スカーレット・ベリ子先生の櫓木スピンオフ2話はずっと過去回想のターンです。27年前の若き日の明虎さんと櫓木さんのいろんな意味で濃厚な絡みに、ハラハラしながら読みふけってしまいました。
前回1話では若かりし日の櫓木と明虎が衝撃的な出会いを果たし、現代では櫓木の娘の麗華ちゃんがハチという青年を拾って飼うことになり、櫓木もそれを渋々了承するという流れでした。
ジェラシー1話のネタバレ感想
運命を感じているのは櫓木だけなのか、あるいは明虎も同じなのか。それでは以下ジェラシー2話の感想です。
シェリプラス11月号には女王と仕立て屋のドラマCDのアフレコレポも収録されていました。母のような目線で村田さんを見守り新垣さんの高度なボケをきっちり拾うスカベリ先生がツボで楽しかったです。
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ジェラシー2話 感想 ネタバレあり
扉絵は明虎さんと櫓木の2ショット。昔ながらの理髪店にて明虎さんは居眠り中、櫓木さんだけカメラ目線という謎多き構図です。
明虎さんが他人といるときに居眠りとかすごいことなんじゃないかな。実は眠ったふりをしているだけの可能性もありますが。と思いきや、これは本編の一部のカットなのでした。
ピザ屋のコスプレで登場する浅生田
冒頭、ピザの配達員のふりをしてマンションに入り込むのは明虎の部下・浅生田。配達員のコスプレがけっこう馴染んでます。
部屋では若い男女が全裸で乱交パーティ真っ最中で、銃をちらつかせている浅生田に気づく者は多くありません。薬でもうぶっとんでいるのでしょう、浅生田が何発かオーディオに銃を打ち込んでようやく室内が静まり返ります。
中心になっていたのは大学生の清水という青年。半裸の清水を見つけた浅生田のところへやってきたのは明虎です。
この清水がどうやら明虎のシマで薬を売って商売を始めようとしていたということで、明虎たちはお灸を添えにやってきたのでした。お灸を添えにと言うと言い方はマイルドですが、まあそういうことです。
男女ともに連れ出される若者たち。浅生田は女も連れ出すのかと問いますが、恋人同士を離れ離れにするのは可哀想ということでみんな一緒にどこかに売り飛ばされ…いや連れ出されてしまいます。
浅生田が求めている公平とは
女もかと聞いた朝生田に「お前が求めている公平ってのはこういう事じゃないのか?」と言葉をかける明虎。
明虎と浅生田の間にも何かズレがあるのでしょうか。多少含みを持たせたような言い方が気になります。方針というか考え方ががっつり噛み合っているというわけではないのかもしれません。
浅生田は鏡の前でピザの配達員になりきる練習をしていたらしく、つっこむ明虎はニヤニヤ。浅生田は真っ赤になっているのがかわいいです。「ドレミピザでーす」とか練習なんて必要かな(笑)真面目なんですね。
明虎を全裸待機の櫓木
乱パの室内では別の部屋に裸で縛られている櫓木の姿もありました。(もちろんプレイです)ここでドラッグパーティが開かれることを大和会に情報を流したのは実は櫓木。明虎に褒めてほしくて櫓木は待っていました。
明虎に会えて子どもみたいな笑顔で無邪気に喜ぶ櫓木。1話で浅生田と櫓木は小学生の時からの知り合いということでしたが、浅生田は櫓木のような何を考えているかつかめないタイプの人間は苦手そうですね。
とんでもないかっこうで嬉しそうに褒められ待ちをしている櫓木に、思わず笑いながら縄を外して食事に誘う明虎。
櫓木にはまったく他意がなく無邪気なので、明虎も気に入っているのか櫓木には甘め。それを浅生田はどう思っているのでしょう。よくは思っていなさそうです。
明虎にはこの後会長との面会の予定がありました、どうやら会長はもう高齢で明虎か浅生田かの区別もつかない状態のようで、明虎のほうも会うのは気乗りしない様子です。
明虎いわく会長は「老い先の短い囚人」ということですが、明虎の厳しい表情からも決して良い関係というわけではなさそうです。
