絵柄がかわいくて綺麗で大好きな倉橋トモ先生の新刊は、デキる男シノ×訳あり黒猫ミオの同級生再会ラブです。
学生の頃に同じグループだったり仲が良かったりしたのに、お互いに社会人になってから疎遠になっていたというのがすごくリアル。
ミオが「最後の砦」というシノが頼りになってかっこよかったです。表紙の壁を隔てて2人がせっぱつまったエロい顔をしているのは本編にリンクしています。
手だけが壁越しに重なっているのが切なくてエロエロしいですね。さあどういう状況でこうなったのか。
それでは以下「クラックスター」の感想です。ネタバレ注意です。
クラックスター 倉橋トモ 電子書籍
クラックスター 感想 ネタバレあり
高校の頃はつるんでいた同級生
高校1年生の時に出会い、それ以来高校時代は毎日のようにつるんで過ごしていたシノ(攻)とミオ(受)
卒業後はシノが上京し、たまにある地元の集まりにもミオが来ないことが増えて自然と疎遠になっていた時、夜中にシノを訪ねてミオがやってきます。
3年ぶりに会うミオは少し雰囲気が変わった様子ですが、どうやら訳ありで行き場を失ったらしくしばらくシノと同居することになりました。
実は3ヶ月前に仕事を辞めて実家を出てから人の家を転々としていたミオ。そんなミオにとってシノは大切な「最後の砦」なのでした。
結婚寸前の彼女がいたのに男と浮気をしたという噂があるミオを放っておけないシノは、根っからのいいやつです。
同居がはじまると3年という月日を感じさせず、お互いすぐに高校当時の楽しい仲間に戻ってごく自然に一緒にいる2人。
何年か会わずにいても、会えばすぐに時間が巻き戻ったように話せる友達っていいですよね。
ところで表紙めくってすぐの扉絵で、いきなりシノが足でミオの服をめくっている構図がエロくてしばらく眺めてしまいました。チラ乳首すばらしい。いたずらなシノの足がいい仕事をしています。
モヤモヤとしてやきもきするシノ
シノの会社は広告代理店。いつも帰宅が深夜になるような厳しい職場環境の中で人手不足なのでしょう。
バイトとしてシノの会社で手伝うことになったミオは、誰からもかわいがられる世渡り上手ですぐさま馴染んでしまいました。
同居しつつ職場も同じという状況ですが、自分のことは何も話してくれないミオ。ある時シノは、ミオが職場の親会社の社員である青山と会っていることに気づきます。
青山は同性愛者で有名な男。しかもミオはシノのところに来るまであちこちをフラフラしていました。これはもしや…気になるシノですが、今ひとつミオに踏み込めずやきもきと過ごします。
一緒に暮らしているためお風呂場でバッタリもあり、ミオに反応するシノとシノで抜くミオがお互いに意識しまくっていてじれったいです。
高校時代のことを思い出すシーンで、シノがミオに甘えていたり軽くスキンシップをとったりしているのが微笑ましかったな。
でもミオとしてはこのころからシノを好きだったわけで、一緒に過ごせるのは幸せであると同時に切ない時間でもあったでしょうね。
トイレの個室越しでエロく豹変するミオ
仕事中トイレの個室にいると、隣の個室からミオと青山らしき男の声が聞こえてきて驚くシノ。
となりでヤりはじめたミオの声に反応するシノの下半身。シノはいけないと分かっていても興奮してしまいます。
これが表紙のシーンなんですね。どうりで2人とも熱っぽい顔をしていると思ったら真っ最中だったということです。
聞いたことのないようなミオの声でこっそり抜いてしまったシノは、仕事中もミオのことを考えてモヤモヤしっぱなし。
ミオに声をかけられると嬉しかったりキュンとしたりするものの、自分の気持ちに名前を付けられずに中途半端に過ごします。
ミオのほうはシノの部屋に転がり込む前に青山とセフレになり世話になっていたため、青山には逆らえない状態なのでした。
ミオが連絡をしてこないことで首を絞めかけたり、シノにミオの過去がバレたらどうなるかと軽く脅したりする青山さんの病的な雰囲気がやばい。
ミオはどうやら悪い男にひっかかっていたようです。
シノが好きだから
シノに自分のことがバレたと知り逃げ出そうとするミオ。シノはギリギリでひきとめて、お互いに勃っていることを確認します。
「シノが好きだから」本音を吐露するミオを押し倒したシノは、自分の気持ちは伝えることなくなだれこむように身体を重ねました。
初めてのエッチではミオの方がリードして乗っかって動いたりと積極的で艶っぽかったです。口でゴムを付けるのがエロかった!
