たなと先生の2冊目のBLコミックです。デビュー作の「スキニーレッド」は暴力を含む衝撃作でしたが、このBLがやばい2015でも6位と高評価を得ました。
好きな人には刺さる作品だとは思いますが、人を選ぶかなあという印象でしたね。
今作は暴力は皆無ではありませんがそこまでではなかったので、前作がNGだった人は読んでみてほしいです。(相変わらず痛々しい描写は生々しいですが、ほんのわずかです)
「しるされしアイ」
世話焼きミナミ×ヤンキー桜田。ヤンキー受けは基本ツンツンなのに、デレる瞬間がすごくかわいいのでけっこう好きです。
最初はミナミの方から桜田を好きになり、なにかとかまってくるミナミ。中3のあるとき桜田の交友関係のこじれから、ミナミが大怪我をしてしまいます。
それをひとつのきっかけとして桜田のほうに心境の変化があり、高校生になって恋人同士になる2人。高校は一緒でしたが、ミナミのほうは優秀で大学に進学。
進路が違うため不安になる桜田が、「寂しかった」とミナミに素直に言うセリフがかわいくて、やっぱりヤンキー受けはいいなあとにんまり。
中3から社会人になるまでの長い期間のお話ですが、急展開にファ!?となることもなくとても自然な流れで読めました。作家さんの力量ですね。
10代半ばという若者らしさや、お互いに進路や就職で不安になったり悩んだりするところも含めて、社会人になった2人の姿まで追えるのがよかった。
幸せそうな2人に心底よかったよかったと言いたくなりました。
「ヤングアンドラブリー」
表題作に加えてもうひとつ収録されています。ノンケ×ゲイにしてリバ!というワクワクのパターンのやーつですw
まわりには秘密でつきあうことで、お互いがぐるぐると悩むというお話。
同性愛が田舎という狭いコミュニティでどんな風にとらえられているのか、ちょっと考えさせられますね。
なんでもかんでもカミングアウトしてしまえばいいというものではなく、それぞれに立場があり思うところがある。その苦悩や葛藤は、当人にしか分からないこともあるでしょう。
最後はきちんとラブラブ(リバるし)なのですが、いろんな意味が込められた作品だなと思いました。
たなと先生が評価されるのは、その暴力性のある描写だけじゃないということが、この2作目のコミックで改めてよく分かりました。
どんなにセンセーショナルだったり過激だったりしても、結局はお話がおもしろくないとファンはついてこないと思うんですよね。
設定はありがちでも一筋縄にはいかないところや、王道とはちょっと違う路線を突き進むかんじなど、たなと先生のもっていきかたがツボでクセになりそうです。
「スキニーレッド」と同じような刺激を求める人にはちょっと物足りないかもしれませんが、一般的にはこちらの方が受けやすくて読みやすいと思います。
今風とはまた違う独特の絵柄を見て、たなと先生の作品を避けていた人にもお勧めしたいです。
しるされしアイはその他各電子書籍サイトでも発売されています。ご利用の状況に合わせてどうぞ。
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