明虎と会長の間にも何か確執があったのかもしれませんね。そのあたりは描かれるかなあ。櫓木目線で明虎のことがどこまで掘り下げられるのか気になります。
浅生田はそんな会長と明虎の関係もよく分かっているようで、うまく動いてくれています。明虎と浅生田のこのあうんの呼吸は、浅生田がいかに優秀な舎弟であるかが伺えます。
虎と兎の綱引き
2人で食事する明虎と櫓木。うまい商売を提案する櫓木に明虎は、そんな提案をしてまで俺とどうなりたいのかと問いかけます。
櫓木は下の名前が卯一(ういち)「虎」とウサギの「卯」ということで、この2人の立ち位置は、その名が表す通り食う側と食われる側ということになるのでしょう。もちろんただ大人しく黙って食われるだけの櫓木ではないでしょうが。
明虎に名前で呼んでもらえるようになった櫓木。これは櫓木は内心密かに喜んでいるに違いないですね。
浅生田は見栄やメンツよりも性格に任務を完遂することを優先する性格で、今回の情報提供が櫓木だったことを見抜けなかったことをきっと悔しがっているだろうと語る明虎ですが、櫓木は浅生田にはまったく興味がないようで華麗にスルーしています。
浅生田は明虎と櫓木の接触もよく思ってはいません。確かに1話で明虎に櫓木は倫理観が欠けていると忠告していましたよね。あまり明虎と櫓木を近づけたくないというのが本音でしょう。
明虎と櫓木は似た者同士
明虎とどうなりたいのか自分にも分からないという櫓木。ですが明虎は「僕より僕を知っている人」と表現しています。
本質的に明虎と自分は同じで、だから会った瞬間に明虎は櫓木のことを理解できた。明虎のほうも1話で出会ったときから気に入った様子でした。
だけど櫓木と明虎はこんなにも「違う」そこに興味を持っている櫓木。櫓木の目には本質は同じなのに明虎が自分とは違って見えているようですね。これは器の大きさの違いなのでしょうか。生き方の選択の違いなのでしょうか。
明虎以外でイけなくなった櫓木は、ソーセージを咥えてほしいと露骨にお願いします。吹き出しながらもソーセージを口にして思い切り噛みちぎる明虎。案にセックスはNOと言ったわけですね。
悪だからゆえに強い明虎
何を考えているのか、あるいは櫓木の思考を見極めようとしているのか、電車に乗って映画を見に行く2人。こうしていると普通のカップルのようですが、決して相容れないものがあるようにも見えます。
自分が明虎とどうなりたいのかよく分かっていない櫓木は、本質的には自分と同じなのに違って見える明虎が羨ましくて憧れているという段階なのでしょうか。
明虎のほうも明虎で、一目で気に入った櫓木をなぜ気に入ったのか思考している段階なのか。
電車で移動中、痴漢にあう女性を助ける明虎。ですが正義感から女性を助けたのではなく、見て見ぬふりをする乗客のカップルの方にイラついたから。
明虎が痴漢を撃退した後で、それを利用して弱った相手に正義をふりかざして追い打ちをかけた乗客カップル。そんな乗客に向かっていく櫓木。
自分の胡散臭さに気づかず思考停止させて生きている乗客カップルのような普通の人間には自分たちのほうに来てほしくない。そう考える櫓木は、カップルを威嚇して明虎のもとへ戻ってきます。
明虎が強いのは正義の人だからではなく悪だから。正義を気取って痴漢を撃退したのではなく、見て見ぬふりの乗客カップルのほうにイラつきその元を絶っただけ。自覚した悪人は行動が素直で、明虎ももちろんそのうちのひとりです。
似た者同士だから惹かれあうのか
櫓木の一連の言動に、よくやったと静かに褒める明虎。やりすぎだとも言いますが、その表情は楽しげで穏やかです。
櫓木は明虎の言動が言わずとも理解できる、なぜなら根本が似ているから。なるほど本質的に似た者同士というのは一緒にいて楽で、だからこそ惹かれあうのでしょう。
櫓木にとって欲しい言葉を欲しい時にくれたりもする明虎。本質が同じなら思考もまた似たようなもの。しかしまだ容易に一線を越えさせてはくれない明虎に、櫓木がはまっていくのは無理もありません。
実務的には明虎には優秀な舎弟の浅生田がいます。しかし精神的にもっとも理解しあえる相手となると櫓木が現段階では一番近しいということになるのではないでしょうか。
