ラブ・セクサロイドの感想です。

一風変わった設定がユニークな天城れの先生の新刊BL「ラブセクサロイド」を読みました。

シリコン系男子、ゴリラ系男子たもつの受難、ツンデレ就職難の3つの中・短編集です。

どれも突っ込みどころ満載のぶっとんだ設定なのに、キャラクター同士は真面目にきちんと恋をしていて好感度が高かったです。

ラブドールとか精液を飲む吸精鬼とか二次元ツンデレキャラとか、意表を突いた世界観であっても恋する気持ちは変わらない。そこに複数の男子がいる限り。

というわけで以下天城れの先生の「ラブセクサロイド」ネタバレ感想です。

ラブ・セクサロイド 電子配信


イーブックジャパン先行配信です。今回はイーブックジャパン限定の描き下ろし特典が付いています。

ラブ・セクサロイド 感想 ネタバレあり


人形造形師×魂の宿ったラブドール


職場の人間関係に辟易していたことから会社を辞め、趣味の人形作りを生かした男性ラブドールの制作会社を興したサカキ。

ラブドールとは、文字通り人の代わりに愛される人形のこと。

サカキは自分の作ったラブドールの極黒(きわぐろ)とエッチをしては、アソコの調整をして完璧なラブドールを作ろうと日夜研究に勤しんでいました。

試作品1号として作られた極黒を完璧な人形として愛おしんでいたサカキですが、彼のその想いがなんと極黒に魂を与えてしまいます。

ロボットとか人形とかに魂が宿る系のお話は、最終的には人形が破棄されたり壊れたりするような切ない悲恋を想像してしまいますがそうではないのでご安心を。

一途で健気な極黒


感情を持たない人形こそが理想のパートナー。

そう思っているサカキは極黒を廃棄しようとしますが、極黒が必死でサカキに頼み込み、彼の身の回りの世話や仕事を手伝うことでなんとか破棄は免れました。

極黒のほうは制作途中の魂が宿る前からずっと(じっと?)、制作者であるサカキに恋をしていたんですね。

なのに魂が宿った瞬間、燃えないごみの日に自分で歩いて集積所に行くように言われるとか辛すぎます。。。

食事を作ったり掃除をしたり仕事を手伝ったりと有能な極黒は、サカキにどれだけ冷たくされても、そばにいられるだけで幸せだとずっと静かにサカキを想っていました。

一途で従順で優しくて、家事も仕事も手伝ってくれるとか最高のパートナーじゃないですか。イケメンだし(重要)

返品されてきたラブドールの白金


そんなある日、別れた恋人をモデルにしたラブドールの注文が入ります。しかし依頼主から、恋人とよりを戻したからラブドールは必要なくなったと返品が。

破棄処分してリサイクルしようとした瞬間、このラブドール(白金)にまで魂が宿ってしまいまい、2体と1人で暮らすようになるも気が気ではない極黒。

白金の方が極黒よりも後発ということで性能が良く動きも滑らか、かつ性格も明るく朗らかでサカキに対しても極黒に対してもとってもフレンドリー。

憎めない愛されキャラの白金が、魂が宿った瞬間サカキに抱きついて「リサイクルでカップケーキの型になりたくない」と泣きついたりするのがかわいかったです。

せめてオ○ホールがいいとか小さく言ってるのは気にしない気にしない(笑)

