階段から落ちかけた表紙に旭の姿が見えなくなってしまった春斗。同居し始めてキスをして仲良くなった途端の別れ。
旭の気配は感じるものの今までのように楽しく暮らせるはずもない春斗がどう出るのか。そしてお隣りさんの神崎くんが大活躍の最終話です。
4話の感想はこちら。
ロンリーとオーガンジー4話 ネタバレ感想
切なく苦しい幽霊と人間の恋物語、最終回。以下「ロンリーとオーガンジー」ネタバレ感想です。
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ロンリーとオーガンジー最終回の感想 ネタバレあり
旭の姿を探してさまよう春斗
今までだって見えなかったのに急に見えるようになっただけ。気配は感じるから今まで通りだ。そう思いこもうとするも、ぼんやりと生気を失くして座り込む春斗。
見えなくなったのがあまりにも突然だったから、こうなってしまうのも無理はありません。クマもひどくて病人のような蒼白な顔が痛々しいです。
死ぬ瞬間の夢を見る春斗は精神的にもかなり追い詰められているようで、ぼうっとしているうちに日が暮れるという生きていても死んだように暮らしています。
俺が死ねば会えるかもしれない。
今ここで飛び込めば旭と一緒にまた過ごせる。きっと寂しくない。正気を保てず駅のホームで1歩を踏み出しそうになる春斗。
こういう時は本当にひとりでいるのは危険ですよね。何かを、誰かを失ったときにひとりぼっちでいると余計に孤独を感じて追い詰められて思い余ってしまいます。
危ういところで助けたのは神埼
危険な状態の春斗の腕を掴んだのはチラ見せの通りお隣りに暮らしている神埼でした。ああもう危なかったー!一大事にならずにホッ。
春斗と神埼くんがちょっとした顔見知りになっていて良かったです。カレーをお裾分けしていて本当に良かった。
神埼は見えるわけではないけれど「におい」がするらしく、今春斗についているものからは悪臭がすると指摘します。旭が悪臭…。
良いにおいもあれば悪臭もあるらしく、悪臭の場合はあまりいいものに憑かれていないということ。悪臭と聞いて胸中複雑な春斗ですが、今は頼る人が神埼しかいません。
亡くなった人と心を通わせるのは不可能
神埼には除霊能力があり、春斗についているものを除霊すると言いだします。代々伝わる石を使って旭を排除しようとする神崎に驚く春斗。
旭は春斗をこの世ではない世界にひっぱろうとしている。だから除霊して本来死んだら向かうべきところへ戻す。つまり旭をこの世から消すと淡々と説明する神埼に、春斗は拒否しようとしました。
死ぬときにひどく後悔することがあったり自ら命を落としたりした場合、この世に魂が縛られている状態のままになってしまう。
旭はその状態で、春斗を死なせて自分と同じところに引きずり込もうとして今まで優しくしていたというのが神埼の主張でした。
神埼は春斗と旭の過ごした時間を知らないので、とても客観的で落ち着いていて常識的で良識的です。だけど2人の関係を知っていると、旭がそんなことをするとはとうてい思えないですよね。
春斗もそれは同じでした。
やっぱり春斗はこっちに来ちゃだめだ
旭とのことを否定され激昂する春斗ですが、有無を言わさずに除霊を始めた神埼。このままでは旭が消えてしまうともがく春斗ですが、突然水を吐き出して苦しみ始めます。
水ということは旭の溺死の状況に関係があるのでしょう。旭の死の間際の苦しみと同じものを感じている春斗がつらそうです。
すると神埼と春斗のとなりに旭が現れました!ずぶ濡れで「消さないで」「ひとりはこわい」「さみしい」と頭を抱える旭に近づきかける春斗。
旭の姿は神埼にも見えているらしく悪臭も消えている様子。除霊中にこんなことは初めてのようで、神埼も驚いています。やっと会えたことが嬉しくて旭に近づこうとする春斗を制する神埼。
