おげれつたなか先生の新連載は、歌手の夢をもつ孤独な春斗と幽霊の旭のお話です。1話を読んだ感想としてはすごくおもしろくなりそうでワクワク。
1話ではコメディのノリも強くて楽しかったのですが、人間と幽霊という設定上切なくなるに決まっているし何といってもおげれつたなか先生なのでハンカチを用意しておかなきゃ。表紙右が幽霊の旭、左が人間の春斗です。
タイトルになっているロンリーとオーガンジーですが、ロンリーはひとりぼっちで孤独な春斗を指しています。オーガンジーとはドレスなんかにもよく使われている布で、薄手の軽く透けている生地のことです。幽霊の旭の肌触りをさしているようですね。
以下ディアプラス9月号おげれつたなか先生の「ロンリーとオーガンジー」1話の感想です。思いきりネタバレしているのでコミックス派の方はどうぞお気をつけください。
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ロンリーとオーガンジー1話 感想 ネタバレあり
冒頭でいきなり事故にあい頭から血を流すのは、歌手になることを夢見て上京してきた春斗。エロ本を買った帰りに原チャにはねられるという不幸に、こんなことなら実家の農業を継いでおけばよかったと思うも少しずつ意識が薄らいでいきます。
ああ、この子が幽霊になるのるねと見ていたら違いました。少し入院しただけであっさりと元気になった春斗は、無事に退院し自宅のアパートに帰宅します。
入院中は散々だったらしく、原チャではねた加害者の方がよかれと思って事故当時に春斗が持っていたエロ本を持ってきて看護師さん達にヒソヒソ言われていたらしい。エロ本のタイトルは「熟女魂」。春斗は熟女がお好みのようです(笑)
今はライター業で食べているらしく仕事はたまっているようで、お見舞いにも誰も来ないし、春斗はひとりぼっちのようですね。年齢は20代半ばくらいに見えますが上京してどれくらいなのかな。
ずっと地方で暮らしていて上京後も在宅仕事となると、なかなか友達や知り合いも作りにくいですもんね。ただ、もしかしたら春斗は何か理由があって積極的に知り合いを増やそうとしてこなかったのかもしれません。
頭はなんだかモヤモヤするも脳に異常はないということで、久しぶりの我が家に帰って来る春斗。ドアを開けるとそこには知らない高校生くらいの男の子が寝そべっていました。
超びっくりして動揺する春斗。男の子のほうも「見えてるの!?」と驚いています。幽霊もののマンガのお約束の展開ですが、このへんからは笑える展開が続きます。
自分のことを幽霊だと言う男の名前は旭(あきら)。旭の言うことを全く信じない春斗に、証明するからと旭は春斗をファミレスに連れて行きます。
となりの女子高生のテーブルの上でアイトルポーズで横になってみせる旭。まったく気にせずおしゃべりに夢中な女子高生。店員も素通りしていきます。お祓いをしてもらおうとお寺に行くも、住職にも旭は見えていないようです。
住職のおじいちゃん、なんかぷるぷる震えてるしお賽銭を要求するし、むしろ旭よりもこっちにつっこみたい(笑)
事故にあってから幽霊が見えるような体質になったのかと公園でため息をつく春斗。旭と会話しますが他の人には見えていないから、ひとりごとを言う危ない人みたいになってます。
さらに春斗は、通りすがりの黒づくめのマントをかぶった占い師のような人に「3万円でみてあげましょう」とか声をかけられたりもします。この人ちょっと怪しい気がするなー。何か知っているのかも。顔は見えなかったんですが、この人が登場したときに旭が真顔になっています。
家では一緒にドラマを見る旭。キョウコというヒロインに感情移入して大泣きする旭に引きぎみの春斗。幽霊も泣いたりするんですね。
突然「確かめたいことがある」と春斗と手のひらを重ねる旭。幽霊だからといってすりぬけるというわけじゃなく、旭の手の感触はゾワッとするような不思議な感覚がありました。
春斗に憑いていると言う旭は、自分が憑かれるようなことをしたのかと問いますが、旭に「ないしょ」とはぐらかされてしまいます。何か理由があるということですね。
眠る春斗を見つめながら、事故前に歌う春斗のことを思いだす旭。旭は16年前に死んでからこの部屋に飛ばされたようです。
昔の春斗と一緒に旭も楽しげに歌いますが、そのうち春斗は「歌があれば楽しい」という歌詞で号泣しはじめます。これは旭の回想ですが、春斗は歌手になるという夢が叶わず歌があれば楽しいと気持ちにもなれず、ずっと苦しい思いをしていたということでしょうか。
旭が見えるようになり1週間、意外と普通に同居している春斗は、旭が寝起きにいつも寂しげな顔をしていることに気づきます。何か成仏できない理由があるのかという問いにも、はぐらかすような態度の旭。
旭は17歳のときに原チャの事故で死んで以来16年間幽霊として生き、人間として今生きていたら33歳。長い間ずっとひとりでいたから人肌が恋しくてスキンシップが多めです。かわいいけどなんだか切ないですね。
