ヤマダ先生の初BLコミックスを読みました。またヤマダ先生はさすが一般漫画で活躍されているだけあって、線に迷いがなく絵柄が安定していて読みやすかったです。
不器用コミュ障な後輩・鯛代くん×かわいくて無自覚天然な先輩・蛯原という鉄板のカップルです。1巻では鯛代くんの重たい想いが、先輩を少しずつ変えていくという良いところで終わっていました。
前半のたたみかけるようなギャグにはリアルに笑わせてもらい、ライバル登場してからの後半のラブをからめたストーリー展開がぐっときました。それでは以下「鯛代くん、君ってやつは。」1巻の感想です。ネタバレ注意です。
鯛代くん、君ってやつは。電子書籍
鯛代くん、君ってやつは。感想 ネタバレあり
不器用コミュ障後輩×天然ツンデレ先輩
蛯原(受)は、落とした財布を届けてくれた後輩の鯛代くん(攻)をカツアゲと勘違いするなど天然系のかわいい性格の持ち主です。
顔が怖くて不器用かつコミュ障な鯛代くんは、なぜか蛯原に片思い中。お気に入りのスマホゲームに蛯原に似ている女子キャラがいるというだけでプレイしていたり、熱烈に蛯原を想い、ある日うっかり告白してしまいました。
最初はまったく受け付けない蛯原でしたが、ゲームセンターに行ったり、同じアニメが好きだということで鯛代くんの家に遊びに行ったり、世話好きの性格が災いし(?)一緒に料理するなど、2人で過ごす時間に馴染んでいく蛯原。
ひょんなことから顔が近づいてあわやキスか!と思いきや、びびって鯛代くんが蛯原をひっぱたくという超展開。すぐにやり返す蛯原もちゃんとした男の子なのでしたw
蛯原は、ある日幼馴染で漫画研究部のリーダー・伴内から高額アルバイトを持ちかけられます。それは同人イベントの売り子。しかも鯛代くんが気に入っているあのスマホゲームのキャラクターの女装コスプレ付きです。
日給につられて引き受けた蛯原でしたが、女装した姿に喜ぶ鯛代くんを見て内心おもしろくありません。鯛代くんは、あの女性キャラに自分が似ているから好きだと言っているのだと勘違いした蛯原は、複雑な心境のまま鯛代くんを遠ざけるようになるのでした。
ライバル登場でお互い意識する2人
自分がコスプレしている姿を見せたくないと、鯛代くんを目隠しする蛯原。そのまま2人は妙な空気になりキスを…するのかと思いきや、鯛代くんがもだもだしてせっかくの良い雰囲気が台無しになってしまいます。逆切れした蛯原は、なんと自らキス!走って逃げる蛯原がかわいいです。
ぎくしゃくした空気のままやってきたイベント当日。同じ大学の残念イケメン・瀬賀くんが、女装コスプレした蛯原に一目ぼれをしてしまいました。
すぐに男性だと判明しますが引かない瀬賀くん。流れでキスをしたり、蛯原に対してぐいぐいいく瀬賀くんに、何もできない鯛代くんは気が気ではありません。
ライバル登場で自分の蛯原への気持ちを問い直す鯛代くん。控えめで瀬賀くんのように強引に近づくこともできない鯛代くんは、漫画研究部の合宿中も、本当は蛯原とどうなりたいのかをずっと自問自答するのでした。
鯛代くんが合宿で酔っぱらって蛯原を押し倒してからむ姿は色っぽく、蛯原がどぎまぎしている姿はかわいくてキュンキュンしました。合宿で1歩どころか3.4歩近づいた2人が今後どうなっていくのか、キスどまりの関係がそれ以上の関係になれるのか。今から2巻が楽しみです。
先輩、あなたって人は。
描き下ろしの「先輩、あなたって人は。」は、エロく鳴く蛯原くんに妄想がとまらない鯛代くんの楽しいマッサージ回でした。いいぞもっとやれ。このからみを部室でやってるとか、モブ顔のみなさんご愁傷様でしたw
