テンカウント最終回のネタバレ感想です。雑誌の最新話でコミックス6巻の感想になるのでネタバレにお気をつけください。

黒瀬くんにお口でご奉仕して、自分も好きな人に欲情するのだと伝えた城谷さん。黒瀬くんは、満たされたような切なげな表情でいつになく積極的な城谷さんを見つめます。愛し合う2人はベッドで激しく抱き合いました。

もう一度好きだと言ってほしいという黒瀬くんのお願いに答える城谷さん。「黒瀬くんが大好きです」それは黒瀬くんがずっとずっと待ち望んでいた言葉でした。前回47話の感想はこちら。

テンカウント47話 ネタバレ感想

ついに最終回ですね…としんみりしていたら皆さんっ最終回にしてまた新たな嬉しい爆弾が落とされましたよ。大変だあああ!

それでは以下、宝井理人先生の「テンカウント」最終回(48話)のネタバレ感想です。

テンカウント6巻 電子書籍


テンカウント(6)

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テンカウント最終回48話 感想 ネタバレあり


黒瀬くんは大学院の博士課程へ


食器、携帯、乗り物、手すり、自分が吐く息ですらこの世にあるものは全て汚いと思っていたかつての城谷さん。しかし最近は電車に乗ることができるようになり、手袋ごしになら吊り革を掴めるようになっていました。

お気づきになった人もいるでしょうが1巻1話の始まり方と一緒です。もうそこにじわっと感動しています。。。

呼吸も楽にできるようになり、生きることそのものが少しずつ楽になっている城谷さん。何かに怯えるように息を殺して暮らさなくても良いという日常生活。それは本来の城谷さんらしさを取り戻す時間になっていきました。

いっぽう黒瀬くんは、宣言通りに職場の医院を辞めてしまいました。人の良さそうな院長先生が盛大な送別会を開いてくれたようで、黒瀬くんも無表情ながら嬉しそうです。

城谷さんも鉄仮面の黒瀬くんの表情だけでなく、声のトーンや大きさや響きから彼の感情を読みとるのに慣れてきたんですね。恋人というか夫婦っぽくてニヤニヤしてしまいます。

黒瀬くんは退職後、さらに臨床心理を専門的に学ぼうと大学院の博士課程に進学しました。今は大学の講師や研究室でアルバイトをしながら大学院で研究に勤しんでいます。

黒瀬くんの選択は、今後カウンセラー業からきっぱりと離れるというものではなく、さらに深く勉強しようという前向きな退職だったのです。せっかく専門的に学んで資質も十分だったのに辞めちゃうの!?と最初はびっくりしましたが、こういうことならすごく納得できます。

「どうしてそうしようと決めたんですか?」

黒瀬くん自身は「改めて聞かれると分からない」とはぐらかしますが、城谷さんと関わってさらに知りたいことが増え、もっと多くの人の力になりたいと考えるようになったのでしょう。

城谷さんに会ってしまったからですかね。

殺し文句のようにさらりと言われて城谷さんはガチ照れ状態です。「“会ってしまった”って何かよくないことみたいですね」照れ隠しでつぶやく城谷さんが実は首まで赤くなっていてかわいいです。

黒瀬くんは城谷さんの友達でもカウンセラーでもありません。これからは恋人として、お互いの生き方や選択を尊重して共に生きていくのです。

オフィスラブのフラグ!?


チラ見せにあるようにある日のデートで駅前で待ち合わせをする2人。城谷さんを待つ間、黒瀬くんがスマホで見ていたのは臨床心理士の求人募集要項でした。

あれっ?何気なく見過ごしそうになりましたが求人を募集している「株式会社東澤」って城谷さんの勤める会社ですよね。今は大学院に通いながら働く人もたくさんいるでしょうから、もしかしてこれはフラグ!?オフィスラブのフラグなの??教えて黒瀬くん!

