憂鬱な朝38話のネタバレ感想です。キャラセレクション9月号に掲載分の感想になります。

巻頭カラー48ページと大ボリュームでした。前号までのざっくりした流れとしては、桂木が紡績工場長職を解かれ職員はストライキを起こす中、しかし石崎父は総一郎の教育係は桂木に継続させ、総一郎の縁談も進めさせます。

退路を断つ覚悟の桂木はどう動くのか。というところからの38話です。日高ショーコ先生のカラーの扉絵が例のごとくまた素敵で、額に入れてそっと眺めていたいです。

寂れた洋館でつかの間の逢瀬を重ねる暁人と桂木といったシーンでしょうか。クラシカルなステンドグラスからそそがれるのは夕暮れの陽。柔らかい表情で見つめ合い手を握る暁人と桂木ですが、どことなく物悲しい雰囲気が切なくも愛しいです。

それでは以下、キャラセレクション9月号「憂鬱な朝」38話の感想です。コミックスの7巻に収録される内容になりますので、ネタバレ不要の方はどうぞお気をつけください。

キャラセレクション9月号


BL雑誌「キャラセレクション」は電子書籍化されていないのが残念です。雑誌は本棚のスペースを圧迫するので、早く電子配信されると嬉しいのですが。



憂鬱な朝7巻 電子書籍


追記)7巻が発売されました。


憂鬱な朝38話 感想 ネタバレ含む


騒動によって混乱に陥る兜町


桂木が石崎の番頭職を解かれたことが知れ渡り、兜町は大混乱に陥っています。桂木がいたから投資した人たちからすれば大問題。

これを境に株価の大暴落が予想され、石崎紡績はそれを恐れた投資家たちにより売り注文が殺到しています。マスコミを筆頭にパニックになる兜町。

株ってこういうところが水物というか生き物という感じがしてゾクゾクしますね。株をやりはじめると世間の動きや経済の流れに敏感にならざるを得ないということなのでしょう。今も昔も変わらない仕組みです。。

私はこういう、当時の社会情勢を背景にしたやかけひきや、コネクションを駆使した水面下の動き、それぞれの思惑が複雑に絡み合う心理戦、利用し利用されの熱い展開というのが大好物なので、憂鬱な朝はBL要素もさることながらそのあたりのストーリーにもワクワクしながら読んでいます。

自分にしかできない仕事をしたい桂木


もちろん桂木はそれを見越してそつなく動き、兄の高之に底値の今が石崎紡績の買い時だと主張します。渋い顔の高之に、自らのもくろみを説明する桂木。

石崎家は今回のことで暁人の後見人は下りない。世間的には、悲運の学生子爵である暁人に手を差し伸べた人格者として評価されるようになり、その評価を今まで成金と蔑まれていた石崎父は手放すことは決してしない。よってこちらを攻撃するようなことにはなならない。

こうなることまで予想して動いていた桂木は淡々と告げます。

しかし「いくらなんでもやりすぎだ」と厳しい表情の高之。仕えた主人をことごとく裏切るような桂木のやりかたには心がないと非難をあびせます。

桂木の望みは、役職や名誉などではなく、紡績工場に戻り自分にしかできない仕事をすること。行員のために動き行員を救いたい。

桂木の変化に驚く高之


今まで職務においては有能で冷静沈着、時に容赦なく冷酷ささえ漂う桂木でしたが、そんな桂木の偽らざる本音を知り、その内面の変化に驚きを隠せない高之。

高之はそんな桂木に何かを感じとったのか、あるいは心はすでにそう決まってたのか、桂木の案を飲み石崎紡績を底値で買い叩くことを承諾します。高之には、喧嘩腰にならなくてもお互いに利益を得る策もあるようです。

これまでにも散々ぶつかりあった桂木と高之。まったく似ていない愛憎の兄弟ですが、苦々しく思いながらも高之が桂木を常に意識しているところは変わりありません。

これからもご指導を、と頭を下げる桂木の変化もさることながら、高之も随分とまるくなったなと思いました。でもやっぱり頑なで素直じゃないのがまたかわいいというか彼らしいというか。

思惑通り勝負に勝った桂木


その足で中島に会いに行き予備の現金を渡して、機を逃さず石崎紡績の株を買うために使うよう告げる桂木。これまでとは違い石崎紡績の経営権を得るのが目的であり、機を逃せば工場の人員が路頭に迷うことになる。