死んでもいいから一緒に行く、と泣きながら告げる春斗の声に、旭がハッとして歌をねだります。
やっぱり春斗はこっちに来ちゃだめだ。
つぶやく旭に向かって歌い出す春斗。トラウマになっていた路上ライブを再開することができたのも、すべて旭の支えがあったから。
ありがとう、好きだよ
あきらめかけていた夢をもう一度やってみようと前向きな気持ちにさせてくれたのも旭がいたからです。
でたらめな歌詞で旭と過ごした日々を思い出しながらうたう春斗の歌声に、笑顔になる旭。そんな旭のことが大好きで、歌うことも好きだからもうやめたりはしないと決意する春斗。
ありがとう、好きだよ。
旭につられるように自然と笑顔になった春斗が、旭に向かって手を伸ばします。
その手に自分の手を重ねようとする旭。しかし…掌が重なる前に旭の姿はもう見えなくなってしました。。。
馨さんに会いに行く春斗
その後、春斗はすべて元通りの生活に戻りますが、旭がいなくなっても路上ライブは定期的に続けている春斗。路上ライブだけではなく、ライブハウスでも歌っているようです。
旭の故郷の長野へも行き、旭の幼馴染だった馨さんにも会いに行きます。旭のことを知りたがる春斗に不思議そうな馨さんには、旭とのことをすべて話してしまいました。
除霊の後からも神埼とはご近所付き合いをしているようで、晴れやかな表情の春斗に複雑な表情を浮かべる神埼。
「死んだ人間と心を通わせるなんて不可能」という考えを改めなきゃいけないかもしれないなと、春斗と旭の件があって以来思っているようです。
路上ライブでも固定ファンがつきはじめたらしく、実家にも帰省予定がある春斗は以前よりもずっと生き生きとしていて、清々しい表情です。
旭との思い出を胸に路上ライブで歌いかけたとき、一瞬旭の姿が脳裏にちらつき、また温かい気持ちになる春斗。その歌は誰に向けたものなのか…。
ファンの前でうたいはじめようと口を開いたところでロンリーとオーガンジーは終了でした。
ロンリーとオーガンジーの感想まとめ
幽霊と人間という設定上、どうしても2人がくっついてハッピーエンドとはいかないことは覚悟していましたが、覚悟していてもこれはなかなか切ない。。。
だけどこれ以上のハッピーエンドはない気もします。生きている人は生きている人なりの、その後の人生をきちんと歩まなければいけません。
旭のおかげで歌が好きだという気持ちを取り戻し、すべてが前へと進み始めた春斗。
旭が最初は本当に誰かを、春斗を殺して連れて行こうと思っていたとしても、一緒に暮らしてキスをして関わりあううちにきっとその気持ちは変わっていったのでしょう。
自分はひとりでさびしくても、やっぱりこっちに来ちゃだめだと春斗をこの世に留まらせた旭がどんな気持ちだったのかと思うと胸が痛みます。
志半ばで死を迎え、10年以上この世をたったひとりでさまよっていた旭。
春斗が自分の姿を見えるようになり、片思いしていた馨さんにも再会して共に暮らすことで、この世に対する気持ちの整理もある程度はできたのではないでしょうか。
春斗は今後くじけそうになるたびに旭のことを思い出して、自分を奮い立たせて生きていくに違いありません。
誰かと恋をすることがあっても、きっと旭との恋が支えになるはず。神埼もきっといい友人としてそばにいてくれるでしょう。
駅のホームであわやというところを助けてくれたし、基本とてもいい子ですよね神埼くん。ラストに来て驚きの大活躍だったし。
4話から最終回の展開が怒涛過ぎてちょっと急いだかなという感じはありましたが、コミックスは1巻でまとまります。
おげれつたなか先生はやっぱりこういう泣かせる切ない系のお話はピカイチですね。とても切ないけれど希望があって余韻の残るお話でした。
次回作も楽しみにしています。
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