弥生組の怖い組長と必死で取引して逃げ出し、ボロボロになって明虎のところへ戻ってきた卯一。明虎と卯一の関係を静観している浅生田は、自分の居場所を卯一に奪われたことで胸中複雑な様子です。
いっぽう現代では、麗華ちゃんが父親の仕事のことで学校でいじめられていることが発覚します。ヒモ生活を送っているハチが話を聞いてくれて味方になってくれていますが…。前回の感想はこちら。
ジェラシー2巻9話ネタバレ感想
それでは以下「ジェラシー」10話のネタバレ感想です。
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ジェラシー2巻10話感想 ネタバレあり
強がってはみたものの不安な麻巳姐さん
明虎と卯一にお灸をすえてから、麻巳姐さんはひとり洗面所でタバコを吸っていました。といっても火は付けず咥えるだけで、気持ちを落ち着かせているようです。
すると浅生田はすっと火をつけてあげました。たまの息抜きくらいは必要です。気が利く浅生田にほっとしたのか、麻巳姐さんは口を開きました。
「我ながら理解ある嫁を演じてるでしょ?」
愛人を迎え入れるという妻の立場からすると、修羅場と化してもおかしくないこの現状。姐さんの卯一への言動は、いろいろなことを考えた上での半分芝居も入ったものだったのです。
隣室ではのんきに明虎と卯一がじゃれあって笑い合っていました。ついさっきまで掴みあいのケンカをしていたはずなのに、男同士ゆえにさっぱりとしています。
「あいつはずるいね。私はどうあがいても男になれないのに。あっちは女になれる」
明虎はこの稼業に馴染んでないよね、と伏し目がちに語る麻巳姐さん。「どこにいても馴染まない自分を、この世界に無理矢理おしこめているように見える」と重ねてつぶやきます。
「やっと一緒に自転車に乗ってくれる子見つけたってことなのかな」
「ですが、このままでいいはずがありません。今の状況はまともじゃありません」
明虎の半田に対する異常な殺り方を見た浅生田は、危機感を覚えていました。卯一に引きずられてタカが外れてしまっているのだとしたら、このままの勢いで二代目に突っ込んでいく可能性もあります。
麻巳姐さんはどうすればいいのか考え込んで大きく息をつきました。姐さんにとって卯一は旦那を寝取った憎むべき相手。しかし卯一には姐さんでは埋めることのできない明虎の孤独を埋めることができるのです。
(だからといって旦那をくれてやるほどお人好しでもないけど。私は本当に卯一と闘えるのかしら)
メスは2匹もいらない、とすごんで見せたものの、姐さんも心の中には不安を抱えていました。しかし姐さんはもう母親です。息子の母親であり組員の母親。
姐さんの目には、卯一は掛け違えたボタンを直せない子供のように映っていました。どうにかしたいのにどうにもできず、誰かに助けてほしいのに誰もいななくてベソをかいている、切なくて哀れで愛しい小さな子供。
「もう母親なのよね私…」
姐さんは切なげにひとり顔を覆うのでした。
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弥生組組長の手から逃れ、明虎の家に戻った卯一。そんな卯一に麻巳は複雑な思いを抱き…? pic.twitter.com/c1rAp4x5yh
痴話げんかする明虎&卯一
姐さんの切ない想いを知ってか知らずか、リビングで明虎と卯一はいちゃつくばかりです。万札で折り紙をしつつ膝枕で明虎に甘える卯一は誰よりも幸せそうです。
刺し傷が痛む明虎に、卯一は「傷が開いちゃえ」と軽口を叩きました。さらに「治らないとずっとここで一緒に暮らせる」と夢物語のようなことを語ります。ひとときの心地よい空間に身をゆだねる卯一に、明虎は何でもないように口を開きました。
「傷がふさがったらまたお前が刺せ」
見下ろす明虎は優しげな表情でした。卯一は思わず明虎の手を取り膝枕に顔をうずめます。泣いているような安堵したような表情の卯一。明虎からの信頼を感じとったのでしょう。
いつもボロボロで丸まっている卯一に、明虎は改めて「やくざになるのはやめておけ」と釘を刺しました。このところ一緒にいて、卯一がヤクザに向いていないことがよく分かったのです。
「お前といると、どうも正気でいられなくなる」
卯一に金を稼いで来いと言ったのも「俺が間違っていた」と明虎はあっさり認めました。明虎のためなら何でもするという卯一に、それが危ないのだと心配する明虎は、卯一を優しく抱きしめます。
せっかく認めてもらえると思っていたのに、と明虎にくってかかる卯一。卯一はいわゆる一般的な愛人のように、可愛がられて守ってもらえる生活がほしいわけではありません。自分の実力で明虎に認められたいという欲があります。
あきらめない卯一は、今後は明虎からの助けを一切受けないと宣言しました。しかも明虎に「出て行って!」と啖呵を切ります。ここはそもそも明虎のマンションなのですが…w
そう言われて、わりとあっさり出て行った明虎に、卯一は意地を通すつもりで悔しげに唇を噛みしめるのでした。
ただ、手放したくない。
