「Season」ネタバレ感想です。

麻生ミツ晃先生が7年かけてコツコツと描かれてようやく完結して、2016年2月29日(うるう年)に発売された作品です。表紙のイエローとブルーの色彩が印象的ですが、タイトルの通り春夏秋冬、季節がめぐりめぐってゆく美しいお話です。

BLは年単位で描かれる作品も多いですが、いろんな事情で結局単行本にならずにひっそりと終わっていく作品も、実は多いと思うんですよね。

そんな中での7年越しの完結。一般漫画以上に限られたBLというフィールドで、何年も何年もかけて積み上げられコミックスとして仕上がった作品には敬意を表したいです。

7年と言う年月の重みと想いを十分に感じさせてくれる物語です。

Season 電子書籍


Season

Season

Season

Season 感想 ネタバレあり


奉公に出された先で辛い思いをしていた松岡(攻)は、ある時幼い東(受)の優しさに救われます。

それは東にすればささいなことでしたが、松岡にとっては忘れがたい大切な記憶となり、いつかその恩を返すことを心に誓って大人になりました。

父が亡くなり困窮する東の前に現れた松岡は、金貸しとして成功し、恩返しをしたいと援助を申し出ます。昔のことなど記憶にない東は当初は松岡を疑いますが、その姿勢や誠実さに少しずつ惹かれていく。

松岡は金貸しという仕事上、汚い金にまつわる世界に身を置いているため暴力も日常茶飯事。すべては東に恩を返すためとはいえ、こんな醜い自分を見られたくないという気持ちもある。

なのに愛しく思う気持ちには抗いがたいものがある。。。松岡のその冷静な態度とは裏腹なじりじりするような葛藤も、東への一貫した「ぼっちゃん」呼びと並んでぐっときました。

東が松岡に対して追いつこうと健気で懸命なところ、そして目標を見つけて松岡と対等になれそうなほどに成長した姿にも感動しました。

余裕のない感じや抑えきれない欲望がチラチラするエロも、じっくり描かれる分いっそうエロさが際立っていて、特に花火大会の時のエロは秀逸です。

1本の映画を見るかのように、2人の奇跡を一緒に辿ったような感じがして胸がいっぱいになりました。

この2人はきっとこの後、季節が何度めぐっても共に過ごすんだろうな。そうであってほしいし、きっとそうなるはず。ただもう静かに2人の幸せを祈りたいような、じわじわ幸せで清々しい気持ちです。

時代物という点と、多少の痛いシーン(流血描写あり)さえ地雷でないならぜひお勧めしたい1冊です。

麻生ミツ晃先生のBLコミックス


only you,only【通常版】

only you,only【通常版】

only you,only【通常版】




 カテゴリ