記憶が17歳の高校生当時に戻ってしまい混乱しイラ立つハル。そんなハルのそばを離れない零でしたが、投げやりになったハルとエッチしかけたところで酷いことを言われ雨の夜に飛び出してしまいます。
零のことが気になり追いかけるハルの目の前に現れたのは、あの病的なストーカー朝倉嬢。零がカッターで切りかかられ、危うくのところでハルの記憶が戻り…というところまでが前回32話でした。
前回の感想はこちら。
SUPER LOVERS(スーパーラヴァーズ)11巻32話 ネタバレ感想
それでは以下あべ美幸先生の「SUPER LOVERS(スーパーラバーズ)」33話の感想です。ネタバレ注意です。
エメラルド夏の号 電子配信
雑誌エメラルドも単行本のスーパーラバーズもまだ電子配信されていません。早く電子化されますように。
SUPER LOVERS(スーパーラヴァーズ)33話感想 ネタバレあり
俺、やっちゃったかもしれない
あの後、警察に一日一晩中拘束され事情説明をしていたハルが幹子さんに電話しているところから33話はスタートです。
翌朝、零の眠るベッドで幹子さんにここまでの流れを説明するハルですが、記憶は無事に戻っている様子です。とんだ荒療治でしたが零との日々を思いだしたようでまずは一安心ですね。
警察にもどう説明したものかとハルは困り果て、そのため事情聴取が今朝までかかっていたのでした。眠る零の手を握るハルは零が目覚めて慌てて電話を切ります。
零を心配するハルですが、零としては朝倉嬢の振り下ろしたカッターを手で止めたハルの方が気になっていました。今までギスギスしていただけに、お互いに心配して気遣う姿にほろりとします。
ハルの記憶は戻ったとはいえ、昨日の記憶が戻る直前のことは微妙に曖昧なようです。一番大事なとこですねw
零のクールな反応を見て内心焦りまくるハル。零に言われた「大っ嫌い!」のインパクトが強烈すぎてその直前の記憶が飛んでいるため、もしかしてヤッっちゃったんじゃないかとひとりでパニくっていました。
思いきって零に確認しようとするも聞けず、ハルは実力行使で零の服をはぎ取ります。すると零の太ももの内側や首筋にすっごい数のキスマークが!
もしかして俺、本格的にやらかしてしまった!?
17歳の自分が零とエッチしたと思い込んでトイレに閉じこもってしまうハル。亜樹も蒔麻もハルの奇行に驚いていました。
ハルにとって零はまだ子供。大人になるまでうんと甘やかして大事にして、大人になっても自分がいないと生きていけないというくらいになるまで我慢するつもりだったのに。
うっかり手を出してしまった17歳の自分に凹んで落ち込むハルは、ひとりトイレで後悔に頭を抱えていました。しかもせっかくの初エッチなの記憶がありません。ハルは「昨日の俺を殺したい」と悶々と悩みます。
零のキスマークに気づいた榎本&十全
夏休み中の高校へ行き動物たちの世話をする零の首のキスマーク。目ざとく見つけた榎本に、十全の反応もなかなかのものでした。冷静な榎本と、その話には触れてはいけないとつっこむ2人が楽しいです。
ハルの家の事情は近所では知らない人はいないくらいの有名なもので、榎本たちももちろん知っていました。ストーカー朝倉嬢のこともうっすらと伝わっています。
「女に粘着されても不思議じゃないだろ」クールな榎本に、零はハルが仕事では女性に対して一線引いていたことを告げました。
夜の仕事でも昼の仕事でも、客の前では完璧にきれいな笑顔を貼りつかせ一切崩さなかったハル。その笑顔を向けられた方はそれがハルの本質だと疑わないでしょう。
ただし17歳のハルは感情をありのままぶつけてくる年相応の子どもでした。だからといって25歳のハルとの違いはいったい何なのか。
「やっぱりアイツはただの子供だ!」17歳のハルに散々酷い言葉を投げつけられた零は、今さらのように思い出してムカついていましたw
信じられないことに被害者ぶる朝倉嬢
いっぽう朝倉嬢については幹子さんも困惑気味です。処分保留ですぐに釈放された朝倉嬢は、弁護士を同伴して幹子さんの事務所に乗り込み「ハルの証言を取り消さないと逆に訴える」と言ってきました。
朝倉嬢は、ハルに電話で呼び出されて会い台風の夜も脅迫されて断ったら何をされるか分からなくて無我夢中だったと言っているようです。
うわあ創作がすごい。ある意味才能を感じますね。確かにハルが呼び出してカフェで会ったのは事実ですが、いろんなことを捻じ曲げて話をでっちあげるとこうなるんだ。恐いなあ。
