市川けい先生の10冊目の単行本「ブルースカイコンプレックス」3巻の感想です。

市川先生の代表作といっても過言ではないブルースカイコンプレックスが3巻で無事に完結しました。お付き合いをはじめてからの2人がすれ違ったりまた近づいたりして悩みながら高校を卒業して大人になっていきます。

想い合う2人が自分の家庭や進路に向き合い未来に向けて動き出すとい希望に満ち溢れたラストです。1巻が出たときから神作品だと思っていましたが3巻では楢崎と寺島の成長を感じられて感無量です。

それでは以下ブルースカイコンプレックス3巻のネタバレ感想です。

ブルースカイコンプレックス 電子書籍



ブルースカイコンプレックス 感想 ネタバレあり


高3になってふりかかる進路問題


お付き合いは順調に続き、楢崎の自宅ではいつも激カワな弟たちに懐かれる寺島。ちびっ子も寺島もかわいいです。

甘々に爽やかに恋人関係を育む2人でしたが、楢崎には最近悩みがありました。それは高校3年生の宿命・進路問題。

もともと優等生で頭の良い楢崎は兄と同じくK大を受験しようとしていました。しかし家を出るとなるとまだ幼い弟2人と母親が3人だけの暮らしになってしまいます。

楢崎のお父さんはアメリカに単身赴任中のため、楢崎としてはなるべく弟の世話を手伝いたいし母親1人では大変だろうと家を出ることには二の足を踏んでいました。

するとお兄さんが彼女と結婚して家に戻ってくることが急きょ決まります。これで安心して家を出られる。楢崎はとうとうずっと考えていたことを寺島に告げました。

もしよかったら一緒に暮らそう。

寺島は母親にカミングアウト済みだった


なによりも寺島の進路が気になっている楢崎。家を出たら一緒に暮らしたい。もっとずっと一緒にいたい。エロいこともいっぱいしたい。

悶々とする楢崎の想いを知ってか知らずか、ある日寺島は楢崎を自宅に呼び自分の母親と会わせます。開口一番「彼氏?」と聞いてくる寺崎のお母さん。

実は寺島は自分の性癖を中学の頃から包み隠さず話していて、母親はそれを普通に受け入れてくれていたのでした。肝が据わったお母さんを「ババア」と呼びながらも、心の底から大切にしている寺島。

父親は寺島が小さい頃に事故で亡くなり、それ以来お母さんはひとりで寺島を育ててくれていたのです。せめて自分が稼げるようになるまでは母親のそばにいてやりたいと考えている寺島は、家を出ることはできないと楢崎に告げました。

口は悪いけれど伝わってくる寺島の母親への想い。楢崎ほどではありませんが寺島はそこそこの大学も狙えるほどに最近は成績も上がってきていました。

もっと俺に困ればいい


夏休みに合宿で自動車免許を取りに行く寺島。離れ離れの時間を過ごしていると、楢崎は自分ばかりが会いたいと思っているのではないかと日に日に想いを募らせていきます。

ようやく会えたと思ったら4回もエッチするとかがっつく楢崎に寺島は呆れ気味なのでした。寸止めされたりおあずけをされたりじらされたり、寺島の天然にふりまわされっぱなしの楢崎。

もっと俺に困りゃいい。この鉄仮面め。

いらずらっぽく笑う寺島に翻弄される楢崎の鉄仮面の下には、実は燃えるような情熱が隠されていたのでした。

会えない距離ではありませんが、楢崎が家を出たら今のように頻繁には会えなくなってしまいます。焦る気持ちは大きくなっていき、何か奇跡が起きて一緒に暮らせるようにならないかな?などとらしくないことを考えてしまったり。。。

すると本当に起きてしまった奇跡!なんと寺島のお母さんに今お付き合いしている男性がいることが発覚します。しかも寺島が家を出て行かないことに驚いている様子のお母さん。

寺島のお母さんは、寂しいからといって息子を家に縛り付けようなどとはまったく考えていない人でした。むしろ新たなパートナーを見つけて自分の人生を歩み始めようとしています。

これで心置きなく家を出ることができるようになった寺島は楢崎を呼び出し、まるでプロポーズの返事をするみたいに同棲生活をOKしたのでした。

同じ制服を着て同じ学校に通うのは最後だから


そして迎えた卒業式。2人とも志望大学に合格して同棲する住まいも決まります。同じ制服を着て同じ学校に通うのはもうこの日が最後。

図書室はもうすぐ閉鎖されることになり、2人は別々に図書室へと足を向けます。思えば出会いは偶然でした。優等生とヤンキー。まったく違うタイプの2人の人生が交差することになったのはこの図書室で出会ったあの時から。

人の来ない図書室にほど近いトイレで身体を重ねる楢崎と寺島。楢崎が絶対卒業式にしてやろうとゴムもローションも持参していたのがなんとも必死で用意周到でかわいかったです。

感想まとめ


DK同士の優等生とヤンキーという安定の組み合わせに市川スパイスが加わって、全編を通して爽やかで甘く清々しい10代らしいお話でした。

寺島の誕生日に異様にこだわったりピアスに嫉妬したり、ローテンションで淡々としているのに熱いものを隠し持っている楢崎がぐるぐるするシーンが多かったですね。それだけ真剣に寺島とのことを考えているということなのでしょう。

そんな優等生の楢崎をふりまわす…と見せかけて、食堂でしれっとあーんしてくる楢崎に動揺したりじらされてイラついたりと結局は振り回されがちな寺島。

お互いが大切で意識しまくっている2人がかわいくて甘酸っぱくて胸がギューっとなりました。高校生活の終わり頃の切なさと進路問題とがリンクして、ずっと見守ってきた2人とこれでお別れかと思うと、寂しさと清々しさで胸がいっぱいです。

描き下ろしに我々のお仲間の女の子がいたのにはニヤニヤしてしまいました。楢崎と寺島が一緒にいる姿を見るとなぜかドキドキするという美里ちゃん。腐女子の扉を開きつつあることに今はまだ無自覚な未来のお仲間の将来もとても楽しみです。

大学生編をまたどこかでちらりと見てみたいような、もうこの2人はこのままそっとしておいてあげたいような不思議な気持ちです。

追記)コメントで教えていただきましたが大学生編が連載されるそうです。同棲生活も楽しそうだし甘~い2人をたくさん見たいな。大学でお互いに交友関係も広がっているでしょうしどういう展開になるのか楽しみです。教えてくださった方ありがとうございました。


DKを描かせたらお上手な市川けい先生の紛れもなく代表作になりました。BL初心者の人にも長年BLを愛でてきたお姉さまにもおすすめできる超良作です。

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