春斗がしんみりとほだされかけていると、旭が歌をねだってきました。実は春斗は歌手志望なのにオンチ。歌手が夢ならオンチなのは致命的ですが、世の中には曲や歌詞を提供するソングライターという仕事もあるし、春斗としてはどうなのかな。ソングライターもそう簡単な世界ではないでしょうが…。
春斗のギターに、歌詞がついていないから適当に思いついた英単語で歌詞をつける旭。ハッピーとかラッキーとかビューティフォーとか適当すぎる歌詞に、春斗も吹き出してしまいます。
という春斗も英語は苦手なようで、同レベルの単語しか出てこなくて2人で笑いながらデタラメな歌詞で歌います。このシーンいいな。
春斗はギターも久しぶりに弾くようで、もうずっと歌っていなかったのでしょう。2人の時間が温かければ温かい程、片方がもう死んだ人であるという事実が浮き彫りになって、この後の切ない展開が予想されます。うううもうつらい。
一ヶ月の同居生活が過ぎ、一緒にドラマを見ては泣いたり悔しがったりする毎日。春斗はこの生活も悪くないなと感じ始めています。
旭は生前の自分のことを語りたがりませんが、やはり何か事情のある人生だったのでしょう。まだ旭も春斗も過去がすべて明らかになったわけではないのですが、お互いに何か抱えるものがありそうです。
実家の母親に歌手になることを反対された時の夢を見る春斗。夢を見ていたのは春斗なのに、となりで眠る旭が号泣しています。驚いて揺り起こし事情を聴く春斗。
なんだかんだ保護者みたいになっている春斗は、実は面倒見が良いお兄さんタイプなのかもしれません。もしくは旭のほうが放っておけない弟タイプなのだとしたら2人はいいコンビになりますね。
旭は夢で自分が生まれた時からの1日ずつの夢を見るようで、もうすぐ自分が死ぬ日の夢になると不吉な話をします。もう死んで幽霊になってはいますが、自分が死ぬ夢なんて見たくない。その後どうなるかも分からないですし恐いはずです。
不安がる旭の手をそっと握ってあける春斗。そのまま手を握って眠るも、春斗はこの手の不思議な感触が気になって眠れず、結局朝を迎えました。
ここまでがロンリーとオーガンジー1話でした。
感想まとめ
前半のノリと後半にかけての切ない感じがおげれつたなか先生だなあと読みふけってしまいました。
片方が人間で片方が幽霊のマンガの場合、幽霊が何か成仏できない理由があって、それを解消したら天国に旅立つという流れが定石です。そして残された人間の方は、幽霊との思い出を胸に今を強く生きていく…というやつですね。
もしそうなら今後号泣必死の切ない別れが待ち受けているのでつらいですが、旭は意識がないままどこかで生きていて、今は肉体と魂が分離している状態だとしたら、魂が戻ったら人間として再会してハッピーエンドという可能性もあります。
幽霊と人間のラブはだいたいこの2パターンかと思いますが、でも旭は「16年前に死んだ」とはっきり言っているし後者は考えにくいかな。
あとは、死んでいても成仏した後に転生するというパターンもありますね。これはよほどうまくやらないと興ざめになってしまうケースも多いので、作家さんの力量次第になります。
17歳で亡くなるまでの旭はどんな生活だったのか、この世への未練とはいったい何なのか。そしてなぜ春斗に憑いたのか。春斗のほうも歌うのが楽しいと思えなくなった経緯や叶わなかった夢について何を思うのか。
春斗はおそらく実家も勘当されている状態でしょうし、親友のような友達もいない(?)ようですし、旭と同居するうちに情も移っていき好意を持つというのは自然な流れに思えます。
旭のほうもずっと触れたりできる人もおらず、ここへきてようやく春斗という自分が見えて会話できる人ができて単純に喜ぶだけでなく、春斗だから憑いたというのには何か事情があるのでしょう。
春斗に旭が見える前から春斗のそばにいたわけですから、これまでの春斗のつらいことや悲しいことも共有してきたはず。
旭が本当に死んでいるなら、例えお互いに好きになったとしてもつらくなりそうで胃が痛い限りですが、とはいえ好きな気持ちというのはどうしようもないわけで…。
まだどう転ぶか分からない2人を、固唾を飲んで見守りたいと思います。ところで幽霊とはHできるんですかね。あ、切なくていいお話になりそうなのにゲスいことを考えてしまってすみません。でも気になる(笑)
次号ディアプラス10月号は2016年9月14日(水)に発売です。10月号は左京亜也先生の「不機嫌彼氏のさらい方」に、秋平しろ先生とせいか先生の新連載が3本同時にスタートします。
ロンリーとオーガンジー2話も楽しみに待ちたいと思います。
追記)2話の感想も書きました。
ロンリーとオーガンジー2話 ネタバレ感想
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