幹子さんが疑問に感じていたのは、あまりにも朝倉嬢が都合よくハルや零のまわりに現れるという点でした。ハルを突き落した日といい、偶然病院で会った日といい、台風の夜といい偶然が重なりすぎています。
実家が近所らしいと聞いていたハルですが、実際にはストーキングされていたのです。亜樹も蒔麻にも問われ、ハルはふとカフェでスマホを1度朝倉嬢に渡してしたことを思い出しました。
案の定スマホには居場所を特定できる変なアプリが仕込まれていて、このままスマホは警察に引き渡すことになります。
朝倉嬢に会ったのは自分のことを詳しく聞きたかったから。だけどそれならもっと身近に聞ける人がいるはず。幹子さんは朝倉嬢をわざわざ選んでしまったハルには呆れモードでした。
ハルとしては、思い出せないけれどなぜか気になる一番会いたい人のことを知りたかっただけ。確認したかっただけ。でもちょっと人選はまずかったですね。タイミング的にはもう仕方なかったことですが。
幹子さんは今回の事は春子さんにも報告するとハルに伝えて、朝倉嬢の対処法をもう少し考えてくれると言ってくれました。
春子さんを出されると微妙な反応のハルですが、そんな時にも考えるのは零のことばかり。どうやって零に謝ったらいいのか、そればかり考えていたのでした。
17歳のハルも25歳のハルも大事
零を学校まで迎えに行き、手を繋いで帰るハルは幸せを噛みしめています。記憶をなくした17歳の自分はひたすら苦しくて、亜樹と蒔麻がそばにいても寂しかったハル。
泣きわめきたかったし、大声でどなり散らして誰かを傷つけたかった。ハルはそうすることで確かめたかったのです。
俺に傷つけられても、俺の大事な「誰か」は俺を見捨てないということを。
いい子な自分、物わかりのいい自分、笑顔の自分。そんな自分だけではなく、傷つけられても自分を信じて見捨てずにそばにいてくれる人がいるということをハルは確認したかったんですね。
「物欲しそうな目で見るな。気味が悪いんだよ!」などと零に酷い言葉を投げつけた17歳のハル。だけどどんな酷いことを言っても、零はハルを責めたりせずそばにいてくれました。
17歳のハルにも25歳のハルにも零はひどく甘いのです。「17歳のハルにもちゃんと好きだと伝えたかった。言えてよかった」どちらのハルも受け入れてくれている零に、ハルは酷い言葉をたくさん投げつけたことを改めて謝罪しました。
優しい零の態度にハルはジーンとしますがふと「大嫌いだ!」と言われたことを思い出して突然泣き出してしまいます。ハルのこういう子どもっぽいところはピュアというか何というか。
慌てた零は、あの夜嫌いだと言ったことを謝ってきちんと訂正します。17歳でも25歳でもどんなハルでも嫌いになったりはしないと告げる零は、ハルのまるごとすべてを大事に想っているということでしょう。
2人ともまだ外(正しくは夏休み中の零の学校内)にいるのにロマンチックにキスをしてさあこれから!のところで幹子さんから電話が入ります。
いい雰囲気だったのに膝から崩れ落ちるハルが不憫ですがこればかりは仕方がありません。
やり手な朝倉嬢の新事実とは!?
幹子さんの調査のおかげで朝倉嬢について驚愕の事実が発覚しました。男なんて人類の敵という考え方の優秀な女性弁護士をつけて早々に動き出した朝倉嬢。さすがに一般的にはそんなふうに素早く動ける人は少ないはずです。
不審に思って朝倉嬢のお金の出所を調べた幹子さんは、会社勤めだったはずの朝倉嬢が実は借金をしてホスト通いをした挙句、職場のお金に手を付けてクビになっていたことを突きとめました。
朝倉嬢が入れ込んだホストというのはもちろんハルのことです。現在朝倉嬢は六本木のホステス勤めで、さらに既婚者5人の愛人をやっているとか。
朝倉嬢は頭が良くて執念深いタイプです。狙った獲物は逃さず、今の愛人5人も遊び慣れている大企業の重役とかではなく、見栄っ張りの中小企業の社長とか初々しい老舗旅館の若旦那とか手堅いところを選んでいました。
今回のことで朝倉嬢のスポンサーになっているのがこの5人。朝倉嬢は「昔の彼に付きまとわれて恐怖のあまり…」などと同情をひくような説明をして言葉巧みに彼らを騙していたのでした。
怪我をしたのはハルの方なのに、朝倉嬢はずる賢く立ち回り被害者という立場を崩しません。雨の夜の件は目撃者がハルと零しかいないし朝倉嬢本人が認めないから警察もどうしようもありません。
おおお恐ろしい!女の執念というかここまでくると病的すぎてゾッとしますね。六本木でホステスをやって5人のお金持ちの愛人になれるコミュ力があるなら、もっと別の事にその能力を生かしていただきたいです。
怒らせてはいけない人を怒らせた!
