作中のキャラクターが老舗の和菓子メーカー勤務なので、和菓子の「落雁(らくがん)」が出てきます。
お盆などによく見かけるお供え物のあのお菓子です。「落雁」という名前だと初めて知った私の一般常識力。。。
カラフルな見た目に油断していると、口の中の水分を全部持っていかれるあの素朴な味はどこか懐かしいです。
実家でお盆くらいにしか見かけないですが、しばらくは落雁を見かけたら「とける、ほどける」を思い出しそう。
優しくて心温まるヤスエイ先生らしいお話です。
和菓子メーカー勤務のリーマン八戸(攻)は、開発部の主任として働くもデザインに行き詰まり、後輩にデザイナーの松木(受)を紹介してもらいます。
初対面の松木は態度が悪く、あまり好感を持てない八戸。最初からまるでそりの合わない八戸と松木でしたが、実は松木は過去のトラウマから人間不信に陥っていました。
第一印象は最悪でしたが、八戸は30代の大人として何かと松木を気にかけます。松木は20代。そこは八戸の大人の魅力を感じさせてくれます。
包容力のある攻めっていいな。自分のことだけでいっぱいっぱいになるよりも、精神的に余裕のある男性はやっぱりかっこいいです。
一緒に仕事をするうちに、八戸の仕事ぶりや優しさを知って少しずつ心惹かれていく松木。これまで頑なだった松木の心も、じわじわとゆっくり溶け始めます。
八戸の強引さもあり、食事したりあれこれと世話を焼かれ、時にぎゅっと抱きしめられたりするうちに、八戸に対しての気持ちも変わっていく松木。
落雁が口の中でとけていくように松木の心も徐々にほどけていき、自然と笑顔も見せるようになるその姿が、とってもかわいいです。
松木は実はさびしがり屋という一面もある人なので、素直になってデレると急激にかわいくなるというギャップもいいですね。
八戸の男らしい告白や強引さもあり、2人はその後無事にお付き合いすることになりますが、キスもHもしっかりありいちゃつく2人がラブラブでキュンキュンしました。
髪を下ろした八戸もかっこよかったです。後輩を牽制するなど、実は焼きもちやきで嫉妬深いという(?)かわいい八戸の一面にもほっこり。
2人の出会いからずっと見てきましたが、恋する過程がとても丁寧に描かれていて無理がなかったので、初キスからHまで一通りを見守れて良かった良かったと素直に感動しました。
君とひと目合ったその日からラララーみたいな、お互いにビビッときたような恋も情熱的でいいですが、第一印象最悪!から少しずつ変化していく過程が見られるのは楽しいものです。
いつの間にか「もしかして俺、あいつのこと好きなんんじゃ」と気づく流れがナチュラルだと、こちらも納得できるというか。
温かい日本茶と一緒に和菓子を食べてちょっと一休みしたくなるような、そんなお話でした。
エロエロ重視の人には物足りないかもしれませんが、優しくて甘くてほっとするようなお話を求めている人にはおススメです。
奇をてらわないストーリー展開で話が散らからないため分かりやすく、BL初心者の方にもおススメです。
これまでパスタやジャムなどありましたが、スエイ先生の食べ物シリーズ、次は何が出てくるのか今から楽しみです。
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