童話のような絵本のような、ちびっこを中心としたほのぼのピュア展開に心が洗われるようです。ほんわかしていて時々切ない癒し系BLの決定版。
BLとしては大人組のパパ&ママ(男)に、ママの弟分のレイとその恋人(男)のカップルもそれぞれ愛があって素敵でした。
表紙のジュンくんをはじめとしたちびっ子たちが大活躍で、ジュンくんのかわいさが全てを浄化してくれます。
直接的なエロスな描写がほとんどないのに満足度が高くて、四宮しの先生のお話作りの巧さが際立った1冊でした。
というわけで以下「銀のくつ」の感想です。ネタバレ注意です。
銀のくつ 電子書籍
銀のくつ感想 ネタバレあり
パパは人間でママが鳥!?
ジュンは父(ヨキ)と母(リオ)と3人暮らし。でも他の子たちの家と違うのはママが鳥であること。実はママは鳥の着ぐるみを着ているだけで中身は人間の成人男子という一風変わったファミリーです。
ママが鳥の姿であることは保育園など周囲の人たちにも受け入れられ、温かく見守られる環境の中ですくすくと育っていくジュン。
ママの中の人の存在にはジュンはまだ気づいていません。ママが鳥の姿なのは、元々こういうものだと思っている様子です。
ママのことが大好きなジュンがひたすらかわいくてずっと眺めていたい…。お手紙をやり取りしたり、パパと張り合ってママを取りあったりと幸せそのものの一家。
ジュンはリオのお姉さんの子供ですが、育てているのはヨキとリオ。ママの中の人であるリオが鳥の着ぐるみなのは、自分に自信がないことや生みの母親のことなど、いろんな理由があるようです。
ジュンとノエルとトーマにほっこり
ジュンは幼稚園にノエル(男)というお友達がいます。子どもモデルをしていたようなちびっこもいる中で、あえて普通なノエルが気になるジュン。
6歳児同士なのでBLとはいい難い関係ですが、ほんのりとお互いを想って大事にしているのが伝わってきて将来に大いに期待したいところです。
元気のないジュンを励まそうとノエルがウサギのエサやりに誘ったり、ジュンが照れながらもお誕生日会にノエルを誘ったり、お互いに一生懸命なのが微笑ましい2人。
またイケメンのトーマとジュンの関係もやんちゃ友達という感じでほっこりします。サンタのエピソードでは、サンタは交代制でと機転を利かせたピザの配達員のアイデアが光りました。
この配達員ってレイのダーリンですよね。子どもの夢を壊さずにうまくノせるなんてナイス!
この時のトーマのかぶっていた耳付きの帽子が似合いすぎててかわいくて絶品です。ちびっこのこういう帽子は反則すぎます。眼福。
ツンデレなレイを溺愛する彼氏
レイの自称ダーリンがとてもいい人で、何があってもレイを包み込むように愛しているのが印象的でした。
素直になれないしツンツンしていますが、なんだかんだ彼氏を頼ったり大事にしているレイ。ツンばかりではいけないということは分かっているようです。
レイはリオと一緒に施設で育った兄弟のようなもので、リオのことが大好き。リオをヨキにとられてしまって拗ねているから、ちょっとヨキには当たりが強いんですね。
ヨキはレイを牽制しつつもジュンを預けたりと信頼はしていて、そんなパパの雰囲気を察知してかジュンはレイがちょっと苦手。外見だけではなくて中味もヨキに似てきているのはさすが親子です。
ジュンが大人になった時のお話も読んでみたいですが、まだしばらくは子どものままでいてほしいかな。もう少し物影からこの優しい一家を見つめていたいという気持ちになりました。
銀のくつ感想まとめ
ヨキは今はリオのことを大好きですが、リオと出会うまではヨキは来るもの拒まずに遊んでいて、リオのお姉さん(ソフィア)ともそういう関係だった様子。
このあたりはぼんやりとしか描かれていないので次回作に期待したいです。次回はヨキとリオの昔のお話になるということなので、そちらはBLとしても本格的になりそうでワクワク。
リオがちょいちょいヨキのことで焼きもちを焼いているのがまたかわいくて愛を感じます。
優しくて温かくて、かわいくて微笑ましくて、心温まるちびっこBL&ファミリーBLでした。続編も首を長くして待ってます。
ちびっこが出てくる和み系のお話が好きな人、過激なエロスはお休みして一息入れたい人、疲労回復に癒しを求めている人には大変おススメです。
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