ゆき林檎先生の「玉響」ネタバレ感想です。

「このBLがやばい2015」で22位の切なくて胸が苦しくなる大正ロマンBL、秀作です。

時は大正11年。幼いころ、貿易商の御曹司ながらハーフという外見から(正妻の子ではない)いじめられていた麻倉は、高校へ入学し立花と同室になります。

立花は昔いじめられていた麻倉の心の支えだった人。だがある時、麻倉は立花と女性の情事を目撃してしまいます。苦い思い出のままの麻倉。

しかし立花のほうは、ずっと麻倉のことが好きだった。高校で再会し、立花は「今でも好きだ」と伝えます。立花は昔麻倉が落としていったビー玉を今でも大切に持っていました…。

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学校生活を過ごすうち、立花は親の事業の失敗により退学になります。さらに御曹司である麻倉に持ち込まれる縁談。そして大正の関東大震災などにより、また離別する2人。

大正という時代背景による、身分差、差別、偏見、家柄。お互いの葛藤やすれ違い。ほのかに、だけど確かにお互いを想いあいながらも結ばれず・・・

時は残酷にすぎていきます。

麻倉は立花を探し続けますが、とうとう翌日に自分の結納が迫ったある日、ようやく立花を見つけます。

しかしようやく探し当てた、再びめぐりあえたかに思えた立花は、知らない女性と幸せそうに暮らしていました。

麻倉は初めて、立花に自分の気持ちをぶつけます。

そして、長い長い別離を経てやっと結ばれる2人。麻倉は婚約を破棄する覚悟を決め、共に生きていく決意を固めます。

約束は、あのころのままのビー玉に誓って。

ただ2人の決意は美しいだけではなく、これまで人生を支えてくれた人たちを、家族を含めたくさんのものを犠牲にすることでもありました。

何かを選ぶということは、何かを選ばないということ。

世の中が今よりもっと不条理であった大正期。男2人で生きていくことを選び、その後の人生を終焉まで誠実にまっとうした立花と麻倉。

ラストでは、年老いた麻倉が、小説家として立花が最後に遺した作品に目を通します。

それは、2人で暮らした頃の思い出がつまった、麻倉のために向けた麻倉のためだけの小説でした。

立花の遺作小説の最後には、こう記されています。

共に過ごしてくれてありがとう。

また、いつか。

繊細な美しい絵と、淡く切なくて甘い物語。

「大正ロマン、学生服・着流し、全寮制・旧制高校、幼馴染、再会・離別、許されざる恋」

このへんのキーワードの、なにかひとつでもひっかかる人なら、ぜひ読んでみてほしいです。

読後の余韻はすばらしくて、心に残る大好きな作品です。

そんなゆき林檎先生ですが、なんと!玉響を最後に辞めるつもりだったという衝撃の事実が、インタビューで語られていました。

ゆき林檎先生のインタビュー記事はこちら。

なんかショックだー。いろんな事情があるのでしょうが、線が細く絵もきれいで、ストーリーも素晴らしい玉響のような作品を書ける人が、BLから去ろうと思っていたなんて。

でも最新は「CRAFT」にも掲載されているし、玉響のあとに初恋は群青に溶ける」も出版されているので、きっと今後もたくさんの素敵BLで萌え転がせていただけるということですよね。

3/20には「玉響」のドラマCDも発売されます。立花寅一(平川大輔)×麻倉通忠(松岡禎丞)、これはもう聴くしかないでしょう。楽しみです。

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