ガイコツ書店員本田さん2巻のネタバレ感想です。

15万部売れてるのも納得の現役書店員さんによる本屋さんドタバタエッセイコミックの第二弾です。

漫画の実写化やアニメ化における本屋さんへの影響やサイン本のこと、取次さんや相変わらず個性豊かな愉快な書店員の仲間たちなど2巻もかなりの情報量で楽しく読めました。

飲み会で本田さんがガイコツ書店員であることがバレたり、前回の1巻で研修のことを書いて偉い人に怒られたというお話にはちょっと考えさせられたり。

本田さんは今も書店で働いているということで、上司の検閲もありながらの執筆なのでそうそうぶっちゃけては書けないこともあるでしょう。

しかし紙面を通して伝わる本田さんのお人柄も手伝って、ややこしいあれやこれやをすべて含めて笑いに昇華されているのがやっぱりお見事でした。

それでは以下「ガイコツ書店員本田さん」2巻の感想です。

ガイコツ書店員本田さん2巻 電子書籍



ガイコツ書店員本田さん2巻の感想


漫画家はすごい力をもっている


サイン本を漫画家が書いて自分のツイッターで宣伝したことにより、鳴り響く問い合わせ電話で書店がパンクしそうになったという実話。

最近はツイッターを開設している作家さんも多くて、作家さんがさらっと「○○にサイン本書きました」とつぶやいただけで大騒ぎになるんですね。ご時世というやつでしょう。

だがしかし漫画家さんは自分の力の大きさに無自覚!謙虚なのに実はパワーのある作家さんの影響力おそるべし。

ところで出版社の営業さんに初対面の編集さんの印象を聞かれて「着ている服が違います」とか言っちゃう本田さんが、ちょっぴり天然っぽくて真面目で憎めなくて私は大好きです(笑)

まあ人間とっさに目に映ったものを答えちゃいますよね。本田さんは悪くない。きっぱり。

ジャパニーズエロティックマンガ


外国人のお客様によるエロ漫画お求め対応。都心の大型本屋さんだと海外の方も珍しくないですよね。コミックコーナーは特に人気があります。

アニメや漫画は日本が誇る文化。しかしそんな文化にもエロに対する目線は日に日に厳しくなりつつあります。

BL業界とも密接な関係を持つあの有害図書指定。本屋さんでは有害図書の指定が入ると速攻で店頭から撤去しなければいけません。

しかもその通知がハガキで来るらしく見逃してしまいがち。本屋さんとしては本を売りたいのにその本を店頭に並べられなくなるというのは思うところあるのではないでしょうか。

有害指定はエロに限らないので本屋さんとしても作家としてもファンとしても、自分の愛読漫画は大丈夫かなとひやひやしていなければいけません。

なんでこれがダメでこれがOKなんだろう?と思うようなものも我らがBL漫画にはたーっくさんあります。明確な基準がないからみんながモヤモヤ。

本田さんをはじめとする書店員さんや本屋さんも、エロについてはいろいろと考えながら読んだり棚に並べたりしているということなんですね。

漫画の実写化で大変なことに!


人気アイドルを主演に迎えた漫画の実写化で本屋さんが大変なことになった例もありました。絵柄からして完全に暗殺○室のことですね。

コミックスの特典に表は漫画のイラスト、裏は主演のアイドルというしおりを用意した集○社。この特典を目当てにファンが押し寄せるという戦争が勃発します。

本屋さんは「しおりに指紋をつけないで!」とか「特典だけほしい!」とか、おいおいそんな無茶な…というファンからの無理難題にいちいち対応しなくちゃいけないから大変すぎます。

どの世界にも無茶を言う人が一定数いて、しかしお客様だから邪険に扱うわけにもいかず、なんとか穏便に上手にさばかないといけないという。

嗚呼、一度でも接客業をしたことがある人ならわかるこの辛さ。。。学生時代のアルバイトを思い出して思わず遠い目になってしまいました。

本好きが本屋好きとは限らない


書店員さんでもア○ゾンを利用するわけで、本が好きな人が本屋さんそのものも好きかと言われるとそうではない人もいるでしょう。

今は電子書籍もあって1クリックで本を買えてしまうし、私も確かによく利用します。仕事を終えて帰宅してポストに漫画が届いていると嬉しくて疲れが癒されます。

でもじゃあリアル書店に興味がないかといわれるとそうではなくて、私は本屋さんがすごく好きなんですよね。

通勤経路の駅近に大型本屋さんがあるということも手伝って、たくさんの本に囲まれるあの空間が居心地良くてしょっちゅう寄り道しているし。

手書きのPOPもよく読むし、ずらっと並んだ本から選ぶのはやっぱりわくわくして楽しいです。

BLが世界を平和にするんです!


本屋さん仲間での飲み会に参加した本田さん。漫画のネタを探して参加したけれど、個性豊かな人たちに圧倒されまくっています。

BLが世界を平和にするんです!

という素晴らしい合いの手が入る飲み会ってなんて素敵なんでしょう。この叫びには100点を差し上げたいです。

しかしそんな同業者飲み会で、熱血書店員さんに本田さんがあのガイコツ書店員であることがバレてしまいました。

もっと取次の悪口を書いてください!


この熱血さんがおもしろくって、けっこうぶっちゃけてくれています。「取次絶対許すまじ」とか、ガイコツ書店員の感想も「ムシの良いことばかり書いている」とか(笑)

お客さんの愚痴や版元のムカツク話とかもいっさい書かれていないし「もっと取次の悪口を書いてください!」とか言っちゃったり。

本田さんもお立場があるので、全部を正直に書いたらいろんな意味で消されちゃうことでしょう。

ギリギリのことでも笑いにもっていけるように、それでもかなりマイルドに加工して描かれているはずです。

私はただの一読者なので気軽に笑いながら読んでいますが、現場の人や関係者から見たらまた違う意見になるのかもしれませんね。

感想まとめ


巻末のおまけ漫画には1巻の6話の研修の話のその後のことを描かれていました。上司の許可をとらずにあの研修話を描いたことで超偉い人から呼び出されてしまった本田さん。

結局今の職場の上司にもネームを見てもらってから漫画を描くというチェック体制ができたそうです。

うーん…あの話って出版社的にそんなにダメなネタだったのかな。私の目にはそこまでNGネタには見えなかったのですが。。。

冷静に考えたらちょっとぽかんとするような、後になって思えば笑いがこみあげてくるような研修の一コマってどの業界にもありません?

そのあと偉い人に言われて没になってしまったという、本屋さんの仕事に希望を込めた幻の接客ネタもすごく気になります。

本田さんは今も書店員として働いておられるので、もしかするといつも行くあの本屋さんにしれっと本田さんがいるのかもしれません。

書店員と漫画家の兼業はかなり大変だと思いますが、今もどこかの本屋さんで頑張っているであろう本田さんを密かに応援しています。

漫画が好き・本屋さんが好きな人すべてにお勧めしたい作品でした。3巻も楽しみにしています!

ガイコツ書店員本田さん1巻 電子書籍




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