黒瀬くんをデートに誘った城谷さん。三上君のナイスな助言に影響されて少しは恋に主体的になってきました。そんな城谷さんの変化を嬉しく思う黒瀬くんは相変わらずクールですが、どこか嬉しそうです。
会えるのが楽しみで待ち合わせ場所に早く行ってしまうとか、ヤることはヤっているのになんとも甘くて可愛らしい2人。こんな黒瀬くんと城谷さんを永遠に見ていられるかと思ったら、そうはいきませんでした。
デートする黒瀬くんをじっと見ている謎の美女が現れるというところまでが33話。からの34話は、ここへきてまたひとつ宝井理人先生がぶっこんできてくれました。前回のテンカウント33話の感想はこちら。ネタバレ注意です。
テンカウント33話 ネタバレ感想
黒髪長髪という風貌から、よもやまさか植田嬢なのでは?説にこの1ヶ月悶々と暮らしてきましたが、とうとう34話で判明します。嫌な予感ほど当たるのはなぜでしょうね。ぶつぶつ。
それでは以下、宝井理人先生の「テンカウント」34話の感想です。
テンカウント6巻 電子書籍
テンカウント6巻34話 ネタバレ感想
事前にアナウンスがあったようにディアプラス9月号は10ページと短めでした。テンカウント5巻の発売日が8/30と目前に迫ってきたので宝井先生もお忙しいことでしょう。
扉絵はチラ見せの通りの笑顔で城谷さんが素足で海辺でキャッキャウフフしているシーンでした。それをきっと見つめているであろう黒瀬くんの優しい表情は妄想で補うこととします。
2人とももうこのまま南の島へランデブーするがいいさ。海辺のおしゃれなホテルで2度目の初夜を迎えるがいいさ。
そして本編。
確信犯的な美女のやり口に驚愕
今まさにデートに出発しようとしている城谷さんに、その後を追う黒瀬くんのそばを美女が通りがかります。黒髪長髪、肩を出すファッションに身を包んだスタイルの良いその美女は黒瀬くんを見つめ、おもむろにバッグからキーリングを取りだしました。
うわわ、まさか鍵をわざと落とすんじゃ?と思ったら案の定、何食わぬ顔をしてキーリングをその場に落とし、背を向けて歩き出します。ひいい。
さ、策士だ…!すごくナチュラルにやりましたよこの女の人。こういうことに慣れてるのかなっていうくらい自然な流れでやってくれました。
しかも黒瀬くんにチャリンという音が聞こえそうな位置で落とすという、人の親切心巧みに利用したなんとも確信犯的なやり口です。せ、世界一嫌なチャリンを聞いてしまった。
こういうことってとっさに思いつくかな。もしかして常習犯なのかしら。「落としましたよ」「あっすみません」「いいえ」「助かりました。あの良かったらお礼にお茶でも」という流れるような展開にもっていくための偶然を装った逆ナン。
多少古典的なやり方ですが、こうも自然にやられると古さを感じないというか恐怖の方が勝るという斬新な手口です。
黒瀬くんはそうとは知らず、キーリングの落ちた音に気づきました。あああ黒瀬くん拾わなくてもいいやつそれ!と言いたいところですが、普通目の前で落し物をした人を見たら拾って声をかけますよね。
そんな事とはつゆ知らず先を歩く城谷さんは、自分から誘ったお出かけだから今日は黒瀬くんのペースに乗せられたらダメと固く決意します。そんなことしてる場合じゃないよ城谷さんっ。ああでもかわいい。天使。
黒瀬くんをふりかえる城谷さんですが、ついてきていると思った黒瀬くんの姿が見当たらずきょろきょろ。そしてちょっと離れたところに女性と話す黒瀬くんの姿を見つけます。
知り合いと話しているのかとぽかんとしている城谷さんに気づいた黒瀬くんは、女性と別れようとします。しかし、その女の人の顔を見てハッとする城谷さん。
謎の美女の正体は植田嬢
ここで残念なお知らせです。やっぱりでしたよ皆さん。この美女はやはりあの小学生の天使城谷さんを追いつめた植田嬢、まさにその人でした。あーあ…。
私はテンカウントは城谷さんの過去と黒瀬くんの過去が明らかになり、合体も済ませ恋人になったあたりで一段落、そして終幕に向けてのラストスパートで西垣さんが再登場してひと盛り上がりしてハッピーエンドかなと思っていたんですよ。
なのに出てきてほしい人ではない人がドーンと出てきちゃう形になりました。植田嬢、あなたまさか再登場するなんてね。しかもいい人になってるとかじゃないパターンという最悪のルートです。
