ひだまりが聴こえる幸福論の続編リミット第4話の感想です。コミックス1巻の感想になるのでネタバレにご注意ください。

研修合宿先でプチ遭難しかけた太一は迎えに来てくれた千葉さんと和解(?)して一件落着。

いっぽう太一との旅行話が流れて凹んでいる航平は、元気づけようと誘ってくれたマヤちゃんと外出することになりました。

そこでサッカーボールから助けてくれたあの元気な子と再会しますが…。前回3話の復習はこちら。

ひだまりが聴こえるリミット3話 ネタバレ感想

いろんなことが動き出した波乱の4話です。

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ひだまりが聴こえるリミット4話感想 ネタバレあり


デフフットサルの特別なルール


見学にやってきたデフフットサルサークルで代表者からルールの説明を聞く航平とマヤ。

デフフットサルのルールは通常のフットサルとほぼ同じですが、明らかに違うのは審判が笛ではなく旗で指示をするというところ。

選手同士でぶつかったり転んだりしたときに危険なので、補聴器をしている人は外してプレイをします。健聴なら耳栓をすることで皆同じ条件でスポーツを楽しめるということですね。

音がしないということは背後から人が来た時にすごく怖いもの。そう言うのはフットサルサークルの代表者・梅谷さん。

黒髪でキャップ姿の明るく朗らかなお兄さんという雰囲気の梅谷さんは、片耳が難聴のため仲間がほしくてこのサークルを自ら立ち上げました。

近所の手話サークルに行ったはいいものの、若い人がいなくて身内で固まっているのでアウェイな感じがして馴染めなかった。

そんな話を梅谷さんと同じような経験をしたマヤちゃんも納得しながら聞いていると、背後から飛んできたボールが梅谷さんの頭にクリーンヒットしてしまいます。

いきなり抱きついてきたー!!


ボールを蹴ったのは航平を以前アクロバティックに助けてくれたあのオレンジの髪の小柄な青年です。航平はあの時のことでお礼を言いますが、オレンジ君はまったく覚えていない様子。

マヤは航平の知り合いかと驚きますが、説明をしているうちにオレンジ君のほうも思い出したようで、なんといきなり航平に抱きついてきました。

「ちょっとあんた先輩に何してんの!離れろ!」全読者の叫びを代弁してくれるマヤちゃん。怒り心頭で睨みつけて航平をガードしますが、オレンジ君はどこ吹く風で平然としています。

マヤのこともじっと見つめて、今度はなんとマヤちゃんにまで抱きつきました。絶叫してバチーンと頬をひっぱたいたマヤちゃんですが、これはオレンジ君がダメでしょう。

航平もびっくりしていたし、いきなり初対面の女の子に抱きつくとか非常識です。マヤちゃんも怒っているし何より知らない男にいきなり抱きつかれてかなり怖かったはず。

スキンシップが激しいリョウ君


サークルの後、飲み会をするメンバー一同。会場はサークル代表の梅谷さんの職場の居酒屋です。そこでも同じテーブルに座った航平&マヤちゃん&オレンジ君。

ムスッと不機嫌なマヤは警戒心を解きません。オレンジ君はまったく悪びれずニコニコしながらマヤちゃんと航平を眺めています。

オレンジ君の名前はリョウ。梅谷さんいわくリョウ君は「スキンシップが激しいだけで悪気がない」ということですが、そういわれてもマヤちゃんだってすぐにはヘラヘラできないですよね。怖い思いをしたんだし。

リョウ君はほとんど耳が聴こえず、今はスマホのアプリゲームを作るベンチャー企業で働いています。まだあどけない感じなので学生っぽく見えましたが実際は社会人でした。

うちの会社に聴者はいらない


ユーザーの評判もいいから買うなら今がねらい目だとリョウ君のスマホゲームの宣伝する梅谷さんに、マヤちゃんはピシッとした態度を崩しません。

「先輩は法学部で社労士を目指しているんです!ゲームなんてやる暇ないですから」マ、マヤちゃんも人の夢を簡単にバラしちゃっていいのかしら。航平だって息抜きにゲームくらいするかもしれないし。