サカキの本心は…


しょっちゅうサカキにスキンシップをとったりと甘えるのも上手な白金。それを横目で見ながらじりじりと我慢していた極黒ですが、とうとうサカキの本音が発覚します。

実はサカキは、好きな人(極黒)が魂を持ったことで、人間と同じように自分を裏切ったり傷つけたりするのではないかと怖かったのでした。

魂が宿っても極黒は人形だから裏切ったりしない。

結局デレたサカキが用意しておいた特別なアレを設置した極黒と、甘々ラブラブな大人の時間を過ごすサカキ。極黒もやっとサカキが自分に心を開いてくれて嬉しそう。

人間と人形というカップルですがそんなことはもうどうでもいいの。2人が幸せそうで何よりです。

あと極黒が自ら局部を外して洗うその姿はとってもシュールでした。

白金に声をかけた吾郎が実は


こうなってくると白金にもお相手がほしいところ。

サカキいわく「田舎の売れないヤンキーのようなイケメン」である白金は、ホストと間違えられて男子高校生(吾郎)に声をかけられました。

吾郎は彼女とエッチができないから教えてほしいと頼み込み、白金は最初は渋々ながらも協力します。

白金とのエッチで気持ち良くなっていく吾郎。そして白金のほうも、年上が好みだからと最初はその気がなかったのに、まんざらではないような雰囲気に。。。

本当のところは吾郎は彼女云々ではなく、通りで見かける白金のことが好きで、声をかける口実がほしかっただけ。

そしてラストにンんッ!?吾郎のほうも実は…おっとこれはぜひ読んで確かめてみてください。

思ってもみなかったオチに、単純な私はまんまと驚かされました。思わずもう一回読み返してしまいましたよ。そう言われたら伏線は分かりやすく敷かれていて、こういうの大好きです。

ラブドールの存在意義


誰かに求められなければただのシリコンの塊で、吾郎に愛されることでようやくラブドールになれたという白金。

このままひとりだったら、白金には「主人に捨てられた人形」というマイナスのレッテルのまま生かされ続けるという物悲しい未来があったのかもしれません。

こんなことなら破棄されたほうが幸せだったかもしれない…白金がそんな切ないことを思う前に、吾郎に必要とされることでその存在意義を見出せて本当に良かったです。

ゴリラ系男子たもつの受難


短編2つめは、生命維持のために人の血を欲する吸血鬼ではなく、人の精液を必要とする吸精鬼の一族に生まれたゴリラのお話。じゃなくて、ゴリラのようなガタイの良い大学生たもつのお話です。

吸精鬼という設定からしてアホエロに違いない(※褒めてます)と期待していた通りのエロエロなお話でした。

精液を飲まないと生きられないためゲイビに出演することになったたもつは、撮影をしてくれる監督に密かに片思いをしています。

たもつはガチムチのラグビー部主将なんですが、体つきに似合わず繊細でピュアピュア。なのにやっていることはゲイビでぶっかけられる(=吸精する)というこのギャップ。

この流れに説得力があるのは、たもつのキャラが純粋だからということ以上に、たもつに「吸精鬼」という設定があるから。

この設定が一番生きるのがゲイビ出演というこの上なくおいしい設定だなと思いました。

たもつの魅惑のショタお兄ちゃんが出てきたり、ラグビー部の追い出しぶっかけにつっこんだりとなにかと忙しくて楽しかったです。

俺たちの二次元設定「ツンデレ就職難」


3つめの短編は、オタク産業である二次元世界で起こるボーイズラブ。お話の展開というよりはこの設定そのものが妄想をかきたてられておもしろいです。

ツンデレキャラが供給過多で需要を失いつつある二次元世界。ツンデレを生業としている優真が職を失って、就職活動中に恋のお相手も見つけアイデンティティも確立するというお話です。

昨今の二次元世界にツンデレイケメンが飽和状態ということを如実に反映しているようないないような。

優真のご両親も、お父さんが青年向け作品のリーマンのモブ役という職業で、お母さんがご近所トラブル作品の主婦のモブ役という職業だったりと細かい設定もいちいちおもしろかったです。

ツンデレリバイバルにもなんだか妙に納得してしまいました。ファッションでも一周回ってまた大昔のものが流行ることってありますからね。二次元もそういう流れがあるのかも。うーん歴史は繰り返す!?

感想まとめ


3つとも設定がユニークながらもきちんとボーイズがラブしていて、嫌な人が出てこないので安心して読めました。

ちなみに表紙の2人は最初に出てくるサカキと極黒ではなく吾郎と白金です。イーブックジャパン限定の描き下ろしもこの2人のいちゃいちゃでした。

録画してる吾郎のお父さん、絶対変態でしょ。おセッセしすぎて後ろのアタッチメントが壊れるとか吾郎も白金もノリノリでした。

ラブ・セクサロイドに出てくるカップルの中で、ビジュアルはこの2人が一番好きだなー。

お話としては1つ目の「シリコン系男子」の展開が好みですが、妄想がはかどる設定としては3つめの「ツンデレ就職難」がお気に入りです。

ところで天城先生は「BL描いても売れません―マンガ家やめてもいいですか―」のようなBLエッセイはもう出版されないのかな。

先生のエッセイは一通り読んでいますが、先生の飾らないお人柄もあって、いろいろとぶっちゃけられていておもしろくて大好きです。

BL業界のあれやこれやを知るのは楽しいのでぜひまた描いてほしいです。

天城れの先生のBLコミックス


片想イズム

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俺様のトリコ

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