吉田実加先生って失礼ながら聞いたことのない作家さんだなあと思いながら、発売予告を見ていたんですが、表紙がステキだったのとサンプルの絵が綺麗だったので電子で読んでみました。
全体を通して絵柄がすごく綺麗で、本当に新人さん?と思えるほどの画力に驚きです!これがデビュー作とか信じられないくらいの安定っふり。
吉田先生が人生で初めて描かれた漫画だそうですが、こなれた感もありながら雑にならないというハイクオリティが炸裂しています。
設定もややこしくないし絵柄もお話も優しくて読みやすいので、知らない作家さんだしなーと迷っている人がいたら、これはぜひお勧めです。
丁寧な作画の時代物ファンタジーです。
まず、表紙右の長髪の子のビジュアルが好みです!
私はリアルでは男性の長髪は苦手ですが、BLでは長髪さらさらヘアのイケメン攻めは、それだけでポイントが高いです。大柄だとなおよし。
攻めのキサラギは、普段は髪をサイドのポニテ(ツインテを片方だけにした感じのアップ)にまとめていますが、くつろぐ時は髪を下ろすんですね。
おろしたほうが私は断然好みです。艶があっていい!
加えて私は犬でも猫でもなんでもいいんですが、かわいい動物がいい具合に出てくるお話もたいそう好きなんですね(ケモミミ可)
こちら、その両方を兼ね備えている作品なのもツボでした。リクかわいいよ、リク。(リクは山犬で主人公の親友)
動物って描くのが難しいと思うんですが、このリクがとてつもなくかわいかったです。擬人化したリクのオマケ漫画も素敵でした。
触れるとその人の心の声が聞こえるという力を持ったアマネ(受)は、亡くなった母親にも「触らないで!」と拒絶され、一人でひっそりと山奥で暮らしています。
アマネは動物の声も聞こえるため山犬のリクが親友なのですが、ある時、山で薬売りのキサラギ(攻)に拾われ共に過ごすことに。
金髪に片目が紅というその姿から「鬼」と言われてきたキサラギは、明るく朗らかな性格。薬売りとして流れ流れる先で、アマネと出会いました。
孤独を抱えた2人が共に過ごすうちに惹かれあう。童話のような優しいファンタジーBLでした。
アマネが、人からうとまれてひどい扱いを受けてきたにも関わらず、人を憎まず純粋なまま成長したのにとても好感がもてます。
リクという存在はきっと大きかったでしょうね。アマネが山奥でひとりぼっちじゃなかったのは、アマネのピュアで素直な人格形成に大きく影響していると思います。
初めて人のぬくもりを与えてくれたキサラギのために、迫害を受けてきた村に降りるアマネがまた健気でかわいい。
村人に生贄にされそうになったりする不憫なアマネですが、キサラギがちゃんと助けてくれるし、リクも口やかましいけど見守って(?)くれている。
アマネは、キサラギという大事な存在を得て愛し愛されるということを実感し、共に旅する中でまた成長していくのでしょう。
ただアマネの女装は特に必要だったかなw
まだ謎の多いキサラギというキャラクターの掘り下げも、どこかで読めるといいなと思いました。
この後、2人と1匹で旅をする道中いろんな人やトラブルに遭遇しそうだし、そこに能力をうまくからめたスピンオフとかぜひ読んでみたいです。
旅の途中で、異能の仲間が増えたりしてもおもしろそう。(もちろんBがLして脇カプになることを希望)
時代物の和装やファンタジーが好きな人、綺麗な絵で優しいお話が読みたい人にお勧めです。
BL作家さんはコンスタントに毎年新しい人が出てくる印象ですが、それにしても世の中にはまだまだ眠っている才能がたくさんあるんですね。
2016年、まだ見ぬ新人さんの作品にもたくさん出会っていきたいです。吉田実加先生の次回作にも大いに期待しています。
「少年と薬売り」はその他各電子書籍サイトでも発売されています。ご利用の状況に応じてどうぞ。