「sick」「トモダチ以上のこと、シたい」の倉橋トモ先生の新刊です。きれいでかわいい絵柄がたいそう好みで楽しみにしていました。
もうこの表紙がかわいい。ほっぺかわいい。どアップに耐えうるキラキラ男の子がもぐもぐしていて、しかもほっぺにタイトルとか!
かわいすぎて萌えつつも、色使いも温かくてほんわかします。食いしん坊で甘えん坊な受け設定なのかなと思いきや、まさかの表紙の彼は攻めという意外性。
料理がたくさん出てくるので空腹時に読むと、決まって冷蔵庫を開けたくなります。
シェアハウスで暮らしている2組のカップルのお話です。私は表題作のカップルより脇カプのほうが好きかもです。
道で行き倒れていた19歳のイケメン大学生・春(攻)を拾った、31歳にして枯れ気味なゲイの料理人・弘人(受)
ご飯を作って食べさせたところ、春が弘人に惚れちゃった!というところからお話がはじまります。
春はノンケなので正直、そんな急に!?と思いましたがBLとはそういうもの。つっこんだらそこで試合終了ですw
しかしこの春、キラッキラのイケメンゆえに(?)いろんな意味で脇が甘いところがありました。ただの年下ワンコというわけではありません。
その気がないのに女の子と同棲していたという呆れた過去もあり、無自覚というのがタチが悪いというか、なかなかの酷い男です。
ノンケで10代のイケメンキラキラ大学生ということは、人生モテまくってここまできたでしょうし、無神経さや脇の甘さも含めて実際にはこんなものかもしれないですね。
ぐいぐいくるワンコ攻めは定番で好きですが、春は人間らしく一癖ありまだまだ未熟な男の子です。勢いのままにつっぱしるのは若さゆえでもあります。(そしてそこが魅力にもなる)
ということはつまり、これから歳を重ねるうちにまだまだいい男になるという「伸びしろ」があるというふうに私は解釈しました。
もしこれで、春がいい年したリーマンという設定だったらかなりモヤモヤが残りますが、春はまだ10代の学生です。
弘人とちゃんとつきあっていくうちに成長して男に磨きをかけ、ずいずい迫る年下ワンコ気質はそのままに、10年後くらいにはすごくいい男になっているに違いないと信じたいです。
いっぽう弘人のほうは、昔の恋人とのことでノンケには慎重になっていました。春に対して腰が引けているのは、昔の恋人には奥さんがいていわゆる不倫で、結局はその男に利用されるような形になってしまっていたことからくるものです。
これはつらいですね。。。弘人のほうは2年も一生懸命ご飯を作ってあげたりしながら真剣に愛してきたのに、結果的には「都合のいい相手」として扱われてしまった。
結果、新しい恋にも及び腰にもなります。
この昔の男がまた曲者で、口では「弘人に悪いことをしたと思う」とか言っていますが、きっとまた同じようなことして誰かを傷つけるに違いないと思いました。
人を利用しておいて謝罪はうわっつらの言葉のみ。謝罪の言葉は相手に悪いという気持ちからではなく、自分がすっきりしたいがために口にするという、無責任人間の典型です。
こういう人って男女問わずリアルにも絶対いるから、嫌な気持ちになりますね。
でもまあ流されやすくてほだされやすい弘人が最終的には春との甘い幸せをつかんだので、そのためにはこの男との過去も必要だったんだと自分を納得させました。
私が好きなのはシェアハウスのもう1組の幼馴染みカップルのほうです。
春と弘人のこともなんだかんだと見守ってくれていたし、この2人は高校卒業後に駆け落ちして今に至るというドラマチックな過去がありました。
8年たった今もラブラブでかなりいちゃいちゃしてますが、春と弘人のよきお手本(?w)となるので、ずっとそのままいちゃついていてほしいです。
書き下ろしも含め全体を通してほどよくエロもあり、ストーリーに偏らずかといってヤるばかりでもなく、バランスのいい作品でした。
私は寄宿舎や学生寮などの「複数の同性で寝食を共にする」というシチュが好きなので、シェアハウスに暮らすカップルというのもポイントが高かったです。
複数人で暮らしていたら、共有スペースとかで自分のお相手とは違う男の子とも交流がありそうだし、いっそう妄想が広がりるから大好きです(ニヤニヤ)
ラッキースケベとかも、不自然にならないくらいに発生させることができるのが素晴らしい。ビハ☆共同生活。
さらっと読むのにはちょうどよく、濃厚なBLには食傷気味な人や、年末年始の暴飲暴食で疲れてお茶漬け的なBLを読みたい人にお勧めです。
絵柄にクセがなく安定してきれいでかわいいので、読みやすさは抜群です。
仕事してたら年明けて初めてのツイートになってしまったのですが、今年もよろしくお願いします…!そしてフォローもたくさんして頂いてありがとうございます!2015年に描いた攻めのひと。 pic.twitter.com/o32ABVMRHB
— 倉橋トモ (@oishi_otoufu) 2016, 1月 10
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