純情ロマンチカ44話はお休みですが脇キャラがメインになる純情ミックスが掲載されています。今回は美咲のお兄ちゃん編がとてもいい話で思わずうるっとしてしまいました。
ウサギ兄編、美咲兄編、そしてウサギさん編という形式ですが、すべてに美咲がからんでくるというさすがの主人公ぶりでした。
純情ロマンチカ編の本編も美咲兄の奥さんが美咲とウサギさんの関係にちょっと勘づいた感じできになりますが、それはまた次回ということで。
それでは以下エメラルド夏の号「純情ミックス」の感想です。ネタバレしているのでどうぞお気をつけください。
純情ミックス 宇佐美春彦編
ウサギさん兄(春彦)が美咲にばったり出会うところからスタート。ほんとによくバッタリ会いますねこの二人(笑)縁があるということなのでしょうか。
この日はウサギ兄の母親の命日。お墓参りに向かう途中で美咲と偶然会ったウサギ兄は、美咲がおしゃれなカフェのウインドウをじーっとみているところを通りががります。
流れで一緒にお茶することになり、三枚のパンケーキをご馳走してもらう美咲。美咲はよく食べるのに全然太らないのはフットワークが軽いからなのかな。
それにウサギ兄も一緒にパンケーキを食べているのが意外でなんかかわいいです。美咲がかわいいのはいつも通りですね。
もぐもぐしている美咲に対してウサギ兄はクールです。パンケーキを見つめながら昔を思い出すウサギ兄。実はウサギ兄が小さいころ、よくお母さんがホットケーキを作ってくれていたのでした。
裕福ではなかったけれど優しい母と一緒に幸せに暮らしていたある日、親戚だと聞かされていた男が実の父親だということが分かります。
父親なのにどうして一緒に暮らしていないんだろう、なんで名前が違うんだろう。子供心に不思議に思っていたウサギ兄は、ある日、母親がいわゆる愛人であったということに気づきます。
テレビで宇佐美グループのことが映りそれを見て知ったようですが、まだ小学生の子供にはこういう話はすごく傷つきそうですね。どれだけショックだったでしょう。
その後お母さんは病気で亡くなってしまいますが、生前けして父親の悪口を言うことはありませんでした。でもそのことがよけいにウサギ兄を混乱させます。
今日から宇佐美家の人間になる、と迎えに来た父親は信用できず、一緒に暮らすことになった義理の母親や義理の弟(ウサギさん)にもなじめず、海の底のような場所で過ごす日々。
母親が亡くなったあの日からずっと、母親の命日はウサギ兄にとって呪われた日でしかありませんでした。
ぼんやりしていると美咲に声をかけられてハッとするウサギ兄。何か思いつめている様子のウサギ兄に美咲は心配しています。こういうところは美咲の気が利くというか聡いところです。ちゃんと人を見ているんですよね。
母を思い出していたと言うウサギ兄に、美咲は報告することがたくさんありますねと明るく接します。美咲からするとお墓参りは今まであったことなどを故人に報告するというのが普通のこと。
ですがウサギ兄にはそれが目から鱗だったようです。いつもお墓参りのときは昔を思い出してつらかった。でも自分にも報告できることがたくさんある。
いろんなことを報告してくれたほうがお母さんも嬉しいと思うと素直に伝える美咲に、やわらかい笑顔を見せるウサギ兄。君を好きになってよかったと、こちらもストレートに美咲に告げます。
美咲は特に難しいことを言っているわけではないのに、ウサギ兄にとっては美咲の言葉が大きな影響をもたらしています。世間では普通のことでもウサギ兄ひとりでは気づけなかったことを教えてくれる美咲。
いいことも悪いことも、お墓参りで母親に報告すればいい。自分のことを好きにはなってくれませんでしたが、ウサギ兄にとって美咲はやはり特別な存在なのでした。
人を好きになるといろんな気持ちを知ることになります。それを知ることができただけでもよかったと思えるウサギ兄もすごくいい男だなと感じました。
これからは命日がただ辛い日にならず、お母さんと束の間のおしゃべりを楽しむ日になるといいな。ウサギ兄にもきっとまた、いい人が現れますよね。
なんだかしっとりとした、だけど幸せな気持ちになれる純情ミックス宇佐美春彦編でした。
純情ミックス 高橋孝浩編
一瞬高橋って誰だっけとか思っちゃった私は純情ロマンチカのファン失格でしょうか。なんか美咲って名字の感覚があまりないというか、美咲は美咲という感じなのでついつい名字のほうがおろそかになってしまいます。