ただ、航平は特に社労士になる勉強をしていることを隠している様子はありません。

するとリョウ君はスマホで会社の労働規定を航平に見せてきます。おかしいところがないか見てほしいというリョウ君。

勉強中とはいえ資格も持たない航平は困惑したように、会社に顧問弁護士をつけたほうがいいと遠慮がちに告げます。

しかし「手話ができないからうちの会社に聴者はいらない」とリョウ君は聞く耳を持たない様子できっぱりと拒絶しました。

リョウ君の会社は社員全員が皆聴覚障害者なので、その辺の理解がないと厳しい。リョウ君の代わりに困ったように説明する梅谷さんですが、梅谷さんとリョウ君はどういう繋がりなのでしょう。

けっこう梅谷さんがフォロー役に回っているので、リョウ君をよく知る親しい友人(幼馴染とか)なのかもしれません。

なんで社労士になりたいの?


社労士になりたいという航平に「うちの会社に入ればいい」と唐突に勧誘するリョウ君。勝手なことを言ってると、またも怒りの声を上げるマヤちゃん。

航平が社労士になりたいと思ったのは、迷惑をかけると思ってバイトもしたことがなかったため働くということに憧れていたことが始まりでした。

最初からあきらめていた航平は、自分とは正反対の人(太一)に出会って、忙しくて大変そうだけどそんな彼を少し羨ましくも思っていました。

あんな風に働けないかなと思って労務関係に関心を持つようになり、社労士を目指すようになった航平。人間関係だけじゃなくて職業選択でも航平に影響を与えたのはやっぱり太一だったんですね。

太一に影響を与えたのは航平で、お互いに職業という人生の大きな選択において影響しあった2人。

太一の仕事のこともあってなかなかゆっくり会えませんが、離れていてもお互いに想いあっていて心が繋がっている2人はやっぱりお似合いです。

耳なんて聴こえなくてもいいじゃない


一般的には社労士は経営者の味方というイメージですが、本来は労使の間を取り持つ橋渡しの役割を担っています。

社労士になれば、自分のように障害のある人と働く場所を繋ぐ手助けになれるのではないかと考えている航平。

航平をじっと見つめるリョウ君は、ふと航平の手荷物にあった「人工内耳」のパンフレットに目と留めました。

すると何を思ったのか、いきなりそのパンフレットを航平やマヤちゃんの目の前でビリビリに破くリョウ君。

こんなもの必要ない。耳なんて聴こえなくてもいいじゃない。

無邪気な笑顔と手話で航平に伝えるリョウ君に、マヤちゃんが「先輩の物に何してくれてんのよ!」と本格的にブチ切れました。

うわあ、人の物を勝手に破くというのは聴こえる聴こえない以前に人として非常識すぎるでしょう。

必要か必要でないかは他人が決めることではありません。聴こえなくても良いと考えるのか聴こえたほうが良いと考えるのかも本人が決めること。

人工内耳をめぐってリョウ君の中で何かトラウマになるような辛い出来事が過去にあったのかもしれませんが、いきなり人の物を破くのは普通にダメでしょう。

リョウ君の「会社に聴者はいらない」という排他的な態度を考えると、この無邪気な笑顔の裏に隠された苦悩や葛藤があるのかなと考えてしまいます。

航平のお母さんがテレビ出演


飲み会の後ぐったりして帰宅する航平は、リョウ君にいきなりパンフレットを破かれてびっくりしていました。

でもリョウ君のあまりに無邪気な笑顔に怒る気にもなれません。助けてもらったという恩も感じているのかもしれませんね。

リョウ君は気が向いたときにしかサークルには来ないからという梅谷さんの言葉や、悪びれずに「またね」と笑顔だったリョウ君を思い出す航平。

自宅に帰ると、お母さんがテレビの取材を受けることになったとはしゃいでいます。案外ミーハーな航平ママ。何を着ようかとワクワクしている姿がかわいいです。

この取材で航平のことに触れられたりするのでしょうか。テレビ取材のことで何か航平の周辺が不穏にざわついたりしないといいのですが。

リョウ君は千葉さんの弟!?


