文乃ゆき先生の「ひだまりが聴こえる」の感想です。

この表紙の素敵さに、思わず見惚れる人、多数。爽やかなグリーンが眩しくて美しい。ストーリーも、表紙のように爽やかでピュアな、ほんのりBL漫画です。

BLを知らない人にでもお勧めできそうな読みやすさと絵で、読後感が最高でした。

ひだまりが聴こえる 電子書籍


うん、好きだよ。太一が。


ひだまりが聴こえる 感想 ネタバレあり


難聴の大学生×一本気な同級生


耳に障害を持つ航平と、明るく単純でまっすぐな太一。

航平は、中学の時に聴力が低下してしまい大学でも孤立している状態です。あまりいい噂もなく、周囲から浮いている航平。

ある日、いつも通りひとりでお昼を食べる航平のところに、お腹を空かせた太一が偶然やってきて2人は出会い、友達になります。

太一がノートテイカーを名乗り出て、そのお礼に航平はお弁当を作る。そんな日々が始まって。。。太一は、くったくがなく一本気な性格。明るく無邪気で、航平に対してもごく「普通」に接します。

笑顔が増えていく航平


航平はこれまでの、ぎくしゃくした人間関係のこともあり心を閉ざしがちでしたが、次第に太一の明るさに惹かれていく。

太一の、航平に対してちっとも引かないまっすぐさや、竹を割ったような性格、単純明快で変に含みのないからっとした態度が、航平のかたくなな心を溶かしていきます。

太一につられるようにして、航平に少しずつ笑顔が増えていって・・・

太一の声だけは…


ごく普通の男の友達同士としてつき合ううちに、絆が深まっていく太一と航平でしたが、今後、航平の難聴が悪化する可能性があるということが判明します。

「太一のあの声が聴こえなくなるのはいやだ」涙する航平。大学の手話サークルとも距離を置いていた航平でしたが、太一との関わりによって前向きに変化していきます。

読みながら、太一のまっすぐ性格や態度、そしてとても丁寧に描かれる航平の心理描写に、ちょっと涙目になった私。あー社会人になってから、どんどん涙腺が緩くなってきてる気がするなあ。

太一がとびっきりのまっすぐな性格だったからこそ、難聴という難しいテーマであっても暗く沈み込みすぎず、重すぎずに読めたのだと思います。

ひだまりのような太一


太一の方も昔いろいろあったのに、いや、辛いことがあったからこそのあの性格なのかもしれません。いいやつです、ほんと。

航平にとって、ひだまりのような大きな存在だった太一。表紙もそうですが、タイトルにあるように作中、ひだまりの描写がたくさん出てきます。

木漏れ日などの光をうまく描ける人ってなかなかいないと思うんですが、背景を含めて絵がとても丁寧で、見ごたえがありました。

雨やどりの告白シーンも切なくて、ステキでした。男の子の身体の線も、バランスが良くてきれいだと思います。

ふんわりピュアBL


まだまだ「恋」といえるような段階ではないでしょうが、太一の方もほんのり意識して、これからさらに関係が深まっていくのかなというところで終わりました。

じんわりと心が温かくなるような、とても優しいお話で、読んで良かったと心から思います。

多くの読者の声が後押しした続編連載


出版社のツイッターで、2014年10月に発売されてからすぐに重版がかかり、ファンの声によって続編の幸福論も連載として「Canna41号」からスタートしました。(追記:幸福論もコミックスが発売されました。)

すごいことですよね。たくさんのファンの声に応えて続編制作が決定するなんて。手紙でも読者アンケートでも何でもいいから、出版社に声を届けるって大事なんだなあ。

あとがきによると、担当さんに「ボーイズをラブさせてください」と言われたそうですが、いやはやこれはこれで良かったのでは。

エロのエの字もなく、ピュアで爽やかな大学生、航平と太一の友達以上恋人未満な関係。そっとキスしただけで、この2人はまだまだこれからだよね・・・と、期待させての終わりかたも、この2人なら悪くないです。

続編が連載としてスタートするので、コミックスの次巻が発売になるのはだいぶ先でしょうが、心待ちにしたいです。恋人同士になってからの太一、ちょっと見てみたい。

初Hとか、真っ赤になっておたおたするんでしょうか。それとも、意外と男らしく受けるんでしょうか。

文乃ゆき先生は、これがデビュー作(!)ということですが、文乃先生がドエロとか鬼畜とか書いたらどんな感じになるんだろう?とゲスい想像をしてしまいます。(ダメ腐女子)

この続編もいいですが、別の作品とかもぜひこれから読んでみたいですね。いつか別作品で、今度こそボーイズががっつりラブするお話なども書いてみてほしいなあ。

力のある新人さんがこうやって素晴らしい作品を書いてくれると、BL界にとっても、腐女子にとっても嬉しいことです。これからも追いかけていきたい作家さんになりました。


さらに続編「ひだまりが聴こえるリミット」も発売されました。


Canna Vol.48にもひだまりが聴こえる番外編として「残照」が掲載されました。



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