レンタ限定のオマケ漫画は、メガネ姿の蛯原に鯛代くんが身悶えするというかわいらしい1ページのショート漫画です。上目使いまで使いこなす蛯原が計算なしの天然なのが逆にコワイ。今までよく無事だったな蛯原よ。変なおじさんとかに…いや何でもないです。
もしかしてずっと幼馴染としてつるんでいた伴内が、あの強烈なインパクトの顔面を上手に活かして、蛯原を悪の手からさりげなく隠してくれていたのかもしれません。
感想まとめ
鯛代くんが蛯原の財布を拾って届けけあげたり、転びそうになったところを助けたり、何気にフォローしてはさりげなく支えているところはとてもいい子だなと思いました。純粋でコミュ障でグイグイはいけないけど、いつも蛯原を気にかけて優しく見守っている姿は好感度が高いです。
怖い顔っていうか目つきが悪いところもチャームポイントとして愛せるし、ブルジョワな暮らしぶりから両親が何をしている人なのかとか兄弟はいるのかとか、家族関係も気になります。今どうして一人暮らしなのかとかも。
それにどうやら蛯原とは財布を拾ったときに初めて会ったわけではなさそうだし、どうして蛯原に惹かれたのかも知りたいです。
蛯原は典型的なひとりでぐるぐるテンパる性格が愛しくて、世話好きで事態を悪化させまくって流されやすい受けって最高だなと思いましたw
とはいえ単純なおバカさんなだけではなく、合宿中に間違ってお酒を飲んだ鯛代をバカにした瀬賀にピシャッと言い返したり、事故ったときに触れ合ったからといって理不尽にキレたりしないと鯛代に言ったり、まっとうな常識や優しさを持ち合わせているところは素敵だなと思いました。
すっきりと簡略化されたキャラクター絵に惑わされがちですが実はヤマダ先生、デッサンの鬼なんじゃないかな。顔と身体のバランスが、どのシーンを切り取っても崩れないのはデッサン力が高いからかと思います。
絵柄を例えるなら、腰乃先生をマイルドにしてさらにもっとギャグ寄りにした感じでしょうか。建物や小物などの背景の書き込みも手抜きがない感じで、漫画研究会のあからさまなモブ顔wの愉快な仲間たちですらなぜか愛着が持てます。
ところで残念イケメンの瀬賀くんと伴内って今後何か展開があるのでしょうか。瀬賀くんが一瞬伴内にツンな顔を見せたので「ん!?」とすこーし気になりました。伴内って実はすごくいい男なんだと思うんですけど、この2人って顔面の作画レベルが違いすぎるからどうなのかwいろんな意味で目が離せません。
私はキャラの横顔が好きでよく見るのですが、ヤマダ先生の描くキャラの横顔はどストライクで超タイプでした。ギャグコマでもシリアスコマでも、鯛代くんも蛯原もかわいくて綺麗で整っていて目の保養です。もちろん残念イケメンの瀬賀くんも。
全面ギャグ寄りのBLで楽しい気持ちになれて、油断していたらたまに萌えとキュンが散らばっていて、お気に入りの1冊になりました。まずは2巻が待ち遠しいです。
久しく笑ってない人、ライトで甘くてニヤつける作品をお探しの方、かわいい絵柄のラブコメに癒されたい人、ガッツリエロはないけれど匂い系BLがお好きな人におすすめです。ヤマダ先生もあとがきでおっしゃっていましたが、普段BLを読まない人にも読みやすい作品ですね。
ヤマダ先生にはこれからBLをたくさん描いてほしいです。一般漫画ですでに活躍されているので新人さんといって良いのか分かりませんが、今後も大注目の作家さんがまたひとり増えました。
ヤマダ先生のコミックス
「鯛代くん、君ってやつは。」を含む第1話がまるごと無料の小冊子です。