「もっと結んで、ひらいてはやく」の感想です。

なりた晴ノ先生の2冊目のコミックスです。デビュー作「雑踏に遊ぶ魚」が好みだったので楽しみにしていました。ゲイの後輩プログラマー×縛られて興奮するドMの先輩というリーマンBLです。

縛る描写がけっこう本格的にありプロの緊縛師によるレクチャーもあったので、エロティックで未知なる世界に足を踏み入れたドキドキ感がありました。SMプレイにもいろいろとあるんですね。

ノンケ受けの先輩のほうが色っぽく終始余裕があって、振り回され系の純情な後輩が不憫なところに思わずニヤリ。ハードSMはちょっと腰が引けるなという人にも優しいソフトな緊縛SM入門BLです。

それでは以下なりた晴ノ先生の「もっと結んで、ひらいてはやく」ネタバレ感想です。

もっと結んで、ひらいてはやく 電子書籍



もっと結んで、ひらいてはやく 感想 ネタバレあり


ゲイ後輩にちょっかいを出すノンケ先輩


プログラマーでゲイの後輩・千葉(攻)に何かとちょっかいを出してはからかっていたノンケ先輩の利人(受)

利人は仕事もデキてモテる営業で女の子も大好き。しかしドMという性癖がバレるたび彼女にドン引きされてフラれるという悪循環から抜け出せずにいました。

縛られて興奮するタイプだとカミングアウトした相手は会社の後輩の千葉。ゲイである千葉が自分に好意を持っていることも知っている利人は千葉の気持ちをくすぐるように誘惑します。

ある日家飲みをしていると千葉に縄を渡して縛るように頼む利人。

「好きな相手の痴態が見られるならwin-winだろ」

雰囲気に流された千葉は戸惑いながら渋々引き受けることになります。縛り方をスマホで調べて困惑しつつも、好きだからゆえに利人に逆らえない千葉が不憫かわいいです。

利人としては縛られて満足を得たいだけで決して千葉とどうこうなりたいとは思っていません。しかし千葉としては好きな人のエロティックな姿を目の前にして気が気ではありませんでした。

隙を見て襲いかかろうとしてもあっさりと利人にかわされたりして悶々とする日々を過ごす千葉。利人のズルさは利人も自覚しているようで、そのあたりの駆け引きも楽しかったです。

利人に仕事で助けてもらって好きになった千葉


1度千葉に縛られる快感を覚えた利人は、それ以来頻繁に千葉の家を訪ねるようになりました。そんな利人をつっぱねることができない千葉に、利人は相変わらずズルい小悪魔な笑顔を向けます。

千葉が利人を好きになったのは、新人時代にクレームの電話で困っているところを助けてもらったことがきっかけでした。営業職で口達者な利人は初々しい千葉がかわいく思えたのでしょう。

ゲイであることにも偏見のない利人に好意を持つようになった千葉は、どんどん利人に惹かれていきます。しかし利人がノンケの女好きであることも知っているため本気で口説こうとはしませんでした。

会社の屋上で休憩中の利人に「だから俺にしておけばいいのに」とか軽口を叩いているくらいだから、千葉の方も今の利人との距離感を楽しんでいたんですね。

利人は千葉に縛られるようになってから、千葉の隠されたSな一面にいっそう興奮を覚えるようになります。なんとか千葉を怒らせてSとしてスイッチの入った状態で縛ってほしい。そのために女の子との合コンを開いて千葉に嫉妬させようと画策する利人。

結局千葉にその考えは見破られますが、今度は千葉のお仕置きプレイに目覚めるという好循環(?)により、利人はいっそうSMプレイにのめりこんでいくのでした。

千葉じゃないと酔えない利人


ある日利人は仕事上の接待でSMクラブに行くことになり、プロの緊縛師・鬼山にスカウトされます。しかしプロに縛られてもいまひとつピンとこない利人は、縛られる相手が千葉じゃないと自分が変態になれないことに気づきました。

千葉に縛られて、千葉に見つめられないと全然気持ちよくなれない。千葉の目や執着が自分を酔わせてくれる。。。他の人に縛られてみて初めて気づいた自分の気持ち。千葉の元に走った利人は自分の素直な気持ちをぶつけます。

ゲイの千葉にとっては前から好きだったノンケの先輩が自分に堕ちてきてくれて感無量でしょう。

興味がない人にとってSMプレイはハードルが高かったでしょうが、恋愛において相手の求めることをとりあえずやってあげるという前向きな姿勢が功を奏した良いケースとなりました。

感想まとめ


元々性格が優しい千葉は好きな人が痛そうなことをするのはあまり好ましいと思っていないようですが、恋人が求めていることならと相手の様子を見ながらこれからもいろいろとチャレンジしてくれそうです。

千葉は良いSに成長していきそうな予感がしますね。変態ドMの利人が普段は余裕があって千葉をふりまわしているのもなかなか良かったです。エッチの時とのギャップがエロさを引き立てていました。

描き下ろしでの千葉と利人にもニヤニヤしてしまいました。ネクタイのプレゼントは首輪の代わりの独占欲。利人には千葉の考えがバレバレというのも年上としての余裕を感じます。

気になる修正は白い色鉛筆でブツにシャッシャッと軽く斜線を引くような感じの修正です。ただ、あまり修正の必要がないようにうまく隠されていたので修正自体があまり目立ちませんでした。

縛るシーンは当然ですが修正もなく、縄の作画が大変だったのではないでしょうか。なりた晴ノ先生お疲れ様でした。

もうひとつ収録されていた短編は幼馴染のかわいいお話でした。これは夢!と呪文のように言い聞かせる2人が楽しかったです。

ところでどちらも一瞬キャラを見ると黒髪が攻めかもと思わせる作風なのですが、なりた先生は黒髪受けが好きなんですね。次回はとうとう逆になるのかあるいは次回も黒髪受けなのか。3冊目のコミックスも楽しみにしています。

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