黒瀬くんの連れが男だったことに驚く植田嬢に、城谷さんは昔の植田嬢にされたことを思い出してとっさに口元を隠します。吐き気がしたのか、顔を隠そうとしたのか、素早く2人に背を向ける城谷さん。
植田嬢のほうは、まだ城谷さんには気づいていないようです。さすがに10年以上経っているし、一目でというわけにはいかないのでしょう。
そもそも昔傷つけられたことで大人になっても苦しんでいたのは城谷さんだけで、植田嬢はそんなことはきれいさっぱり忘れてい生きていそうです。いじめられた方はずっと忘れないけど、いじめた方はあっさり忘れてるっていうのによく似ています。
城谷さんは自分の反応が不自然だったかと思いながらも、気づかれないようにしようと顔をそむけたまま、黒瀬くんに「先に行っていますね」と、この場をなんとか切り抜けようとします。
なのに現実はそうはうまくいきません。先に行こうとした城谷さんを、黒瀬くんが呼び止めてしまいます。「城谷さん」と呼びながら。
内心激しく動揺する城谷さん
ああもう黒瀬くん今のはガッカリプレーでしょおおお。城谷さん、きっと今一番黒瀬くんに言ってほしくない言葉だったと思うな。いつもは優しく響くであろう黒瀬くんの声も、今日ばかりは哀しい響きとなって城谷さんの耳に届いたはずです。
でもこのシーンも仕方ないことですよね。黒瀬くんからすれば目の前の女性は、ただの通りすがりの落し物をした人にすぎないわけですから。まさか目の前の女性が昔城谷さんにトラウマを植えつけた張本人だなんて思いもよらないはず。
もしかして忠臣くん?と、名前を呼ぶ植田嬢。黒瀬くんはここで知り合いなのかなと気づいた様子です。くうう「忠臣くん」なんて黒瀬くんもまだ名前呼びじゃないのにやめてええええ。
雰囲気がだいぶ違うからすぐわからなかった、と植田嬢の言葉に、城谷さんは「また戻りたくない」と拳を握りしめます。
せっかく黒瀬くんのおかげもあって少しずつ潔癖症の症状もましになりつつある今、また昔の自分に逆戻りなんてしたくない。会わずにいられるなら昔を思い出す人には会いたくもない。城谷さんの考えはもっともです。
が、ここは城谷さんも大人でした。ポーカーフェイスを装い、急いでて気づかなかったと植田嬢に向き合って笑顔であいさつをします。
社会人も数年経つと、内心怒り狂っていようがイライラMAXであろうが、何事もなかったような顔で世間話くらいはできるようになります。城谷さんも31歳、会社では立派に秘書業務に従事しているだけあって表面上の動揺は見せませんでした。
本当は一刻も早くこの場を離れたい。植田嬢にお店の予約の時間があると告げて、またゆっくり電話しますと伝える城谷さん。
植田嬢と城谷家の今の関係が謎
ん?また電話する?
ってことは電話番号を知ってるってこと?なぜホワイ!?えっえっなにまさかまだ植田嬢って城谷家とつながってるってことですか?この期に及んでまだお父さんがらみ?ちょ、ここ最近で一番混乱してます私。
それとも城谷さんの社交辞令なの?にしては「またゆっくり電話します」って普通言いますかね?「お店の予約があるので失礼します」くらいが通常運転だと思うんですが…。
しかも「また電話します」って城谷さんが言った後の植田嬢の顔が、超わっっっっっっるい顔なんですよ。見下してるようなバカにしているような、蔑むような上から目線がいやらしい薄ら笑い。ひいい。
ぜったい何か企んでいる悪い顔。悪だくみとかそういうレベルを超えた、いたぶるターゲットを見つけた狩人の表情そのもの。もうこのコマだけで植田嬢とは絶対仲良くできないなと確信。ひいい。
植田嬢は一目で城谷さんと黒瀬くんの関係を見抜いた、というか女の嗅覚で感じとったと思うんですよね。で、城谷父の時と同じように城谷さんから大切なものをふたたび奪おうと画策している。
さらに図々しいことに、植田嬢は「ご一緒してもいいですか」と、デートに割り込むように口を挟んできます。城谷さんに会うのも久しぶりだし、鍵のお礼にお茶くらい奢らせてください、とにこやかにぐいぐいくる植田嬢。愕然として冷や汗をかく城谷さん。
というすごいところで、ディアプラス9月号のテンカウント34話はおしまい。ひいいいどうなるどうする!?
