朝倉嬢に突き落とされて記憶が17歳当時に戻ってしまったハル。不思議なことに自宅に戻るとほっとしているとそこへ零がやってきました。
目覚めたらひとり弟が増えていたという状況で、レンはキスを試してみればいいと挑発。そんなレンにハルは思わずキスしてしまい…。
前回のスーパーラバーズ30話の感想はこちら。
SUPER LOVERS(スーパーラヴァーズ)30話 ネタバレ感想
それでは以下あべ美幸先生の「SUPER LOVERS(スーパーラヴァーズ)」31話の感想です。ネタバレ注意です。
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連載が掲載されている雑誌エメラルドもスーパーラバーズ単行本もまだ電子配信されていません。
SUPER LOVERS(スーパーラヴァーズ)31話感想 ネタバレあり
挑発に応じてキスするも
男を相手にする趣味なんてなかったはずなのに、なぜかレンに吸い寄せられるようにキスをしてしまったハル。
翌朝ソファで横になっていたハルを蒔麻が見つけます。レンのせいで眠れなかったというハルに、蒔麻はとても冷静でした。
零が兄さんにしたことは兄さんがいつも零にしていることだから気にしなくていいよ。
25歳長男の日頃の零ラブな言動を、同じ家で暮らしていて嫌というほど見てきた蒔麻はすべてお見通し。ハルは8年後の自分がやっていたことに驚愕してソファから転げ落ちました。
にわかには信じられない17歳のハル。そこへ亜樹と零がやってきます。零のことは連れてきたハルに責任があると言う亜樹。
ハルは、店をきりもりしたりテキパキと動く蒔麻と亜樹に、中学生だったはずの2人が大学生になり思いのほかしっかりしていることに改めて気付きます。
キッチンがガスじゃなくてIHになっていることに驚いたりするのも新鮮といえば新鮮ですね。8年も経てば世の中も動くということでしょう。
物欲しそうな目で俺を見るな!
零と2人でキッチンに立つと、ハルは昨日のキスを思い出して動揺してしまいます。お試しなのになぜかディープキスをしてしまい、息をつく瞬間の零の色っぽい表情を思い出してゾクリ。
キッチンで零を物理的に話してその場を逃げ出してしまいました。興味のないはずなのに、うっかり流されそうになってしまいプチパニックになるハル。
心配した零にもつい言いがかりをつけて八つ当たりしてしまいます。伸ばされた手を払いのけ「俺に触るな」と大きな声で拒絶。
物欲しそうな目で俺を見るな。気味悪いんだよ!
まっすぐすぎる零の視線がハルには一番不快で傷つけたくなってしまう。零にとってはとても残酷な言葉を投げつけてしまいました。
あああこれは辛い…レンレンはこんなふうになじられても、何も言い返さずにうけとめるんですよね。それも愛。なんていじらしいんだろう。
少し前まであんなにラブラブだったハルにこんなふうに全身全霊で拒絶されて、傷つかないはずがないのに。
べ、別にショックとか受けてないし!
病院のカウンセリングで、ハルは森先生に零のことが苦手だとこぼします。無表情で何を考えているのか分からないし会話もない。最近は家でももう零とは目も合わせていません。
「とうとう零くんに嫌われちゃったの?」あっさり言う先生の言葉になぜかぐっさりと傷つくハル。他人に指摘されただけなのにズキズキと異様に胸が痛んでいます。
心のどこかで覚えているんでしょうね。あんなにレンレン大好きでベタベタいちゃいちゃしていたし。あれがないとスパラヴァはやっぱり寂しいです。
相手と一度ダメだったらすぐ諦めちゃうから零が不憫だと言及する森先生に、ハルは真剣な表情で正論をぶつけました。
今の自分が零をどう思おうと自由。不憫だなんて本人は自分のことをそんな風には思っていないはず。
普段物わかりがよさそうな顔をして、時々人がぐうの音も出ないような正論をぶつけてくるのが17歳のハルです。
森先生はカウンセリングでハルが一度も零のことを名前で呼ばなかったことにも気づいていました。ハルが不自然な記憶の失くし方をしたことも気になっているようです。
零とはずっと必要最低限の会話しかしないうえに、毎日同じ家で暮らしていても顔を見ているという気がしないハル。もしかして避けられてる!?はたと気づいてまたショックを受けていました。
気味悪いなんて言ってしまった時も「悪かった」と謝ってきたり、ハルは病院の待合室でひとり頭を抱えてしまいます。
朝倉嬢また現る!ひいい逃げてー!