太一のほうはとうとう研修最終日。花火をみんなで楽しむ夜がやってきました。

ひと悶着あった上野さんの班は蓋を開けたら一番みんなが仲良くなり、課題もとてもよくできていたようで、千葉さんも彼女たちを見つめる目が穏やかです。

写真係の太一は手話を解禁されて上野さんグループに混ざりながら和気あいあいと馴染んでいました。そんな太一を見守る千葉さんに声をかけたのは天童さん。

「最初はただの生意気なだけのガキだと思っていたけど、だんだんかわいく思えてきたな~とか考えてる?」天童さんは、千葉さんの気持ちを見透かしたように笑いながら告げます。

太一に対しては、誰もが自然と壁がとれてしまう。猪突猛進な単純バカではなく案外視野が広くて周りをよく見ているし、何より人の気持ちを理解する能力がとても高い。

同情なら誰にでもできるけど、その人の意思や状況を純粋に把握できる人って案外少ないものです。太一のそれは一種の才能。

「どう育ったあんなら風になるのかね」天童さんはさらに続けます。

ちょっと前の千葉さんに似ている太一。だから千葉さんは太一に対して当たりが強めになっていたのでした。

千葉さんはズバリと指摘されて言いよどみます。また言葉を重ねる天童さん。

上野さんはリョウ君とは違うよ?

浮かない表情の千葉さん


分かっていますよとその場を離れる千葉さんに天童さんは「本当に分かっているのかな」とひとりごちました。

2人は天童さんのほうが先輩で千葉さんの方が後輩という関係です。でも天童さんは千葉さんの家族(弟)のことも知っていたし、同じ会社の仕事仲間というだけではなさそうですね。元々友達同士なのかな。

しかもリョウ君はどうやら千葉さんの弟のようです。意外なところで繋がりましたが、千葉さんはいまひとつ浮かない表情だったので兄弟間の関係はあまりうまくいっていないのかもしれません。

天童さんの言葉から想像すると、千葉さんは上野さんにリョウ君を重ねて見ているということ。

昔の自分に似ている太一が上野さんに対して今やっていることが、かつて千葉さん自身がリョウ君にしたことと重なってしまい、だからつい太一のやることが気になってしまう、とかそんなかんじでしょうか。

リョウ君が人工内耳のパンフレットを破いたことも何か関係があるのかも。リョウ君が目立つオレンジ色の頭にしているのとかも意味があったりするのかな。

今後、千葉兄弟についてもリョウ君を中心とした掘り下げがありそうです。

太一のおじいさんが!?


合宿が終わり皆で会社に戻った太一。自宅から着信があったので電話をかけ直しますが全然繋がりません。

すると会社に総合病院から電話がかかってきました。太一が電話をとると、どうやらおじいちゃんに何かあったようで…。

空っぽの太一の家で床に転がる湯のみ茶碗がなんとなく嫌な雰囲気です。太一のおじいさんは無事でしょうか。千葉さんが太一の様子を見ているので力になってくれるかな。

こういう時、身内は動揺しているから誰か太一と一緒にいてあげてほしいのですが。

ひだまりが聴こえるリミット4話の感想まとめ


合宿が終わって少しずつ物語が動き始めました。航平の夢や強烈なキャラのリョウ君、さらにそれが千葉さんの弟だったり太一のおじいさんが病院に運ばれたり。

航平はおそらくまたデフフットサルでリョウ君と会うことになるでしょう。仲間としてリョウ君から何らかの影響を受けるのか、それともリョウ君のほうが航平との関わりで変わっていくのか。

おじいさんの一大事なので今は太一にも余裕がなくなっているでしょうし、航平が人工内耳のことを太一に話せるのはまだ少し先のことになりそうです。

太一のおじいさん、実はちょっと転んで骨折して入院することになったとかで大きな病気とかじゃないといいな。太一にはたったひとりのおじいちゃんですからね。

いきなり抱きついたりパンフレットを破いたりと非常識な行動をとったリョウ君に対して、ズバズバと言ってくれたマヤちゃんが彼女らしかったです。

お話は動きましたが、ラブな方向はまだまだ当面おあずけの様相です。BがLする展開はもっと先のこと。最後は2人で旅行に行けるといいですけどね…。

離れている間もお互いを想っているのはよく分かったのですが、旅行がダメになってがっかりしている航平のためにも、少しだけでも2人でイチャイチャする時間があればいいのになと思います。

次回「ひだまりが聴こえるリミット」5話は6/22発売のCanna54号です。

ではまた5話の感想でお会いしましょう。

追記)5話の感想を書きました。

ひだまりが聴こえるリミット5話 ネタバレ感想

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