実質の右腕は浅生田ですが、明虎のその計り知れない内面をも分かりあえる相手となると、似た者同士である必然性。実務的な右腕である浅生田はこの事実に何を思うのか、複雑な心境であることは想像に難くありません。
この3者のここまでの関係を考えると、やはり1話冒頭の櫓木のお相手は浅生田なんじゃないかな。
明虎がそう簡単に櫓木を抱くとは思えないし、また櫓木がそれを心底望むかというと現段階ではそうでもないのかなという印象です。繋がりたいのは身体なのかあるいは…。
虎くん呼びできるオーナーの存在
映画のあと、明虎のなじみの理髪店で飲む2人。ここのオーナーがまた渋くていい男です!ひげのおじさまって感じで余裕のある大人という感じ。好き。
明虎のこともよく知った関係のようで、いいことがあると酔いたがる明虎の習慣も熟知しています。
「日頃の我慢を代わりに晴らしてもらった」とどこか嬉しそうに櫓木のことを評する明虎。オーナーは明虎を「虎くん」と呼んでいることからも長い付き合いなんですね。
明虎は櫓木に昔の自分を見ている、と飲みながら櫓木に告げるオーナー。明虎は家業のために自分を曲げて無理しているから、櫓木にはそういう思いをしてほしくないと考えていること、今の櫓木に癒されているということも見抜いています。
おしゃべりがすぎることを咎める明虎ですが、オーナーの言葉自体は否定しません。
明虎としてはこの仕事に就いている以上自由に生きているとは言い難いでしょうから、自らの欲望に忠実に生きている奔放な櫓木がうらやまくもあり、自分たちの世界になど入らずそのまま生きていてほしいと思っている。
明虎さんは僕のこと好きでしょ
「でも明虎さんは僕のこと好きでしょ?」直球で明虎に訴える櫓木。こういう他意のない素直さも明虎から見るとまぶしく映るのでしょう。結婚していて子どももいる、と無難な返答の明虎に、櫓木は微動だにしません。
明虎の子どもは何万人もいる。ヤクザの世界とは嘘の集団で家族を作り築き上げていく世界。櫓木はそこに入れてほしいと率直に希望を告げます。
明虎はそれには答えず、あの大学生を焚き付けたのは櫓木であること、物事には順序があることを静かに伝えます。順序についてはよくわからない櫓木は尋ねますが、明虎ははぐらかし去ってしまい…というところまでが2話でした。
ジェラシー2話の感想まとめ
明虎さんは仕事にというよりはヤクザという世界に生きることの不自由さを心のどこかで感じているのでしょう。もしかすると明虎さんは本来はもっと自由奔放ではちゃめちゃでスケールの大きな人間だったのかもしれないですね。
狭い社会にとどまらず、もっと広い世界で泳ぐという生き方のほうが彼本来の性にあっていた可能性は高いかなと思いました。今さらもう何を言ってもこの世界で生きるしかないわけですが…。
理髪店のオーナーもそのあたりのことを気にかけているようで、堅気ではありますがこういう理解者がひとり明虎のそばにいてくれてよかったと思います。
虎くん呼びできる関係なので子どもの頃から知っているのかな。オーナーさんすごくいい人そうだし明虎を影で支えて見守ってきた一人なんでしょうね。
そしてそんな明虎さんのそばにいたいがためにヤクザになることを望む櫓木。櫓木さんはどこまでも自分の欲望に忠実で、明虎さんはそんな櫓木に昔の自分を見ている。
ここに浅生田さんの存在というものも無視はできないでしょうし、どうなるのか楽しみです。
2話ではずっと櫓木さんの過去回想だったので、麗華ちゃんやハチは出てきませんでした。3話ではまた現代に戻ってくるでしょうか。ハチと櫓木さんのからみも見たいです。
次回は2016年11月30日(水)発売のシェリプラス1月号です。シェリプラスは2ヶ月に1回の発売なので先は長いですが、ワクワクしながら待ちたいと思います。
ではまたジェラシー3話の感想でお会いしましょう。
追記)3話の感想を書きました。
ジェラシー3話 ネタバレ感想
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