに叱られたり救われたりしながら、勢いと流れのままほぼ同棲状態に。つっけんどんな態度ですが実は優しいマコトに、しのぶの方も少しずつ心惹かれていきます。

男との付き合いに興味を持ったマコトにキスをしたり、ゲイバーの楽しい仲間たちに冷やかされながらも徐々に近づいていく2人。

肉体関係を持ってからも睦まじく暮らしていましたが、ゲイバーの皆と海へ遊びに行った帰りに大きな自動車事故に遭ってしまいます。

対向車の居眠り運転からの正面衝突のようですが、しのぶ以外は奇跡的にみんな無事だったようでホッとしました。でもしのぶは眠ったまま。。。

帰りの車の中で「あとで本名を教えてあげる」と言っていたしのぶは、愛するマコトに自分の口から本名を告げることなく時間が止まってしまいました。

まさかの事故のために狂ってしまった人生。ようやく出会えた孤独な2人は思わぬ形で唐突に引き裂かれてしまいます。それまで幸せそうだっただけにあまりにも突然の別れが辛くて切ないです。

新しいパートナー東條さん


病院にしのぶの母親の百合子さんが駆けつけ、おバカなマコトはあっさりとしのぶの恋人であることを告白してしまいます。案の定百合子さんには受け入れてもらえず病院を追い出されてしまいました。

しかし誠意を見せて病院へ通ううち、頑なだった百合子さんも少しずつマコトのことも認めてくれるようになります。

献身的に看病をするマコトですが、しのぶの容態は変化なく眠りつづけたまま目覚める気配がありません。

マコトは病院へ通いやすいように会社員に転職して、できる限りそばにいようと健気にしのぶの元へと通います。理学療法士の東條さんと共にしのぶにリハビリを繰り返すマコト。

8年にわたってずっと目覚めないしのぶを支えるマコトを見ていた東條さんは、ある日思いきってマコトに交際を申し込みました。

付き合うようになって東條さんの懐の深さに癒されるマコトですが、あるときしのぶのところに通うのはしのぶのためではなく自分のためだと気づきます。

しのぶに会ってから変わった自分自身を失いたくない。東條さんと別れてしのぶのそばにいることにしたマコトの決意は並々ならぬものがありました。

普通8年も経てばそろそろ別の人と幸せになってもいいと誰もが言うでしょう。だけどマコトはしのぶを待つことを選びました。

こういう選択って普通はなかなかできないと思うんですよね。いつ目覚めるか分からない人を待つなんて。

目の前にいて支えてくれる優しい人に甘えたくなって当然なのに、自らその手を離したマコトの胸中を思うと胸が痛みます。

マコトにとってはパートナーはしのぶでしかありえないのでしょう。自分を良い方向に変えてくれた恩人のようなしのぶを想うマコトの一途さや2人の絆にギュッとしました。

しのぶ×マコト?マコト×しのぶ?


ところでしのぶとマコトは受け攻めが明確ではありません。最初はしのぶのオネエ攻めかなと思いましたが、後半に進むにつれてどんどんマコトがいい漢になっていってどっちがどっちか分からなくなってしまいました。

マコトはノンケだから、最初はしのぶがリードする形でキスしたり乗っかってエッチしていたのかな。ノンケがそう簡単に受け手に回るとは思えないし、ということはやっぱりマコトが攻めでしょうか。

ただし東條さんを見ているとマコトが受けに見えてくるという不思議。東條さんの包容力が攻めにしか見えなかったりするけどベッドでは違うのかしら。うーん難しいところです。

感想まとめ


無口だけどいい人なゲイバーの店長、明るく元気で外国に留学していたりと密かに有能そうなハナちゃん、北海道の実家の牧場を継いだシュンちゃんなどゲイバーの愉快な仲間たちも強烈で楽しかったです。

キャラクターのガチムチ率が高く、どこか昭和を感じさせる絵柄と愛にあふれた濃いメンバーのおかげで、シリアスなお話が重すぎずにすんなりと入ってきました。

10年が経過してようやくしのぶが目覚めたところで1巻はおしまいです。しのぶはバーのメンバーのことは憶えているようで、マコトのこともうっすら記憶はあるみたいです。

この後しのぶは10年の月日をマコトと共に埋めていくのでしょう。いや、タイトルの通りに10年後の今から2人の新しい世界を作っていくのでしょう。

1巻でも十分まとまっていましたが2巻に続くようなので、しのぶとマコトが離れていた時間のズレをどう修正していって新たな関係を築いていくのかとても楽しみです。

絵柄から外国人モノもいけそうな、またすごい新人作家さんが出てきました。続きも新作も楽しみにしています。


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