結局黒瀬くんは城谷さんの会社に応募するかどうかも謎なまま、待ち合わせ場所にやってきた城谷さんにもうやむやにごまかしてしまいました。

本屋さんに行ったのは城谷さんに読みたい本があったからでした。昔は誰が触ったか分からない本を持つのも一苦労で、主に電子書籍でしか読書を楽しめなかった城谷さんですが、今はこうやって普通に本屋さんの本をゲットして読めるようになっています。

「電子化するまで待たなくていいっていいですね」城谷さんはほくほくと笑顔で嬉しそうです。確かに電子になるのがすごく遅い本もあるため電子待ちするのがつらい気持ちはよ~く分かります。

黒瀬くんのほうは、ふと棚に並んでいた西垣さんの新刊を手に取りました。無言でぱらぱらとめくる黒瀬くんに無邪気に問いかける城谷さん。

「好きなんですか?」

「いえ、あ、はい」

黒瀬くん、表情は崩さないものの内心ちょっと焦ったんじゃないでしょうか。別に隠すようなことでもありませんが、あえて言うことでもありません。過去の事はもう城谷さんに話してあるし、その人が作家になったことは、とりたてて今言う必要のないことです。

城谷さんはまさか黒瀬くんが手にしている本が、彼の初恋の人が描いたものだなんて思っていもいないでしょう。純粋に西垣さんの著書が気になって「読んでみようかな」と手に取りました。

「読んだら詳しく感想を教えてください」

いつになく熱心な黒瀬くんに少しぽかんとする城谷さん。並んで本を選ぶ姿はごく普通のカップルそのものです。

こんなふうに他愛もないことをあれこれと話しながら一緒に本を選ぶとか、普通の恋人同士のやることが普通にできるって素敵ですね。

ここまでの2人の激流のような怒涛の恋の成立過程を見てきた者としては、それだけで心が温まります。

テンカウントで始まりテンカウントで終わる


カフェでコーヒーを飲んで温まる城谷さん。少し前までは注文しても口を付けられずにいた人が、満面の笑みで「あったまる…」とか言ってる姿にほっこりです。

黒瀬くんも同じように思ったのか、思わずくすくすと吹き出してしまいました。城谷さんがいぶかしがって若干ムッとしているのがかわいいです。相変わらずかわいすぎる31歳です。黒瀬くんが急にキリッと表情を律するのも笑ってしまいました。いちゃつくバカップルっぽいです(笑)

手帳に書いた10項目をクリアしたことでなんとなく残念そうな城谷さん。さすがの洞察力で、黒瀬くんも城谷さんの様子を気にかけていました。

「普通の人ができて当たり前のことだから、ようやくスタートラインに立ったくらいですかね」と城谷さん。

「10項目がクリアできた頃には必ず完治する」とは黒瀬くんが昔城谷さんに言った言葉です。しかしその言葉は本当のことではありませんでした。

不潔恐怖症は症状が良くなることはあっても完治することはあまりないのです。目を伏せて告げる黒瀬くんに、城谷さんも知っていましたと正直に告白しました。

今は何でもネットで調べればある程度のことはすぐに分かることです。嘘をついていた黒瀬くんに「俺もいろいろ嘘をついていたからおあいこですね」と城谷さんは穏やかに笑いました。自分の症状も受け入れている様子の城谷さんに、黒瀬くんも優しく微笑みます。

「城谷さんの嘘って、俺のことを好きなのに散々嫌いって焦らしたことですか?」

急にいたずらっ子のようにぶっこんできた黒瀬くん。嫌いとは言ってないと、オタオタ慌てる城谷さんがもう黒瀬くんの術中にはまりこんでいるようでお気の毒としか。

気持ち悪いって言われて傷ついたな。

棒読みの黒瀬くんはわざとらしくため息をつくという小芝居まで(笑)確かに黒瀬くん、城谷さんに「気持ち悪い」って吐き捨てるように言われていましたね。今となっては懐かしい出来事です。

こんな風に恋人とふざけあえるような関係になれるなんて、ピリピリぎくしゃくしていた頃からは想像もできないことでした。あの頃の城谷さんは今の姿が嘘みたいに氷の女王として君臨していましたから。

「せっかくスタートラインに立てたから普通の人がしないことをしましょうか」

立ち直った(?)黒瀬くんは、傷つけられたお返しとばかりにSな目つきで城谷さんを見つめます。そのままノートの空白を指して悪魔のように囁きました。

「城谷さんが俺にしてほしいことを書いてください。本当にしてほしいと思うことを偽りなく」

いじわるに迫る黒瀬くんはとっても楽しそうです。関係ないけど黒瀬くんのVネックは最強です。

城谷さんが望まない限り俺からは何もしない、などとうそぶいて挑発する黒瀬くん。楽しそうで何よりです。城谷さんもSスイッチが入った黒瀬くんになすすべもなくタジタジするしかありません。

