とうとう合体に成功してエロエロで甘々の、ヒャッハーなゴロンゴロン展開だった前回28話。テンカウントクラスタのお祝いムード高まる中、また尊いエロスの続きかと思いきや満を持しての黒瀬くんの過去回です。
29話は扉絵をいれて合計21ページでした。エロは冒頭3ページであとは黒瀬くんの過去という構成です。とうとうですね。ここまできたら、もう皆で見守りましょう。このどうしようもないダメな大人2人のSM愛を、骨の髄まで。
復習として28話の感想はこちら。がっつりネタバレしていますのでどうぞお気をつけ下さい。
テンカウント5巻28話 ネタバレ感想
テンカウント29話はまさかのエロまっしぐらな最中に、黒瀬くんが昔のことを思いだすという展開からスタートです。テンカウント5巻の内容になりますのでコミックス派のかたはお気をつけください。
扉絵は黒瀬くんのソロ。枕を抱きしめて横たわるアイドル(?)ショットです。今はもう城谷さんという抱きしめるべき人がいますが、はたして抱きしめているのは枕なのか城谷さんなのか、はたまた別の誰かなのか。
本編では2人の愛の共同作業のまっ最中に、あえて黒瀬くんのソロ表紙ということは、ここからの黒瀬くん過去回を暗示しているともいえるかも。
そして本編です。
しょっぱなから城谷さんを上に移動させて動かす黒瀬くん。
いやこれ城谷さんは初合体ですからね?もうだめムリムリ言ってますからね?なのに城谷さんは体勢の変化にもスムーズに応じますw
さすが調教いらずな順応っぷり。「奥がじんじんするでしょ」と黒瀬くんの下からの突き上げにも感度は良好な様子です。これだから城谷さんはもう!いいぞもっとやれ。
騎乗位も当然のように受け入れて気持ち良くなり「なか、いっぱいにして」とおねだりまでこなす城谷さんがすごい。どんだけー!(古)
城谷さんに素質があるということもあるでしょうし、そういう素質をも見込んでここまで導いてきた黒瀬くんもあっぱれです。
これまで欲望を抑え込んできたぶん、城谷さんも開眼しちゃったというよりは塞き止められていたダムが決壊した感じでしょうか。
グズグズの城谷さんにおねだりされて興奮MAXな表情の黒瀬くんが、ここで昔のことを思い出して回想へ。
さあ黒瀬くんの幼少期に突入です。ヤッちゃってる間に回想なんですね。ひと通り終わってからかなと思いましたが。
城谷さんの何かが昔を思い出させたのかなと思いきや過去に突入し、チラ見せで背中を見せていた髪が長めの彼の顔を見てドキッとしてしまいました。
あ、あのう、この人城谷さんに顔立ちが似てません?いやいや待て待て。そう決めるのはまだはや。。。いいや!やっぱ似てる。お綺麗な顔、特に目元。特に横顔のときの目が城谷さんにすごく似てる。
ということは、まさかこの人の面影を城谷さんに見てる!?いやいやそれはいくらなんでも早急すぎ。安直すぎ。と自分に言い聞かせる私。
早々に深読みしながらページをめくりますが、似ていることを否定したいような否定したくないような微妙な気持ちです。
この青年の名は「西垣さん」ああ、なんか苗字の響きまでも「城谷さん」に似てるようなあわあわ。(文字数だけじゃん)
回想シーンは、チビ黒瀬くんが小学生のころのようです。西垣さんの暮らす古い部屋でくつろぐチビ黒瀬くんが、西垣さんに「まだ居たのか」「そろそろ帰れ」と言われます。
別に誰もも心配しないしとチビ黒瀬くんが反論するも、そう見えるだけで親は本当は心配しているものだと諭す西垣さん。
しかし黒瀬家は実際、母親は自分にしか関心がなく息子に無関心、父親は仕事人間というある意味崩壊した家庭でした。
母親は母親でいることよりも女でいることを優先し、自分が大好きなタイプ。父親は父親で、母親は連れ歩く際のアクセサリーと見ているような、誰もがチビ黒瀬くんには興味を示さない形だけの家族。
家政婦を雇う余裕はあるも、父親は海外出張などで多忙を極めている。家族の食卓の場でも、会話は父親と母親の身勝手な会話のみです。
息子であるはずの黒瀬くんなど別にいなくてもいいような、彼らの視界にすら黒瀬くんは映っていないような、異様な雰囲気の食卓。
そしてそのことを異様だと感じていない両親の異様さ。黒瀬くんはこんな家庭で育ってきたんですね。そりゃ歪むわ。
物質的には何不自由もなく暴力に怯える生活でもない。だけどそこに親子らしい団欒や血の通った温かみはない。こんないびつな家族関係の中で育つなら、強烈な寂しさや孤独を抱えるようになるのは当然のこと。
家庭の中で自分の存在に関心を持たれずに過ごすのは、子どもにとっては耐え難いものではないでしょうか。
母親や父親が自分に関心をもち、興味をもち、話を聞いてくれて、叱ってくれたり、褒めてくれたり、笑顔をむけてくれたりする中で、子どもは安心して甘えたりしながら思いやりを知ってゆき、他人にも優しくすることができるようになる。