するとハルを見かけて声をかけてきたのは、なんとまさかの朝倉嬢。ハルを突き落した張本人です。あんなことをしておいて平気でハルに声をかけてくるとはやはり正気ではありません。
焦点の定まらないようなうつろな目で平然と話しかけますが、17歳のハルは当然誰か分からず普通に対応しました。
ホスト時代のお客さんだと知り、今頭をぶつけて8年分の記憶がないことも話してしまいます。いやあああダメよー!その人はダメよー!!
朝倉嬢もお見舞いで病院に来たらしく、こうして会えたのは何かの縁だと自分に都合よく解釈していました。怖いよ怖いよ。
ホストと客の関係だったけど仲が良くてお互い家族の話もよくしていたし、零の話も楽しかったとのたまう朝倉嬢。話し相手になるし何か思い出すかもしれないと、気が向いたら電話するようハルに名刺を渡してきました。
「私たちはよく似ていたの。家族が一番大事で今もそう」意味深な言葉を残して朝倉嬢はあっさりと去っていきます。
客にまでペラペラと零のことを話していたという昔の自分に引き気味なハルは、朝倉嬢にはまったく覚えがなくピンとくる様子もありません。
脳はフクザツで心はもっと複雑
零がお会計を済ませて戻ってくると、ハルはこの前怒鳴ってしまったことを反省したのか零を食事に誘ってみました。
ところが零は「無理して俺の機嫌をとる必要はない」ときっぱり。
お前のことを覚えていない俺はもうどうでもいいってこと?
そう思っても言えずにいるハル。ああもう2人のすれ違いがじれったいし切ないです。
保健医の篁先生のアパートへ向かった零ですが、部屋には夏生もいて栄養出張寸前で倒れかけた先生の世話を焼いているところでした。
零は古高先生の連絡先を聞きに来たのですが、あいにく古高先生は海外。暗示で記憶を取り戻すのをハルで試してもらいたかったんですね。
脳はフクザツで心はもっと複雑。脳に異常がないのに思い出さないということは他になにか原因があるのかもしれない。
ハルにしてみれば零と海棠の両親の事故の記憶は直結している可能性があります。初めて零と会ったことを思い出そうとすれば事故のことも思い出す。
得たものよりも失った方を思い出してしまう。自分の目の前で失ったものが自分の家族ならより強烈に思い出すことになってしまいます。
やはり零のことを含む8年間を思い出すのにブレーキがかかっているのは、両親のことを思い出したくないという気持ちがあるからということになるのでしょうね。
「俺」を少しも見ようとしないから
壊れていたスマホが修理から戻ってきて、ハルは珍しそうにまじまじと見つめています。8年前ということはまだスマホじゃなかったんですね。
暗証番号が分からないハルは再起動できずにあれこれ試すもすべてNG。帰ってきた零は一瞬で暗証番号を入れてしまいました。
同じ番号を使っていた零とハル。それを聞いてありえない!とハルは驚きます。だけどそうさせたのは25歳のハルでした。
恋人同士みたいな甘ったるいことを零としていたこと。それを当たり前みたいに受け取っていた零。今の「俺」を見ようともしない零にハルは胃がムカムカしてきます。
なるほど零が見ているのは明らかに25歳のハルで今目の前にいる17歳のハルではありません。それがハルにはおもしろくないのでしょう。
未来の自分を見る目で今の自分を見ている。ありのままの今現在の自分を見てくれない零に腹立たしく感じてしまうのは、やはり深層心理では零に対する独占欲や執着心が隠されているからに違いありません。
零も悪くないしハルだって何も悪くない。じっくりゆっくり8年分を埋めるべく歩み寄るしかないのかな。記憶が戻れば一番なのですが。
傷付いた表情の零
カフェに通う常連さんたちや近所でもハルの記憶喪失は話題になっていました。ハルが回復するまではタヌキをカフェのマスコットにすることに。
トリミングのお店で世間話をするハルは、女の子相手ならいくら嘘をついても罪悪感を感じないし、どんな表情をされても苦しくありません。
嫌われたと感じて落ち込むこともなく、相手が今日どんな一日だったか想像することも寝る前に人目会いたいと思うこともありません。
なのにすっきりしたタヌキにキスをする零を見ているとなぜかイラッとして心がざわつくハル。犬のくせに、などとタヌキに対して感じてしまっている自分に引いてしまい、思わず「零」と名前で呼びかけました。
はじめて名前を呼んだハルに、何かあったのかと食いつく零。だけど「お前がどう思おうと関係ない」とまた冷たくされてしまい傷付いた表情を見せました。
名前を呼ばれたくらいで勘違いして傷ついた顔をするな!とまた大きな声を出すハル。零としては名前呼びされて、ハルが何かを思い出したんじゃないかと期待したのでしょう。あああかわいそうすぎる零…。
あんなにいちゃいちゃチュッチュしてたのに(涙)
「俺はお前が…」なにかを言いかけた零に、ハルは釘を刺すようにそのセリフを制しました。
それを聞いたら俺はお前に優しくしなきゃいけなくなるだろ?