私財を投げうち今回の相場にかける桂木。すべてを任された中島に「必ず勝て」と強い瞳を向ける桂木がかっこよくて痺れます。

一方、桂木本家では高之が養子をとることを検討しはじめていました。高之も桂木の変化に思うところあったのでしょう。歯車がゆっくりと噛み合い回りだしたように変化する人々。

結局、桂木の思惑通りに相場では勝ちを治め、石崎紡績の経営権を無事に取り戻すことができました。

教育係として石崎邸に戻った桂木に、総一郎は小ふさの居場所を聞き出そうとします。しかし拒否する桂木。優しい総一郎には、父親のように妻と愛人の間を行ったり来たりすることはできない。

桂木の言葉に激昂し、部屋から追い出す総一郎。

今だ未解決の小ふさ問題


確かに総一郎は不器用で誠実で優しすぎて、2人の女性を両天秤にはかけられない。本人が一番よく分かっているからこそ、余計に今の状況がつらいに違いありません。

総一郎は、それだけ小ふさのことが本気だったということの現れでもあります。お家事情と政略結婚。この時代ならではですが切ないですね。

このまま総一郎と小ふさは会えずじまいなのでしょうか。なんとか一目でも会わせてあげたい気もしますが、やっぱりそうそうはうまくいかないかな。この時代、この手の身分違いの悲恋ってたくさんありそうだし。

総一郎は暁人の唯一の純粋な友人でもあるし、桂木が「自分は総一郎の味方だ」と何度か言っているように、何かどんでん返しというか秘策があったらいいなーと密かに祈っています。

この小ふさ問題ってけっこう長いこと引っぱっているし、なんといっても石崎の息子のことなので、最後に何かサプライズ的なことが起きてもいいと思うんですよね。

鎌倉で再会する暁人と桂木


いっぽう、鎌倉邸では暁人がひとりで手紙をよみふけっていました。暁人の立場が微妙でもこうして手紙をくれる人もいるようです。

暁人は、実際にはそれほど身分なんていうものを気にしていない華族も多いのではないかと考えています。

厳然と「身分」というものはあれど、結局人という生き物は、その人の言動や人となりというものに心惹かれるものなのかもしれません。

そして今も昔も、基本的には逆境の時ほどこれまでと変わらぬ態度で自然に接してくれる人こそが、一番大切にしたい人間関係ということになりますね。

読み終えた手紙に返事をしたためようとする暁人ですが、ふと空模様が怪しいことに気づきます。田村もなぜか見当たらず、雨戸を自分で締めようとするも立てつけが悪くてうまくいかない暁人。

こういうところはさすがお坊ちゃま育ちです。しかも「使用人はいらない」とか、かっこつけて言ったことを後悔していたりするというかわいらしさ。

キメッキメの暁人もいいですが、こういうちょっと緩い暁人も私は好きです。桂木は、よほどのことがない限り常時ビシッとしているので、暁人のこういう抜け感が心地良いなと思います。

ひとりで雨戸と格闘していると、庭から物音が聞こえて振り返る暁人。見るとそこには桂木の姿がありました。この桂木のちょっと乱れた髪のカットがかっこいい!

鎌倉邸で庭を挟んで見つめ合う暁人と桂木。この再会のシーン、本当に素敵でうっとり。勢いよく裸足のまま庭に下りて桂木に駆け寄り抱きしめる暁人の切ない表情も涙を誘います。

自分に駆け寄ってきてくれる人なんてそんなに世の中にいないですよね。なんかもう胸がいっぱいになるような素晴らしい再会でした。

縁側に置いたろうそくの明かりと、古い日本家屋と庭園の雰囲気。飛びついてきた暁人に、桂木は一見とても冷静そうで自ら暁人にキスをして…というところで憂鬱な朝38話はおしまいでした。

感想まとめ


ぎゃああああ!こうきたら39話はきっとアレなアレから始まりますよねっ。本当は足が遠のく場所である鎌倉邸に桂木がやってきたのが暁人に会うために他なりません。

総一郎にも追いだされ、傷心の桂木は暁人に何を語るのでしょう。鎌倉に来たことで、先代の暁直への複雑な感情に何かしらの区切りを打てるのでしょうか。

まずはひとつ大きな仕事を成しえた桂木と、そんな桂木を待っていた暁人との再会の熱い夜を期待しつつ、憂鬱な朝39話も楽しみにしています。

次号キャラセレクション11月号は9月21日(水)発売です。首を長ーくしてお待ちしております。

追記)憂鬱な朝39話の感想も書きました。

憂鬱な朝39話 ネタバレ感想

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