リビングを去り姐さんのいる家族の寝室に向かった明虎は、浅生田と姐さんに「振られた。明日帰るぞ」と唐突に告げました。麻巳姐さんは驚くばかりですが、そのまま黙って引っ込んではいません。明虎を叩き起こして理由を問いただします。
「あいつ偉いよ。俺より肝が据わってる。これじゃまるで愛人じゃなく息子だ」
どこか嬉しそうな顔で言う明虎を、麻巳姐さんは無言で見つめました。姐さんは、卯一を組に入れるつもりはないのに組に関わらせる明虎のことが理解できません。
「あの子を組員にするなら私は母親になるのよ。ちゃんと聞かせて。卯一をどうしたいの?」
「わからん」
明虎にとって卯一は所有したい衝動にかられる対象で、愛人であり友達でもあり、さらには親のような気持ちにさえなることもあり、どうしたいのか自分でもよく分からない存在なのでした。
ただ、手放したくない。
きっぱりと告げて静かに寝入る明虎に、それ以上麻巳姐さんは何も言葉にすることができませんでした。
卯一とはいるべきじゃない
翌朝明虎が目覚めると、姐さんはすでに自宅に戻った後でした。浅生田には明虎宛ての「人殺しは家に帰ってこないで」という強烈な伝言を残して。。。
いっぽう組に戻った明虎は、自分の顔の怪我を「カタギと喧嘩した」と軽く部下に説明します。一生懸命言い訳を考えていた浅生田は、それを見て改めて明虎のすごさを実感しました。
張りつめた組の空気が、明虎の気配ひとつで一瞬でふっと緩んだのです。その場の空気をコントロールできる明虎。それは小心者が見栄を張るような小賢しい威圧では決してありません。
ごくごく自然に場を掌握してしまう器が、明虎には生来備わっているのでした。これが本来のカリスマ性のある明虎の姿。浅生田は「やはり卯一を明虎に関わらせてはいけない」と固く決意するのでした。
ふと組に見かけない若者がいることに気づいた明虎は、その子を修業に出すように部下に提案します。厳しい環境で下働きをさせ、極道の資質を見極めようというのが組の習わしのようです。
どうやら浅生田もその修行に出ていたことがあるらしく「お前は可愛げがなかった」と言われていますw今よりずっと若かりし日の浅生田さん、いつかその頃の話も見てみたいものです。
株で必ず勝てる罫線がある!?
明虎に「ひとりで頑張る!」と啖呵を切った卯一も動き出していました。この界隈では偏屈だと有名な榎本という相場師に、株で確実に勝てる罫線のヒントを教えてもらったと、卯一は嬉しそうに報告します。
浅生田は半信半疑で「騙されている!」と怒り心頭で、案の定電話でケンカ腰の言い争いになってしまいました。
「とにかく明虎さんに伝えて。明虎さんならわかってくれるから!」
「たった2日一緒に過ごしただけで、若の何を知ってる!」
相容れないものがある2人の、売り言葉に買い言葉の応酬。しかし卯一はふっとつぶやきました。
「分かるよ。時間じゃない」
浅生田は卯一の落ち着いた言葉に、思わず言葉に詰まって電話をガチャ切りするしかありませんでした。
いっぽう恐喝の罪で服役していた大和会の会長が出所したというニュースが流れました。大和会の会長とは、すなわち明虎の父親です。
出所したのに迎えにも来ないとブツブツ言う会長に、弥生組組長はお世話しながら頭を下げました。
「お勤めご苦労様です、会長」
ジェラシー10話 感想まとめ
浅生田さんが髪をおろして年相応に若返ったのが今日のハイライトです(違)苦労人で真面目すぎる浅生田さんが最近すごく愛しくてどうしたものか。卯一への嫉妬も抑え込んでいる状態ですが大丈夫なのかな。だからといって暴走するような人ではないと思いますが。
そして麻巳姐さんの苦しい心境も吐露されました。強気にふるまっていても、本妻からしたら愛人である卯一の存在はおもしろいものではありません。ところが憎みきれない卯一の存在を、自分自身がすでに母親目線で見てしまっていることにも気づきました。
明虎自身も卯一をどうしたいのか決めかねているくせに「手放したくない」とあんなにハッキリと言われてしまったら、麻巳姐さんも辛いだろうな。嗚呼、惚れた弱みよ…。こうなると今は、明虎と卯一の関係を静観するしかないということでしょう。
ところで株で確実に勝てる罫線なんてあり得るのかな。卯一はこの株の話で成功するのか失敗するのか。また、修行に行かせた若者の話は急に出てきましたが何か今後に関係あるのでしょうか。
ラスボスの大和会組長(つまり明虎の父親)も初登場しました。さすがの貫録というか、あのくせ者・弥生組組長が頭を下げるだけある面構えで、鋭い目元は明虎にそっくりです。
次回は7/30発売のシェリプラス2018年9月号です。ジェラシー2巻は8/1に発売されます。まだまだ先だなと思ってたらあっという間に8月になりそうですね。
それではまた「ジェラシー」11話の感想でお会いしましょう。
追記)11話の感想を書きました。
ジェラシー3巻11話 ネタバレ感想 スカーレット・ベリ子
スカーレット・ベリ子先生のBLコミックス
スカベリ先生へのインタビューはこちら。大和辰之の衝撃の事実が明らかになります。
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