一応俺の「弟」なんだからと、さらにハルは零を冷たく突き放します。あんなにベタ甘だった零に対してこんなにも冷淡な言葉を投げつけるハル。
つ、つらい。つらすぎる。25歳のレン激ラブなハルを散々見てきただけに、この冷たい態度はぐさっと刺さります。
訳も分からず時々独占欲を見せたりイライラしたりするハルに、こっちが若干イラッ。くうう、なんとかならないの!?
いちゃいちゃしていてくれるだけで尊い2人だったのにエッチまだー?とか毎回ゲスいこと言っててごめん。あと3年くらいエッチしなくても、また元のようにいちゃついてくれたらそれだけでもういいよ。
このやりとりを偶然見てしまったのは郁芳。泣きそうな零を元気づけようと、自分の家に泊まりに来るように誘ってくれました。なんていい子なのでしょう。
零が家に来ることを純粋に喜んでいるし、さりげなくハルたち一家を見守ってくれる座敷童みたいな感じ?ちょっと違うか。4兄弟に混ざっても普通に馴染んでいるしコミュ力高いですよね。
郁芳が優しくて的確でいい男だった
デザートバイキングをやるために試作のケーキを夜に作っている郁芳は、それを手伝ってもらうという名目でしばらく零をハルから引き離すことに成功しました。
零を先に部屋に行かせてハルと2人きりになると、郁芳は自分が今までそばで見てきた零やハルについて真面目に語りだします。
「零はたったひとつしかないものをとっくにハルに差し出している。なのにハルは零にもっと大事なものを寄越せと言っている」
ハルは今まで大勢の人からいろんなものをもらってきたから、零からもらうたったひとつの愛情の価値がちっとも分かっていません。
大事なものを失くした子供と最初から何も持っていない子供。不幸なのはいったいどちらなのでしょうか。
32話に続く。
スーパーラバーズ31話 感想まとめ
恋愛を消耗品と思っているハルは、愛情なんて好きならいくらでも与えられると思っていました。
だけどすべてを差し出している零にはこれ以上何をどうしようもありません。零はとっくに全部を差し出していてもう何も持っていないのです。
最初から何も持っていない子供だった零は、その身ひとつで全ての愛情をハルに捧げてきました。
その零にこれ以上を求めるのは酷であり、その稀有な愛情の深さや重さをハルはもう少し重く受け止めてもいいのではないか。
零の涙を見てしまった郁芳は、ハルに苦言とまでいかずとも一言だけは言っておきたかったのでしょう。いい子だ。。。
とはいえ17歳の記憶状態なので、今のハルにそれを求めるのも酷な気がします。ただ、郁芳という家族以外の第三者がハルに言ってくれたのはとても意味のあるものです。
亜樹たち家族からの言葉や零本人からの言葉には、どうしても過敏に反応してしまうのが17歳というもの。ちょうどいい距離感の他人である郁芳の言葉が、今のハルには一番すんなりと響くのではないでしょうか。
もう零の切なさが辛くて、でもハルを責めることもできないし、じれったくてモダモダしてしまいます。
しかも朝倉嬢がまた何かやらかしそうな不穏な空気に身震いしてしまいます。
ハルと零がただただチュッチュしていた頃が遠い昔のことのようで、失ってから初めて気づくイチャイチャの尊さ。。。
エメラルド春の号はスーパーラヴァーズは2本立てでした。2話分たっぷり読めて嬉しいです。
というわけで「スーパーラヴァーズ」32話の感想に続きます。
SUPER LOVERS(スーパーラヴァーズ)32話 ネタバレ感想
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