さらに朝倉嬢は追い打ちをかけるように弁護士を通じて再度「ハルの訴えを取り消せ」と通達してきました。
「ハルに脅迫めいた呼び出しをされて追いつめられた挙句、仕方なくやった自己防衛を非難され深く傷ついている」という朝倉嬢。
実ってこんなに捻じ曲げられるんだ…すごすぎて絶句してしまいます。
淡々と告げる朝倉嬢サイドの女弁護士は、ハルがホストであることにもかなりの偏見を持っていました。朝倉嬢はこの弁護士の前ではかなりしおらしく振る舞い、あくまでもか弱き被害者を見事に演じています。
「私のことを傷つけておいて警察に突き出すなんて、彼のせいで私の人生メチャクチャです。他にもこんな可哀そうな女性がたくさんいると思うと…」
おーい、どの口が言うかな。こういう人は本当にそう思い込んでいるかもしれないから余計にたちが悪くて怖いですね。
朝倉嬢側の女弁護士はもちろん朝倉嬢の味方です。ハルのことを非難するだけでなく幹子さんにもネチネチと絡んでくるなど、かなりやっかいでめんどくさいタイプでした。
ところがこれが幹子さんに火をつけたようです。怒らせてはいけない人を怒らせてしまったー!
幹子さんは友人である春子さんに頼まれて、これまで何かとハルたち兄弟の世話を焼いてきました。ハルのホストクラブにも知人を紹介したりと影ながら応援してきた幹子さん。
ホスト時代、幹子さんの知り合いの人脈を利用すればもっと稼げたはずなのに、口が堅くて生真面目なハルは絶対にそういうことはしませんでした。
だから幹子さんも信用してホストクラブを紹介していたし、紹介された人たちもハルを気に入って楽しく健全にホストクラブで遊んでいたのです。
すべてはハルと幹子さんの信頼関係があってのこと。幹子さんはホストであるハルのことを認めていたし、常にフラットで職業だけで人を判断するようなことはありません。
ずっと見守ってきた生真面目なハルを侮辱され、幹子さん自身のことも「若いホストに入れあげた老害弁護士」という扱いをした朝倉嬢側の女弁護士に、ついに幹子さんのスイッチが入ってしまいました。
幹子さんは、朝倉嬢のスポンサーになっている愛人5人の企業の資金を裏から手を回して全部止めるという必殺技を繰り出します。もちろん事前に税務署と銀行にも根回し済みです。
警察にも話を通し、今は街中の至る所にある防犯カメラの洗い出しをしているとか。さすが幹子さん。伊達にあの春子さんの親友を長年やっていませんね。一番怒らせてはいけない人だったのかも。
春子さんにきちんと愛されていた17歳のハル
ハルは、また一緒に眠るようになり横で爆睡している零を横目に、やったのかやってないのか悶々と悩んだまま眠れぬ夜を過ごしていました。
こんなに零が無防備だということはまだ未遂なのか。それとも1回やっちゃったからこそのノーガードなのか。
ひとりでムラムラするハルは内心では「覚えてないから俺的には0カウント」のようですが、もうあの夜のことを蒸し返したくないので聞くに聞けない状態です。零に泣かれて「大嫌い」と言われたことがトラウマになっているのでした。
いっぽう朝倉嬢の件では幹子さんの暗躍のおかげで、防犯カメラの映像とハルの証言が一致したことが決め手となり朝倉嬢サイドの言い分は通らないことが発覚します。
一応朝倉嬢サイドの負けということでこの一件は落ち着いたようですが、もうこれで反省して朝倉嬢は今後ハルたちには近づかなくなるのでしょうか。今までが今までだっただけに心配です。
朝倉嬢のその後がいまひとつ分からないので何ともモヤッとしますが、正直かなり引っ掻き回したからもう出てこなくていいかな。
記憶を取り戻し零ともラブラブに戻ったハルは、春子さんの書いた小説を零に紹介されます。小説の内容は春子さんとハルのお話でした。
若き天才学者(春子さん)のもとに突然やってきた弟(ハル)と仲良くなっていくというお話です。小説のベースにある気持ちは春子さんの気持ちそのものだったのです。
17歳の頃は自分が大事な人間から愛されているなんて思ってもいなかった孤独だったハル。しかし本当は春子さんは一生懸命ハルを愛していたし、離れるときは内心泣きながらハルの手を離したのでした。
そんな春子さんだからこそ、ハルも零も春子さんのことを語るときにちょっと自慢げになるのでしょう。春子さんの2人の息子は立派にすくすくと育ちました。
よかった!俺、セーフ!
