さがのひを先生の7冊目のコミックスです。幽霊モノは悲哀になる確率も高いし、ドキドキハラハラしながら読みました。
表紙のステキな水彩画風のタッチからも読み終えてから切なくなるやつなんじゃないかと構えていましたが、杞憂に終わってホッ。
よかった。よかったよー!微笑ましくてきゅんとして、幸せな気分になりたいときにおススメの作品です。
あと、さがの先生ご考案の元々のタイトルがあとがきに書かれてるんですが、そっちにならなくてよかったですw
コンビニ店長のコウスケ(受)が一人暮らしの部屋に帰宅すると、そこには包帯だらけの知らない人が。
シロサキと名乗るこの青年は、名前以外の記憶がなく自分を幽体だと主張する危ない男。だけどどうやら言っていることは本当のようで、2人の奇妙な同居生活がはじまります。
コウスケの「ぴぎゃああああ」っていう悲鳴とかギャグ顔とか、いちいちかわいいです。まあ実際こんなことあったら怖すぎて悲鳴すら上げられないと思いますが。。。
霊体なのに物に触れることができるので、家事をやってくれたりと何かと協力的なシロサキ(攻)は、自分が生きていた頃にゲイだったことを思いだし、コウスケに「お前もそうだろ」とあっさり指摘。
実はコウスケには高校から10年の付き合いになる彼氏がいて、最近彼氏とあまりうまくいっていない状態なのでした。
コウスケの職場で使うイベントの衣装を手作りしてくれたりするうちに、自分がデザイナーだったことなども少しずつ思い出すシロサキ。
一緒に暮らすうちコウスケは、シロサキが昔自分に懐いてきたシロ(犬)のように見えてきたりと、2人はなんだかんだ少しずつ仲良くなっていきます。
しかし一方、霊体であるシロの包帯が取れていくなど気になる変化もあり、霊体になる前の元々の身体は回復しているのではと感じるコウスケ。
「いつか消えてしまうかも」と不安げなシロに、コウスケは力強く励まします。
シロにコウスケがいてくれて良かったですよね。こんな訳の分からない状況で、自分を信じて味方になってくれる人がいるってすごく心強いと思います。コウスケの順応性やコミュ力(?)がすばらしい。
普通シロみたいなこんな状態になったらパニクると思うんですけど、なんやかんや言いつつもコウスケがシロを受け入れてくれたから、シロも冷静になれたのでしょう。
そんなコウスケにシロはだんだん惹かれていきます。
コウスケの彼氏が身勝手に別れを告げに来た時も、いい人ぶろうとするコウスケに思わずシロが飛び出して行ったり、慰めてくれたりと優しいシロ。
ですがそのことで喧嘩をしてしまい、シロは思わず出て行ってしまいます。実はそれまでにも、もしかしたら自分は自ら命を絶とうとしたのではないかと感じていたシロ。
とうとう事故にあう前のことを思い出しますが、実は幽体になる前にコウスケと出会っていたこと、コウスケに救われていたこと、そしてなんとしても「生きたい」と強く思うことで、霊体から自分の身体に戻って行きます。
ここからはコウスケにの頑張る時間です。
シロへの気持ちを自覚し、会おうと行方を探し走り回るコウスケ。霊体の時の記憶がなくてもいい、また最初からはじめればいい。
そう思いながらシロの眠る病院に走るコウスケ。そして再会。シロの記憶がどうだったのか、最初のひとことがどんなだったのかはぜひお手に取ってご確認を。
この上ないハッピーエンドだということだけはお約束できるかと思います。
ところで、コウスケのコンビニのデキるバイト頭の有田くん(20)に無限の可能性を感じたのは私だけでしょうか。ムッツリないい攻めになると思うの。(本編のサンタコスの時にもう目をつけてました)
電子限定のおまけ漫画にも、有田くんがいい感じに出てきてくれてニヤニヤ。コウスケに頼んだ武道館のチケットって誰と見に行くのかなあ。同じバイト仲間の癒し担当のふんわり頭の彼とかどうでしょう。
有田くんが手に持ってるチラシをよーく見たら「武道館」ってちっちゃく描いてあるんですよね。しかも3人組の歌手っぽい。パヒュ○ムとかかな。(どうでもいい推測)
最後のシロの家族への紹介も、シロファミリーの温かさに微笑ましくなりました。特に元カレのことでいろんなことをあきらめていたコウスケには一番嬉しいことでしょう。
さがの先生はギャグ絵もかわいくて、病院のシーツで密かにチーンって鼻をかんでるコウスケとか、描き下ろしの「ハートがイった」とか、主にコウスケにニヤッとさせられました。
重すぎないお話に絵柄が合っていて、展開も自然ですごく読みやすかったです。表紙の通りの優しくてちょっと切なくて、でも幸せな気持ちに浸れる1冊でした。
その他各電子書籍サイトでも発売されています。ご利用の状況に応じてどうぞ。
私はさがの先生の水彩絵がすごく好きです。淡い色使いもいつまでも見ていられそうなノスタルジックな雰囲気にもうっとり。。。
↓は図書館でチョコ渡そうと彼氏を待ってるコウスケだそうです。背後の本棚の感じとかすごく好き。
ツイッターにも時々水彩イラストの途中経過を動画でアップされているので、いつか水彩イラスト集とか出してほしいです。
やっと完成〜背景のセピアが濃かったので少し水で落としてラベンダーや青系の色味を足しました。#ガチ制作会 pic.twitter.com/4VMwa4CIjh
— さがのひを新刊2月24日発売 (@ssshiwo) 2016年2月18日
さがの先生のその他BLコミックス。