自分を愛し人を愛することができるようになっていく。その礎を築くのが、本来は家庭の役割のはずです。
チビ黒瀬くんにとっては、そういった家庭の環境がなかったんですね。だからそれを他人に求めようとした。人は愛し愛されることを望む生き物だから。
ワザと母親のお気に入りの服を汚しても、母親はチビ黒瀬くんを怒りもせず、まさに無関心。
すれ違うだけの他人ばかりのような空間で幼少期を過ごすという寂しさを埋めるかのように、チビ黒瀬くんは西垣さんの家に毎日のように入り浸るようになっていきます。
西垣さんとの出会いは1年前。
チビ黒瀬くんがわざとボールを投げてガラスを割り(これもおそらくは両親にかまってほしかったからしたことでしょう)、家政婦さんと一緒に西垣家に謝りに行ったときでした。
それ以来なんとなく西垣さんの家が気になり、チビ黒瀬くんは西垣さんの家に通いつめるようになります。
西垣さんのほうも、心底ウェルカムというわけではなくとも追いだしたり追い返したりはしない。2人の関係は傍目には異様なものに映っていたかもしれません。
チビ黒瀬くんは城谷さんの回想のなかのチビ城谷さんとは違って、ずいぶんと大人びて(というか冷めて)見えます。同じ小学生なのに、ずいぶんと対照的な2人。
チビ城谷さんが父親の愛情をたっぷり浴びて育ったことに対し、チビ黒瀬くんは決して愛情深い家庭というわけではなかったことも踏まえて、2人を対比するような描きかたが興味深いです。
チビ黒瀬くんが喜怒哀楽をあまり表に出さないのは、幼少期に家庭が家庭の機能を成していないことから、感情をうまく表に出せなくなったという流れがあるのかもしれません。
悪さをしても怒られない、良いことをしても褒められない。何をしても親が自分の方を見てはくれない。自分には無関心な親を前に何をしても反応がないと知れば、それは子どもにとっては絶望でしかありません。
反応がないから自分も反応を返しようがなく、結果無表情になっていき喜怒哀楽も表現しなく(できなく)なる。いつしか親に対してだけでなく、誰に対しても表情がうまく表せなくなってしまう。本人が意識しようとしようまいと。
大人になった黒瀬くんの表情がなかなか変わらないのは、もともと表情が表に出るタイプではないということもあるでしょうが、この家庭環境による影響もかなり大きいんじゃないかと思いました。
これまで黒瀬くんは言葉数も多くないし無表情だしで、その感情を図りかねていましたが、そういう家庭の状況を思えば納得できるなあと腑に落ちたり。今まで散々むっつりだとか言ってごめんよ。
おっといけない、また深読みして話がそれてしまいました。
そんなチビ黒瀬くんにとって西垣家は、逃げ場所でもあり居場所でもあった。他人でもいいからそばにいてくれて、自分に無関心ではない人を求めていたのでしょう。無意識に、自分の居場所を欲していたのでしょう。
そして西垣さんのほうも、チビ黒瀬くんを過剰に構うこともしなかったけれど、まったくの無関心でもなく、ブツブツと小声で文句を言いながらも何かと気にかけてくれていました。
だからチビ黒瀬くんも安心して西垣さんの家に遊びにいくようになります。西垣さんはおそらく20代の青年だと思われますが、手は荒れてガサガサ。(誰かさんを思い起こさせます)
いつも家にいて在宅で仕事を請け負っているようで、パソコンのモニターの前で仕事をこなす日々。テープレコーダーとイヤホンをしているのでテープライターとかの仕事なのかもしれません。
西垣さんはチビ黒瀬くんが家に入るのは拒みませんが、除菌スプレーで必ず消毒させてから家に入れています。
こちらもおそらく孤独だったのでしょう。まだ語られてはいませんが、西垣さんがこうなった背景も決して明るいばかりではない何かがあるものだと予想されます。
そんなあるとき、チビ黒瀬くんは西垣さんがいわゆる「潔癖症」であることに気づきます。図書館で調べるうち「親しい友人は除菌後に家に入れる」という潔癖症の人の特徴を表すような一文を見つけて、ちょっと嬉しそうなチビ黒瀬くん。
「親しい友人」そんなふうに思ってくれる人と一緒にいる。その心強さに、チビ黒瀬くんが西垣さんにどんどんはまっていくのが理解できます。
両親に「親しみ(≒愛情)」を与えてもらえず、ゆえに当然自分も家族に親しみを覚えられないチビ黒瀬くんは、家族ではなくとも他人の大人が自分を大切に思っていてくれることに喜びを感じているんですね。
まるで埋められなかった孤独を埋めるかのように他人の家に入り浸り、家庭では得られないものを得ていく。私はそれもありだと思うんですよね。家族(親)に恵まれなくとも、他人によって与えられ(そして与え)ることで幸せになる。
