たゆみまゆ先生の「傘を持て」ネタバレ感想です。

傘と雨と2人の青年。このすっきりとした表紙だけ見ると甘酸っぱい青春BLのようですが、中身は暗雲渦巻く任侠BLです。

ブレなく安定した絵柄が魅力で静かに流れる淡々とした描写が心地よくもあり、なのに描かれれる世界はヤクザものというギャップがステキでした。

前半にいい味出してるなと思っていた脇キャラが、後半メインとなり輝いてくれたのもポイントです。

高校の頃から組長の息子として重圧に苦しみ、性格上合わないヤクザという世界に翻弄される城田(受)

雨の日だけひっそりと涙を流す城田を、じっとみつめていたのは秀才の優等生畑中(攻)でした。

なぜか自分にかまってきたり、そっと傘を差しだしてくる畑中に戸惑う城田。畑中からの「限界が来たら海外に逃げよう」という提案を笑って流すも、いつしかそれを心の支えにするようになっていきます。

畑中が大学に入ってからもその頭脳で組の仕事を手伝ってもらう城田は、手伝う条件にキスを要求されます。自分に執着する城田に戸惑いながらもキスは拒まない城田。畑中のほうは高校の時からずっと城田を想い続けています。

優秀な頭脳に加えて他人には容赦のない畑中は、城田よりもヤクザは向いたゲスさを持ち合わせている。

ぞっとするほど冷酷で残忍。この性格にこの能力ならどの世界でも確実に出世できるでしょうが、絶対に敵に回したくないタイプですね。おーこわ。

大学を卒業した畑中は組に入り順調に上り詰めていきますが、本当はこんな世界にいる人間ではないはずの畑中が組に染まって行くのに胸中複雑な城田。

そうしていつしかお互いに30代を迎えます。

ある時、大平組の金本にはめられて金を要求されるも、畑中に窮地を救われる城田。畑中は自分の居場所は城田のいる場所だと腹をくくっているようで、城田のほうもその覚悟を感じとります。

身内であるはずの川田にもはめられ、とうとう仕事に限界が来た城田。15年かかりようやく実現した2人の海外への逃避行を手助けしてくれたのは、なんとあの金本でした。

人の本性を見たいがためにこの仕事をやっているとのたまう金本。こちらも畑中とはまた違った種類の狂気を感じます。

ただのいいおじさんキャラというわけではなく、逃亡後の自分の利も当然視野に入れているあたりが食えない奴ですがどこか憎めない。

金本は畑中を気に入っているようですが、畑中も畑中で金本の気持ちを知りながら利用する気満々。要するに根底では畑中と金本は似た者同士なのでしょう。

似た者同士は、似ているがゆえに惹かれあうか反発しあうかのどちらか。この2人は後半に進むにつれ持ちつ持たれつな関係になりますが、金本と畑中が同じ組で仲間であれば最強で最狂だったんじゃないかと思ってしまいます。

結局、畑中と城田の海外逃亡は今のところ無事に成功し、金本にも思いを寄せていた部下(こちらは20年越しの恋)との関係がまとまり一応のハッピーエンド。

任侠が絡む世界なので今後もいつ何が起きるか分かりませんが、つかの間の幸せでも2人で寄り添って暮らしてくれるといいなと思います。

畑中については大学がT大だから政治家や官僚にも強いでしょうし、15年も組に関わっていたからあらゆる人脈がありそうで、まだまだ叩けば面白そうなエピソードが隠れていそう。

何か国語も話せるとかハイスペックすぎます。金本に贈ったピアスにも何かあるんじゃないかとか深読みしたくなりますね。あれは絶対に何かあるに違いない。

金本が女には甘いというのも人間味があっていいキャラだと思いました。

描き下ろしは本編とは全く別の逃亡中の男たちと関わる青年の短編で、余韻を残すようなお話にけっこうぐっときました。

逃亡物はBLに関しては特に、彼らをそっとしておいてあげてほしいという気持ちから、無事に逃げきってほしいと思ってしまいますね。

エロはありますがクドくないかんじであっさりめ。静かな流れの中にも執着や愛憎を感じる作品でした。



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