というわけでお次は美咲のお兄さん(孝浩)がメインのお話。いつも息子命で弟命なお兄ちゃんでギャグ担当かと思わせておいて、今回は泣かせにきました。
ふいうちで読んでうっかりほろっときてしまうやつです。やられた。
兄宅へ遊びに行った美咲。真浩ちゃんに甘い良きパパな孝浩は、かわいくて真浩ちゃんを怒れないとい泣いています(笑)
奥さんは留守で、美咲と真浩ちゃんと孝浩の三人でお茶しますが、おいしそうな顔がそっくりな美咲と真浩ちゃんに思わず笑みがこぼれる孝浩。
真浩ちゃんのちょっとした仕草も昔の美咲のまんまのようで、お兄ちゃんとしては弟と息子がそっくりなのは微笑ましく思えるのでしょう。
両親を亡くしてから美咲をひとりで育ててきた孝浩は、明るいですがいろんな思いも抱えてきたはず。いつも明るいしメインキャラほど出番がないですが、若いころから苦労してきているぶん実はすごくよくできた人ですよね。
美咲の小さいころのアルバムを見ながら昔のことを思い出す孝浩。美咲が7歳、孝浩が18歳のときに両親が突然の事故で亡くなり、大学進学も諦めて美咲を育てることを決意したのでした。
自分がしっかりしないと。自分がちゃんとしないと。自分が頑張らないと。がむしゃらに家事と仕事をこなす日々ですが、まだ7歳の美咲はわがままを言ったり甘えてきたり、仕事で疲れている孝浩は思わず美咲に声を荒げてしまいます。
仕事で疲れているから休みの日くらい寝ていたい。気持ちの余裕がなくなって家を飛び出す孝浩。こんなに一生懸命やっているのに。こんなに自分を犠牲にして頑張っているのに。
うわあああ!この気持ちよーっくわかります。いつも仕事で気を張っていてヘロヘロだから、休みの日くらいは頼むからそっとしておいてほしいっていうこの気持ち。
自分のことでいっぱいいっぱいになっているとき、人は自分を悲劇のヒロインのように感じてしまいます。こんなにつらい思いをしているのは自分だけだ、なのに誰もわかってくれない。なんで自分ばっかりこんな目に…というふうに思いつめがちです。
逃げ出したい気持ち、すべてを投げ出したい気持ちでいっぱいの孝浩は、一人暮らしをするウサギさんの家に飛び込みます。
温かく迎え入れてくれたウサギさんに、本音をぶつける孝浩。時々自信がなくなって、どうしたらいいかわからなくなる。自分が情けなくなってしまう…。
伏し目がちに苦しい胸の内を吐露する孝浩に、ウサギさんは優しく告げます。「お前は一人じゃないから無理しなくていい。つらくなったらいつでも頼ればいい」
責任感の強い孝浩のことだからひとりで頑張ってしまうことも見越して、逃げ込んできた先が自分のところでよかったと伝えるウサギさん。
ウサギさんはこのとき孝浩のことを好きなはずですが、そういうこととはまた関係なく、ひとりの人間として親友としての温かい言葉です。
ウサギさんはずっと孝浩のことを見てきたから、孝浩がひとりで仕事も子育てもよくやっているということをちゃんと理解しています。
辛いときは一人で抱え込まず誰かを頼ってもいい。しんどい時は人を頼りにしてもいい。それが自分なら嬉しい。まっすぐに孝浩に伝えるウサギさんが男らしくて、孝浩にとってはこの言葉が救いとなったことでしょう。
本当にいい友達を持ったなとしみじみ言う孝浩に、ウサギさんもとても穏やかな表情です。
もうこの辺で私の涙腺はやばかった。私もそうですが、多くの人が他人に迷惑をかけちゃいけないと思って生活をしています。
他人を頼りにしない人のほうが偉い、自分のことは自分で何とかするべき。そんな価値観が幅をきかせる社会で、なかなか人に頼るということを苦手とする人は多いと思います。
もちろん誰にも頼らずに何でもできるならそれに越したことはないですが、人間そうはいかないのもまた事実。そんなに器用に立ち回れる人はごくわずかです。
頑張っていることを認めてくれて受け入れてくれるウサギさんのような温かな存在が、孝浩を支えていたのは言うまでもありません。
世間では同級生たちが大学生として一番楽しい時間をすごしているときに、遅くまで働いて美咲の世話もしてきた孝浩。苦労したぶん、今奥さんや息子と幸せに暮らしているのには何だか胸が熱くなります。
ウサギさん宅で少し落ち着いたあと自宅に帰った孝浩は、もう家族を失いたくないから一人ですべてを抱えてしまうのはやめようと心に誓います。
お兄ちゃんが飛び出して行って一人で泣き疲れて眠ってしまった美咲をだっこして、できないこともたくさんあるけどそれを認めて一緒にやっていこうと決意する孝浩。