感想まとめ
あ、ある意味すごいですね植田嬢。こういう女性を肉食っていうんでしょうか。メンタル強すぎます。偶然を装って鍵を拾ってくれた人をナンパ(?)して、お茶に誘うとか私は絶対できないなあ。
しかもその人の連れが知人だったとして、普通そこに混ざろうとします?神経が図太いというか、この強引さや引かない態度で周りの人を振り回してここまで生きてきたのでしょうか。
これまで植田嬢のこういうやり方で、城谷さんをはじめいろんな人たちが辛い思いをしたり人間関係がめちゃくちゃになったりしてきたのかと思うと…。
植田嬢は城谷さんが小学5年生の時に高校生だったので、今35~37歳くらいとして、こんなにキレイでスタイルもいいのに性格に難ありで残念すぎます。美貌が台無しだ。
もう城谷さんのことはそっとしておいてあげてほしいですが、こっちだってもう昔の城谷さんじゃありません。なにより黒瀬くんという強すぎるパートナーができている。
黒瀬くんにありのままの自分を受け入れられ、やっと自分というものを肯定し受け入れ変わりつつあった城谷さん。
もう昔のように他人や自分の全てを拒否することなく、外の世界とも少しずつ繋がろうとしている矢先の植田嬢という最恐のトラップ再び。
この後一緒にお茶する流れになりそうですが、黒瀬くんがついているぶん安心っちゃ安心ですね。城谷さんと植田嬢の1対1で会うよりは。
私は「また電話します」がすっごくひっかかります。10年以上会ってないのに電話番号を知る関係とはいったい。のどに刺さってとれない小骨みたいに気になってます。やっぱり城谷父がらみですよね…。
あと植田嬢は黒瀬くんを「素敵な方だから女性とご一緒だと思った」って言ってるんですが、これって黒瀬くんをそういう目で見ていたからこそキーリングをわざと落としたということ。つまり黒瀬くん狙いだったと。
城谷パパが植田嬢の好みのタイプだとするなら、ちょっと城谷パパに似ている黒瀬くんに目を奪われたということなのでしょうか。使い古された言葉ですが一目惚れ的な。
だとしたら植田嬢は相手が悪かったってことになると思うし、もう失恋決定ではあるのですが。植田嬢の頭の中には今また、城谷さんの大切なものを奪うというシナリオが描かれているのでしょう。
植田嬢がキーリングを落とす時にバッグに添えた左手には指輪はなかったので、植田嬢は今独身のようです。好きなように動けると考えると、また陰険なやり方で城谷さんを追いつめて、多少なりとも城谷さんがダメージを受ける展開になりそう。
きっとまたあの時みたいに「気持ち悪い」って城谷さんに言い放ちそうだなー。ああもうその光景が目に浮かぶようだ。でも昔と違って黒瀬くんという最強の武器を手に入れてますからね城谷さんは。十分に闘えます!
黒瀬くんが城谷さんを愛していることをビシッと伝えて、今はもう愛し愛される関係を築いていることで昔とは違うというところを城谷さん自身も見せつけて、悪霊退散!じゃなくて、植田嬢惨敗という流れはどうでしょうか。
次号ディアプラス10月号は2016年9月14日(水)に発売です。10月号は左京亜也先生の「不機嫌彼氏のさらい方」に、秋平しろ先生とせいか先生の新連載が3本同時にスタートします。やったね☆
ではまた次回テンカウント35話の感想でお会いしましょう。
追記)テンカウント35話の感想を書きました。
テンカウント35話 ネタバレ感想
宝井理人先生のBLコミックス
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