本来なら与えるのは親の仕事のはずですが、残念ながら黒瀬くんの両親は与える意思のある人たちではなかった。いつまでも自分中心の人たちだった。
だからそれを他人に求めて拠り所としたチビ黒瀬くんが、とてもいじらしいです。ごくわずかですが黒瀬くんの嬉しそうな表情とか、両親に奪われてしまったこういう表情をもっとたくさん見たいと思ってしまいます。
黒瀬くんの両親の身勝手さや無責任さを知ると、よけいにチビ黒瀬くんが愛おしく見えてきます。。。
ある日、勝手知ったる西垣家で、西垣さんに背中にもたれてくつろぐチビ黒瀬くん。チビ黒瀬くんってばいつの間にか排水溝が汚れているとか、チェックしてるんですよ。嫌味な小姑みたいwそんな黒瀬くんに西垣さんイライラww
だけど背中にくっついて甘えるチビ黒瀬くんに、決して出ていけとは言わない西垣さん。お互いに欲しかったものを埋めている、補い合っているようにそっと寄り添う2人。
そんな西垣さんですが「外で働くか」とつぶやきます。
誰とも関わりたくないから在宅の仕事をしている西垣さんですが、このまま人間関係をいっさい絶ったままひとりではいられないだろうと考えている様子。
西垣さんにどんな背景があって手が(洗いすぎて)痛々しくボロボロなのかは分かりませんが、この人もかなり追いつめられている。
黒瀬くんが来るまでどれくらい独りだったのか不明ですが、かなり深刻に孤独を感じてる西垣さん。そんな西垣さんに対して、黒瀬くんが口を開きます。
「おれが居るじゃん」
驚いたような表情の西垣さん。
29話はここで終了。30話に続く。
く~~またいいところで終わりました。この後西垣さんは黒瀬少年にどんな反応を示すのでしょう。この黒瀬くんの言葉に少しでも救われたと感じてくれると良いのですが。
チビ黒瀬くんが西垣さんを心の拠り所としているように、共に過ごすことで救われているように、西垣さんにとってもチビ黒瀬くんの存在が少しでも救いとなっていることを祈ります。
しかしそうなるといっそう別れが辛いものになるなあ。(いや別れると決まったわけではありませんが)
西垣さんもまだ謎な人ではありますが、おそらくこの人が黒瀬くんがカウンセラーになろうと決意するに至った原点ということになるのでしょう。かつ、チビ黒瀬くんの初恋の人なんだろうな。
城谷さんに似てるのは。。。うぬぬ。いやいや今は考えまい。でもなんとなく西垣さんには今後の明るい未来を感じさせないというか、薄幸な雰囲気が漂っているように感じるのは私たけかしら。ごにょごにょ。
いや別に哀しい別れがあると決まったわけではありませんがね。うん。ホラなんとなーくね。杞憂ならいいのですが。
きっとたくさんの読者がそう感じているように、絶望的な展開になりそうな嫌な予感が私もしていてソワソワします。まさか西垣さん、今はもう生きていないとかなんじゃ。。。(小声)
いやいや!そんなことはない!けっして!と信じたいですね。潔癖症も昔のこととして、きっとどこかで誰かと幸せに暮らしている。チビ黒瀬くんとの時間を良い思い出として大切にしながら。。。と、思いたい。
宝井先生のことだから、このあと西垣さんとチビ黒瀬くんの絆を深めた後でドーン!みたいな、いったん上げてから奈落の底に突き落とすというドSっぷりを発揮されたらどうしよう。
それこそ業が深いなあ。城谷さんに似ているだけに。いやこの場合、城谷さんが西垣さんに似てる、になるのか。
まあでも城谷パパも黒瀬くんに微妙に似てるし(いやこの場合も逆で、黒瀬くんが城谷パパに似てるのか)、なーんだお互い様じゃん。わーい解決☆
・・・にはならないですよね。
早く30話が読みたいです。
次号ディアプラス5月号は4月14日発売です。30話というキリのよい数字をお祝いするかのように、巻頭カラーということで楽しみです!
相変わらず私の煩悩だだ漏れの、長い考察のような感想のようなものを最後までお読みいただきありがとうございます。
また4月14日にお会いしましょう。
追記)30話の感想を書きました。
テンカウント30話ネタバレ感想 ディアプラス5月号
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実写映画になったセブンデイズは「このBLがやばい2010」で5位受賞作です。
BLではない漫画も発売されています。2014年11月発売の、宝井理人先生の意欲作。
先生のBLコミックスはその他各電子書籍サイトでも発売されています。ご利用の状況に合わせてどうぞ。
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