美咲がいるから頑張れるというのもまた事実なんですね。一人じゃないからがんばれる。家族がいるからがんばれる。
翌日、一緒にお菓子を作ろうと美咲に提案する孝浩。突然の風のふきまわしにびっくりする美咲ですが、一緒にクッキングというのは嬉しい様子です。
小さい美咲には夕べ孝浩に何があったかは分からないはずですが、それでも孝浩のちょっとした変化には気づいているはず。大好きなお兄ちゃんですからね。
こっそり作っておいたプリンを譲ってくれる美咲に嬉しそうな孝浩ですが、プリンなのに食べた瞬間ミシッというコンクリートを食べたときのような歯ごたえに固まってしまいます(笑)
美咲なりにいろいろと隠し味を仕込んでアレンジしたらしく、こういうところからも今の美咲の料理好きやその探究心が現れているのかもしれません。三つ子の魂なんとやら。
美咲やウサギさんがいてくれたからこそ今の分がいる。いつまでもみんなの笑顔を見ていられるようにと祈る孝浩がいい男すぎて感無量です。
孝浩がいいやつなのは知ってはいましたが、やはりウサギさんが好きになっただけのことはあるなと改めて思いました。まさか孝浩に泣かされる日がくるとは。不意打ちすぎてうるうるしてしまいました。
純情ミックス 純情ロマンチカ編
孝浩宅から帰宅した美咲は、自分の幼少期の写真を見ていたウサギさんに大激怒。ウサギさんの写真も見せろと迫りますが、ウサギさんは持っていないと主張。
セバスチャンに問い合わせたところ送られてきた写真の多くは誰一人目が笑っていない写真ばかりでした。宇佐美家の家庭環境を考えたらそうなるのも仕方ありません。
ウサギさんも美少年なのに無表情ばかりですが、そんな中にもごくわずかですがウサギ少年が自然に笑っている写真がありました。
カメラ目線のものがないのできっとセバスチャンがこっそり撮った写真のようです。大きなクマのぬいぐるみを持った笑顔のウサギ少年の写真。
実はこのぬいぐるみはセバスチャンにもらった誕生日プレゼントなのでした。毎年高級なプレゼントが大量に届くも、ちっとも嬉しくなかったウサギ少年。
ですがいつもそばにいて温かく見守っていてくれるセバスチャンからのプレゼントはとても嬉しかったようで、自然な笑顔を見せています。
そんなウサギ少年の写真を見て美咲はちょっとほっとした様子です。あんな家庭状況の中でもウサギ少年が心を許せる人がひとりでもいたということに安堵している美咲。
大きなお屋敷で金銭的には何不自由なく生活し、一見満たされたような暮らしの中でも孤独だったウサギ少年。でもそんなウサギ少年のことを大切に思っていてくれた人も確かにいました。
セバスチャンのおかげで少しは子供らしい笑顔を見せていたことに、写真を見て改めて気づくウサギさん。
子供のころは意識することさえなかったことでも、こうして大人になってからふと気づくことってありますよね。
「お前にはいつもいろんなことに気づかされる」ウサギさんはウサギ兄と同じようなことを思いながら、静かに自分を見守っていてくれたセバスチャンに、今幸せだという意味をこめて美咲との2ショット写真を送りました。
きっと写真を見たセバスチャンも、今ウサギさんがとても幸せで満たされているということに気づいてくれることでしょう。
いい雰囲気でいると、そこになぜか大きな荷物が届きました。届いたものは何十箱ものホットケーキミックス。ウサギさんが腕組みをする中、話せば長くなりすぎると真っ青になる美咲なのでした。
これはきっとウサギ兄からのプレゼントということですよね。美咲はウサギ兄とお茶こともきっとこの後追及されたことでしょう。
宇佐美春彦編、高橋孝浩編、純情ロマンチカ編と続いた純情ミックスは、パンケーキからはじまりホットケーキミックスで終わるという美しい流れのオムニバスでした。
なんといっても今回は美咲兄の孝浩のお話がぐっときました。孝浩はちっともこれまでの苦労を感じさせない明るい親ばかキャラなので余計にこのギャップにやられました。
純情ロマンチカと世界一初恋はメインカップルも脇カップルも好きですが、それ意外の脇キャラにもこうやってスポットが当たるのがすごくいいなあと思います。
純情ロマンチカ本編44話も楽しみです。
ではまたエメラルド冬の号でお会いしましょう。
追記)純情ロマンチカ44話の感想を書きました。
純情ロマンチカ44話 ネタバレ感想 中村春菊
世界一初恋の最新話の感想はこちらからどうぞ。
世界一初恋 ネタバレ感想
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