シノのほうはそんなミオとの関係に満足したようですが、初エッチを終えてもミオが今まで通りの態度でいることに少し戸惑い気味です。
ミオのほうはずっと片思いしていた相手に告白できて身体を結ぶことができただけでも嬉しかったのでしょう。
純粋にシノを好きな気持ちだけでいっぱいで、男であるシノに対して恋人になってとか好きになってほしいとは言えるはずもありません。
一緒に暮らしてくれて優しくしてくれて、告白も身体も受け入れてくれただけで満足だった。
とはいえノンケであるはずのシノが身体まで受け入れてくれるというのは、ひとつのハードルを越えたということ。
身体の関係がOKなのはシノが自分を好きなのだという期待もミオには少なからずありました。
セフレのような関係から一転ラブラブに
流されるようにセフレっぽい関係になってしまったけれど、シノは未だに自分のミオへの気持ちをハッキリさせられないまま過ごしていました。
すると残業中、職場でミオを思い出して興奮しかけているところへ当の本人がやってきます。
「口でしてあげる」とノリノリのミオですが、運悪くそこへシノに片思いしている同僚の女の子がきてしまい机の下に隠れることに。
シノははっきりと「好きなやつがいる」と同僚に答えますが、ミオは大ショック。自分のことだとは考えないミオはいじらしいです。
もちろんシノの好きな人とはミオのこと。誤解を解き、ようやくシノがミオに気持ちを伝えて無事に恋人同士に。。。
そのまま防音の深夜の職場でエッチしてしまいますが職場は危険です!一応鍵はかけていたようですがハラハラドキドキ。
案の定、堅物で有名な同僚の小林さんにナニをしていたのか野生の勘で気づかれて、お説教されてしまうシノ&ミオなのでした。
正座させられてくどくどと小林さんに叱られている2人がかわいい。
小林さんお疲れ様です。ところであなたはたぶんすごくいい受けになりそうなので、今回当て馬だった青山さんあたりとどうでしょう。その真面目メガネをドSな彼に外してもらって新しい扉を開くというのもアリですよ。
あっでも青山さんには小山さんのほうがいいのかな。シノの背中を押してくれたりミオとのことも理解してふんわりフォローしてくれているようだし。
うーん楽しい妄想は尽きません。
感想まとめ
青山さんが案外あっさり引いてくれて、本物の執着系病み人じゃなくてよかったです。きっと野良猫が出て行って寂しくていじわるしちゃったんですね。
ページ数の関係もあったのかもしれませんが、ミオの過去のことについてはもう少し掘り下げた描写があってもよかったかもしれません。
彼女とのことや実家とのことやフラフラしていた3か月間のことなど、辛くて苦しかった過去がもう少し描かれていたら、それを経て今やっと幸せになってくれたことへの説得力が増したかなと思います。
描き下ろしはシノにちゃんと愛されていることを実感したミオとシノのラブラブ逃避行でした。青山さんも小山さんになぐさめてもらっていて、ひとりにならずにすんで良かったです。
あとがきによるとシノは「プロのオ○ニスト」でミオは「魔性の黒猫ヒモ」というあだ名がついていたそうです。言い得て妙ですね。
高校の同級生と再会して距離が近づくけれど友達のまま身体の関係になりセフレが続き、最後には腹をくくって恋人同士になっていくという安心して読める王道展開でした。
修正は雰囲気を損なうものではなく一部白鉛筆でシャッシャとギザギザに消したようないつものQpaさんの感じです。
ガッツリ詳細に描き込む系の作家さんではないので大事なところはうまく隠れていることも多いですね。
今回はエロが多いものをということで、倉橋トモ先生の繊細で美しい絵柄で品のあるエロが何度も堪能できました。
定番の安心感というか、絵柄も荒れずにコンスタントに作品を世に送り出してくれるお気に入りの作家さんです。
次回作もまた楽しみしにしています。