引き気味の城谷さんに、黒瀬くんはその長い脚を使ってテーブルの下でさらにいたずらをしかけました。さっと城谷さんの足を開くとか本当に悪い脚ですね。いいぞもっとやれ。

思わず変な声が出た城谷さんは小声で抗議しますが、黒瀬くんは華麗にスルーしました。

「懇願してくれたら何でも好きなようにしてあげます。城谷さんが今絶対ここには書けないって思ってることも」

ペンを渡して促す黒瀬くんの嬉し楽しそうな表情。城谷さんはエロいことだと分かっているくせに「命に関わるようなお願いされたらどうするんですか?」とはぐらかそうとしますが、あっさりと黒瀬くんの目に制されてしまいました。

かつて「好きだと言ってくれたら城谷さんがもっと泣くようなことをします」と宣言していた黒瀬くん。しかし今度は「城谷さんがねだらない限り何も与えない」という意思表示をしました。

震える手でペンを持つ城谷さんに、黒瀬くんは静かに告げます。

「ゆっくりでいいのでここに記入してください」

テンカウント最終回 感想まとめ


最終話は1巻1話と同じ流れとテイストで、テンカウントに始まってテンカウントに終わるという見事なラストでした。あの時2人が始まったように、ここからまたひとつひとつ新たな絆を結んでいくんですね。

続編がいくらでも作れそうな、逆にもうこれでお話が完全に閉じたような、どちらともとれる余韻の残る美しい終わり方に大満足です。冒頭でもしかしてこれは1話と同じ流れ?と気づいたときはちょっと鳥肌が立ってしまいました。なんだかもう清々しくて胸がいっぱいです。

この後城谷さんはここには書けないどんなことを望むのでしょう。さらにはオフィスラブが始まりそうな予感もありました。黒瀬くんが城谷さんの入社することになったらそれこそまた新たなストーリーが始まっちゃいそう。会社のシーンが増えると三上くんもたくさん出てきてくれて一石二鳥のウェルカムです。

最終回を読み終えたらもっと寂しくなるかと思ったのですが、落とされた爆弾が素敵すぎて今なんだかふわふわしています。黒瀬くんと城谷さんのオフィスラブだなんて、いくらでも妄想の余地があって楽しすぎませんか。

思えばこれまでテンカウントには地球を2周半くらいゴロンゴロンさせられました。

城谷さんの過去のトラウマ。父親への葛藤と和解。植田嬢との再会と決別。そして黒瀬くんの過去、西垣さんとの再会。

散らばった伏線が回収されていきラストに向かっているのが分かるにつれ、寂しいような切ないような、でももうそろそろ黒瀬くんと城谷さんを休ませてあげたいような複雑な心境で見ていました。

大人の事情もあったのでしょうが雑誌では半年以上テンカウントのページ数がかなり少なくて、宝井先生もお忙しいんだろうなとちょっと心配していました。エロくていいところで終わっちゃうことも多くて、こちらのテンションは上がりっぱなしでしたが(笑)

全6巻を通して、城谷さんが黒瀬くんにありのままを受け入れてもらったことで自分自身を解放できるようになっていった経過を見ていると、人はいくつになっても変われるんだなとしみじみ感じました。

自分を汚いものだと思って好きになれず外部との接触を避け続けていた城谷さんが、誰かに愛され愛する経験を重ねるうちにありのままの自分自身を好きになれた姿には、今何らかの事情があって自分を好きになれずに悩んでいる大勢の人への救いや励ましにもなったのではないでしょうか。

城谷さんの再生物語としてテンカウントは終わるのかなと思っていたら、後半になるにつれ、黒瀬くんのほうもそうすることで囚われていた過去の自分から救われ今を生きられるようになったのだと分かります。

