町屋はとこ先生の3年ぶりのBLコミックスは、高校生×花屋のお兄さんで10歳差の年の差ラブストーリーです。大洋図書からは初の単行本ですね。
最初にちょっかいを出してきたのは一見チャラそうな花屋さん(実はピュアで赤面顔がかわいい)。年上のお兄さんの手のひらの上で転がされるかと思いきや、本気になったらまっすぐにぶつかってモノにする年下攻めの高校生にキュンとしました。
言い訳もできなくなるくらい好きになって、好きな人の前でむき出しの自分を見せて気持ちをぶつけあう勇気やパワーが満ちてくるのは恋のひとつの醍醐味です。
それでは以下町屋はとこ先生の「ちょっと待ってよ、花屋さん」の感想です。
ちょっと待ってよ、花屋さん 電子書籍
ちょっと待ってよ、花屋さん 感想 ネタバレあり
先に好きになったのは花屋のお兄さんでした
何不自由なく高校生活を楽しんできた翔(攻)は、ある日突然親の勤め先が倒産して進路変更を余儀なくされてしまいます。
金銭的に大学には行けないため急きょ就職活動をしますがうまくいかない日々。来る日も来る日も不採用が続き、ポジティブだった翔は落ち込み気味で元気がありませんでした。
通学路にあるお花屋さんのお兄さん半田(受)は、そんな翔を元気なころからずっと見ていてひょんなことから家に上げることになります。
ただの親切なお兄さんではなく下心ありで近づいてきた半田に、ノンケ高校生の翔はタジタジ。お世話になったけれどそれとこれは別だと逃げ回ります。
風邪をひいた時に看病をしたことで半田をかわいいと思うようになった翔は、意識し始めると途端に花屋を手伝ったりと半田に対して積極的に絡んでいこうとします。
自覚したらまっすぐな翔vs逃げ腰の半田
ところが翔がもっと知りたいと近づこうとすると、今度は半田のほうが逃げ腰になってしまいました。いざとなると現実的なことを考えてしまう大人の半田。いっぽう好きだという自分の気持ちにはストレートな翔。
元カレとのキスシーンを翔に見られてしまい、半田はついにまっすぐにぶつかってくる翔と正面から対話します。一生懸命な翔に半田もつい自分の気持ちを認めてキスをしますが、最初はキスとお触り止まり。「うしろは好きじゃないから」と嘘をついた半田は身体の関係になるのはやんわりと避けました。
時は流れ高校生だった翔が奨学金を使って大学生になり、両親が田舎に引っ越すため半田の家で同棲生活を送ることになった2人。
イチャイチャするもののエッチはしないままうやむやに時間が過ぎていきます。半田は初恋が親友で、その親友が「男同士なんてキモい。そういう目で見られているだけでアウト」と話しているのを耳にして打ちのめされて以来、自分を守ることに必死になっていました。
もう少し素直になりたいと思っていてもすぐにはそうふるまうことは難しい。翔のことは好きだけれど自分が関わらなければ翔は今頃普通に女性の恋人といたのだろうと思うと、今一つ翔に踏み込めません。
募っていく想いは、ある日あふれ出してしまいます。友達と出かけようとする翔に「行かないで」と口を開いた半田。大人のふりで自分の気持ちをごまかせなくなり思いきって翔に本音をぶつけました。
翔のほうは半田が嫌がることはしたくないと遠慮していましたが、半田からのお誘いがあるなら願ったりかなったり。口でゴムをつける半田がエロくて色気ダダ漏れでした。
感想まとめ
意地を張ってひとりで仕事をがんばろうとする半田に「こういう時に助けてって言える関係のほうがいいよ」と言える翔は随分と大人になったなと感動しました。
恋人同士といっても他人同士、お互いに過度な迷惑をかけないようにするのは大事なことです。しかし困ったときには助けあって支え合える関係のほうが人間らしくてその絆は深まります。
高校生の頃は素直なガキという印象の翔でしたが、10歳も年上の半田との付き合いによって人として磨かれていった部分も大きいんじゃないかな。ビジュアルも大学生になって短髪にしてからぐっと大人びて見えるようになりました。
半田は自分の母親とも今はもう疎遠になっていて、過去のトラウマから傷付きたくなくて誰かに甘えたりすることもなく、たったひとりで経営者として花屋を切り盛りして暮らしてきたのでしょう。
翔と付き合い始めてからようやく素直になるという武器を手に入れた半田は、これからは大人の本気を主にエロい方面で発揮していって、翔とより良い関係を築いていくのではないでしょうか。
大人になると素直になること自体が難しくなっていきますが、人を好きになるって尊いことなんだなと思いました。半田さんにそんな相手が見つかって良かったです。
ところどころキャラ絵が安定しないコマがありましたが、今までと少し絵柄が変わったので試行錯誤されているところなのかもしれません。正面の決め顔はかっこよくて惚れ惚れします。
町屋はとこ先生は裸体が筋肉質な絵柄なので絡みのシーンは迫力がありました。濡れ場はちゃんと男同士でエロティックに絡み合ってくれなきゃ萎えるわ!女々しい身体つきの男は嫌なの!というお姉さまにも満足いただけるワガママボディです。
エロいシーンの修正もスポーンと白抜きです!みたいな修正ではなく、白い鉛筆でシャシャッと塗ったような修正でした。雰囲気を損ねないので私はこの修正がけっこう好きです。スポッと白ッみたいな修正は哀しくなってしまいます。。。
帯に「セクハラ花屋」とありますが半田がセクハラするのは最初だけで、あとは翔が押せ押せで一生懸命頑張るので年下攻めが好きな人にもおすすめです。