その夜ベッドで零に覆いかぶさると、あの嵐の夜のことを零に思いきって尋ねるハル。「俺たちヤッちゃった?」「なにを?」「え?ほらラストまで」「ラスト?」と嚙みあわない零との会話に痺れを切らしてハルは叫びました。
俺の×××をお前の×××に突っ込んだか?って話だよ!!
零にはこれくらい直球じゃないと伝わりませんwでも肝心のところで零は「黙秘します」と布団をかぶってしまいました。
「いつもこの子供に振り回される…」カチンときたハルは「上の口がダメなら下の口に聞こうかな?」とおやじ丸出しの下品な発言で零の身体を舐めはじめました。
身体の柔らかい零の足を担ぎ上げると零は慌てて拒否!その反応に「あの夜は後ろから?俺顔を見てする方が好きなんだけど」とハルらしい返事でのらりくらりと続行します。
「中身17歳の俺はお前に何したの?」
いじわるなハルに零は思わずボロボロと泣き出してしまいました。それを見て、ようやくヤッてなかったということに気づいたハル。
よかった!俺セーフ!
絶叫するハルを零が思いきり殴り飛ばしたところで33話はおしまいでした。
スーパーラバーズ33話 感想まとめ
記憶が戻ってホッとしたのも束の間、ようやく朝倉嬢も警察のお世話になる…かと思いきや次々と唖然とするような新事実が判明していろいろとびっくりです。
厳しい六本木でホステスを勤め、5人の愛人もこなせる器用さやコミュニケーション能力を兼ね備えながらどうしてそれをもっと堅実な方向で発揮できないのか。まあそれができたら最初から会社のお金に手を付けたりはしないか。
それもこれもハルへの執念がそうさせると考えるなら心底恐いし病的なので、本人のためにも周りのためにも早めに治療を受けてもらったほうがいいでしょう。こじらせすぎて歪んだ愛にはもはや言葉も出てきません。
でもこちらには幹子さんというラスボス、じゃなくて最強の参謀がいました。幹子さん強い。かっこいい。あっぱれ。
朝倉嬢サイドの女弁護士も、偶然警察署内で見かけたハルがイケメンで見とれて(?)いたし、なんだかんだできっと悪い人じゃなさそうです。
ハルの外見に「私だって美しいものは大好きです」とか、ぼそっとつぶやいてみたりしていてかわいいし微笑ましかったです。
ちょっと職業や男性そのものに偏見をお持ちのようですが、弁護士は自分の依頼人の弁護をするのが仕事なので彼女は彼女の仕事をしただけ。
この女弁護士さんも、私生活では意外と二次元イケメンに夢中になっていたりするのかもしれません。勝手な妄想ですがそう考えると何だか楽しくなってきました。イケメンを筆頭に美しいものは皆大好きです。
今回ももちろんハルと零のエッチはなし。でもいちゃいちゃしてくれたしハルの記憶が無事に戻ったし、とりあえずは朝倉嬢のことが一件落着しただけでも十分です。
春子さんがどれだけハルを大事に思っていたのかも小説からよく分かったし、いろんなことが盛り込まれたボリュームたっぷりな33話でした。2コマだけですがカフェを手伝いに来ていた夏生がちらりと出てきたのも嬉しかったです。
34話からは新展開になるかな。次回は12月下旬発売のエメラルド冬の号です。スーパーラバーズの2人が表紙を飾ります。
それではまた「SUPER LOVERS」34話の感想でお会いしましょう。
追記)34話の感想を書きました。
SUPER LOVERS(スーパーラヴァーズ)34話 ネタバレ感想
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