偶然出会って関わり合うことでぶつかったり離れたり、また寄り添ったり。救い救われ、お互いにたったひとりを見つけた黒瀬くんと城谷さん。

2人の内面がつまびらかになるにつれ、この人たちは出会うべくして出会ったのではないかと思うようになりました。

地球上でそんな相手と巡り合える人ばかりではないでしょう。苦しい思いを抱えるひとりでも多くの人に、そんな理解者やパートナーや仲間が見つかるといいなと思いました。

1巻から2巻への落差もすごかったですね。それまでの宝井先生の作風、純愛路線でストーリー上必要最低限の清涼感のあるエロというイメージが一気に覆りました。

こんな濃密でエロティックで艶やかなお話になるとは、1巻から誰が想像したことでしょう。美麗な絵柄と構成の良さもあいまって、一気にあちこちがザワついたのも記憶に鮮明です。

そこからはもう転がるようにテンカウントに堕ち、毎回きゃあきゃあ言いながら感想を書いていました。黒瀬くんが基本無口で無表情だから、少ない情報からあれこれと考察もどきをして妄想を膨らませるのも楽しかったです。

最初の想いは明らかに黒瀬くん>城谷さんだったのが、だんだん黒瀬君≧城谷さんくらいになっていった経過も鮮やかでした。あと10年くらいしたら黒瀬くん=城谷さんになるかな。いや永遠にならないかな。

なんだかんだ黒瀬くんはこの先も、女王城谷さんには頭が上がらない密かに不憫な隠れ残念男なのかもしれません。真顔でアイドルソングの「恋はキュンキュンDQN」とか踊っちゃえる強メンタルの持ち主だから大丈夫ですね。間違いない。

2人とも最初はこじらせた大人同士だったのに、振り回し振り回されイチャコラする姿がこんなにも容易に想像できるカップルに育ってくれた奇跡。黒城は永遠に不滅です。

私はリアルでは隠れ腐女子で、普段から誰かとBL萌えを語り合うことができないためブログで語っているのですが、たまにメールやコメントをくださる人がいるのもとても励みになりました。

みなさん黒瀬くんや城谷さんにはそれぞれ思うところがあるようで、いただく感想やコメントがとても的確で参考かつ勉強になりました。拍手コメントひとことだけとかもすごく嬉しかったです。いつもありがとうございます。

グッズやゲームや10周年記念イベント(楽しかったです)など各方面への展開も幅広くて、テンカウントという作品を通して、黒瀬くんと城谷さんの関係を通して、たくさんの癒しと笑顔と楽しみをもらいました。

欲を言えば、みんな大好き三上くんのことももうちょっと本編で知りたかったかな。宝井先生いわく三上くんには何か特別な設定があるらしいのでとても気になっています。三上きゅんの秘密のスピンオフどうでしょう。

また番外編とか短編とか4コマとかイラストとかで、黒瀬くんと城谷さんが幸せにイチャイチャしている姿をたまーにでも見せてもらえると飛び上がって喜びます。

正直ここまでの人気作だからディアプラスさんの方でもこの後も絶対なにか動きがあるはず。最終回でオフィスラブフラグを立てるという爆弾まで落としてくれたわけですし、えっとまずは新たな10のエロいお願いをひとつずつ追う形で不定期スピンオフとかどうでしょうか。

連載は終わっても彼らの日常は続きます。この先の長い人生のなかで、城谷さんの女王様気質が爆発したり、黒瀬くんの度を超えたSが発揮されたり、はたまた外的要因が揺さぶりをかけてきたりとあらゆる困難がふりかかることでしょう。

でもこれだけお互いをさらけ出せた2人ならきっと大丈夫。ケンカしたり仲直りしたり、イチャイチャしたりエロエロしたりしながら末永くお幸せに。

まだ何か動きはありそうですがひとまず宝井理人先生、本当に本当に長い間お疲れ様でした。素晴らしい萌えとキュンと極上エロスをありがとうございました。

正直ゲーム化もあるしまだもうちょっと続くでしょと高をくくっていたのでダメージは大きいです。でも終わりがあれば始まりがある。ということで次回作および番外編も首を長くしてお待ちしています。

他社さんからもたくさんの連載のお声がかかっているでしょうし、水面下で争奪戦が繰り広げられてきたことでしょう。ディアプラス以外でも宝井先生の作品に会える可能性が高いかもしれません。ファンとして、どこまでも追いかけていきたいと思います。

いつも無駄に長く脳内ダダ漏れの私の感想にお付き合いくださった皆様も本当にありがとうございました。

ではまた宝井先生の次回作、もしくはテンカウントの新章や番外編などの感想でお会いしましょう。

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