敏腕マネージャーと若手俳優の芸能界ものです。「ナイショの楽屋裏」のスピンオフですが前作は未読でも十分楽しめます。
芸能界ものってBLに限らずどこか浮世離れした作品が多い中で、とてもとっつきやすい雰囲気で楽しく読めました。
系統でいうなら夏目イサク先生のような、すっきりとした線の絵柄なのでとても読みやすかったです。
正直、もっと評価されてもいいのになと思います。隠れた良作として初心者の方にも安心してオススメできます。
小さな劇団に所属している悠仁(受)は、王子様のようなルックスから個性的な役がもらえずいつも端役ばかり。それでも悠仁は決して腐らず、一生懸命演じて日々努力する健気な頑張り屋さんです。
あるとき、雰囲気のある大柄のイケメン(攻)織部がスカウトにやってきます。実は悠仁のことを以前からチェックしていた織部は、ととある芸能事務所の敏腕マネージャー。
織部と共に二人三脚で3年ほどの芸能活動を経て、悠仁にも深夜ドラマの主役の話がやってきます。事務所としてもゴリ押しすることはなく丁寧に売り出してきた悠仁ですが、ここへきてビッグチャンス到来。
このドラマのタイトルが「炊飯ジャー探偵」っていう深夜ドラマなんですが、台本のタイトルを思わず二度見してしまいましたw
炊飯ジャーで米が炊ける間に事件を解決するとか、こういう深夜ドラマって本当にありそうですよね。ノリ枠というかネタ枠というか深夜枠なかんじの。
ちょっとリアルに想像してしまってニヤニヤしちゃいました。
初の主演にフレッシャーを感じながらも、お世話になった織部マネージャーに恩返しをしたいとはりきる悠仁は、励ましてもらったり勇気づけてもらったりするうち織部への恋心を自覚していきます。
しかし、織部が優しいのは自分が俳優という商品だからと好きな気持ちを抑える悠仁。織部に見捨てられないように、ずっとそばにいられるように仕事に打ち込みます。
この悠仁がとっても健気でまじめで好感度大!研究熱心で努力家、人一倍責任感も強くて真面目。人当たりも良くてスタッフたちにも好印象というとてもいい子です。
なによりも織部に恩返ししよう、迷惑をかけないようにしようと頑張る姿が健気すぎますね。。。
田舎育ちのピュアなままスレることなく大人になったという感じですが、こんな純粋で厳しい芸能界を渡って行けるのかなとオカン目線でちょっと心配になりました。ま、織部がついているから大丈夫かな。
悠仁の頑張りもあり、ドラマの視聴率はまずまず。だけど放送を重ねるごとにじりじりと視聴率が下がり焦る悠仁。
そうこうするうちにドラマの共演者のお笑い芸人の相方が、アイドルとの熱愛スキャンダルを週刊誌にすっぱ抜かれてしまいます。
ですがこのスキャンダルは実は仕組まれたもので、ドラマの視聴率を上げるための話題作り。しかもこの仕掛け人は織部でした。
この話題のおかげもあり最終回には大きく視聴率を伸ばし、悠仁の初主演は大成功。続編の声も聞かれるようになります。
テレビの世界は視聴率が全てなんですね。視聴率は高くなくてもおもしろいドラマはたくさんありますが、すべての判断基準は視聴率。つくづく特殊な世界です。
最近織部が自分に対してよそよそしくなったように感じていた悠仁も、この仕掛けのために織部がいろいろと動いてくれていたことに気づきます。
ドラマの共演者に「織部は悠仁のことが好き」と指摘され、一世一代の大芝居を打って織部に迫る悠仁。織部は悠仁の迫力に観念して、悠仁に自分の気持ちを伝えます。
実は織部のほうもずっと悠仁のことを思っていたのでした。言動でバレバレだとは思いますが謙虚な悠仁はそんなこと夢にも思わなかった。
悠仁のほうも素直になり時間をかけてようやく結ばれる2人。心から祝福できる好感のもてるカップルでした。
3年も俳優とマネージャーとしてだけの関係でいられたのは、お互いが立場を鑑みて将来のことや仕事のことを配慮してのこと。
気持ちを押しつけたりして困らせたりすることなく、お互いに暴走せず想いあえるカップルは長続きしそう。
この2人なら俳優とマネージャーとしても、公私ともに末永く支え合える良いパートナーになるんだろうなと思ってほっこり。
ところで悠仁が出演したバラエティの芸能人格付け番組が、リアルにあるあの格付け番組にそっくり、っていうかまんまなのが笑えました。悠仁の誠実そうなコメントに、お茶の間の皆もさぞ癒されたことでしょう。
また、計算されたスキャンダルが番組の宣伝に使われたりするのも、芸能界の裏側をチラリと表現しているなあと思ったり。週刊誌の芸能人のスクープは、まあ話半分で考えていたほうがいいってことですね。
エロはほとんどなく、お話で十分読ませる作品です。なによりも悠仁の仕事への熱意や真摯な態度、そして織部への信頼と想いがとても丁寧に違和感なく描かれていて入り込めました。
ストーリー重視のBL漫画好きの人、暴力やトンデモ展開もないのでBL初心者さんにもオススメです。
ウワサの楽屋裏はその他各電子書籍サイトでも発売されています。ご利用の状況に合わせてどうぞ。
秋葉先生のツイッターでとてつもなく共感したのがこちら。すっごく分かりますコレ。新幹線なんて毎日乗るわけじゃないし出張とか旅行とかイベントとかでたまに乗るだけなのに、高確率で品川で隣りの人が乗ってくるの。
たまにこちらが品川から乗るとき逆に隣りの席の人になんだか悪いような気さえするやつ。特に昼時の時間帯と夕食の時間帯の新幹線。
ハーイ東京駅から新幹線乗って「おっしゃ隣だれもおらんやんけ!」とウキウキ鳥飯弁当食いだしたら品川駅で隣の席の人が乗ってくるやつ~~!!!!
— 秋葉東子 (@G_AKB) 2016年1月7日
初っぱなからいるよりがっかり感半端ないぜ!せめて横浜あたりにしてくれ。
秋葉東子先生のその他漫画。
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