山田2丁目先生の新刊を読みました。魔法少女と闘う悪の組織!というダーティなあらすじに反して、中味は不思議系のゆる~いほのぼのエロコメディです。「エッチしないと出られない部屋に閉じ込められる」というベタな展開も裏切りません。
悪い人が1人も出てこない平和な世界なので、安心してメインカップル2人の甘い関係を楽しめました。ファンタジーなマジカル☆エロエロBLの名にふさわしい、脱力系ラブコメです。
それでは以下山田2丁目先生の「一方その頃」の感想です。※ネタバレ注意です。
一方その頃 電子書籍
一方その頃 感想 ネタバレあり
長身イケメン技術者×世話焼きな上司
人々の欲望を集める仕事をしている会社「悪のそしき」を率いる所長のクロさん(受)は、毎月の欲望回収率に頭を悩ませる日々を送っていました。
社員やアルバイトなどが特殊な装置などを使って、目に見えない人間の欲(性欲、食欲、睡眠欲など)を集め、悪のそしきグループの上層部に渡すのがクロさんの仕事。
ところがクロさん達の仕事を邪魔するのが魔法少女ほのか。彼女はクロさん達が苦労して集めた人の欲を奪ってしまうため、クロさんたちはいつも四苦八苦しているのでした。
といってもこの魔法少女、実は5歳の幼女。しかもラッコ連れ&保護者(お兄ちゃん)連れのキュートな容貌のため、大人のクロさんたちはいつも反撃らしい反撃ができずにいます。
自分を育ててくれた元上司のハルさんのような良い上司になるべく、日々奮闘するクロさん。そんなクロさんを部下として支えるのが、「悪のそしき」の技術職の赤屋(攻)です。
長身イケメンの赤屋は実は元引きこもりで、会社でもハルさんにしか懐いていません。赤屋は何とかハルさんの力になりたいと、人の欲を効率よく回収できるマシーンを作ることに情熱を燃やしていました。
エッチしないと出られない部屋に閉じ込められた!
人の欲の中で性欲が一番だという考えにたどり着いた赤屋は、ある日「セックスしないと出られない部屋」の開発に成功します。そうとは知らないクロさんは、会社内に作られたこの小部屋に興味津々で、部屋の扉を閉めてしまいました。
お約束のように閉じ込められてしまう2人。赤屋は技術者なので、部屋の中にある道具を使えば出られる…かと思いきや道具は部屋の外に置いてきたまま。
最初は戸惑っていたクロさんは、結局押し切られるような形で赤屋の言いなりになってしまいます。敏感な体質なので、ちょっと触られただけでも悶えてしまうクロさんがエロい!
いつものクロさんじゃないですね。
うしろに指を入れられてひんひんと鳴くクロさん。後ろから抱きしめてささやく赤屋もかなり興奮しています。最後まではせずに素股だけでしたが、グズグズになってあんあん喘ぐクロさんはエロエロでした。
尻の中まで感度が高いクロさん
2度目のセックスしないと出られない部屋の設定は「フェラしないと出られない部屋」になっていて、それも甘んじて受けるクロさん。クロさんは、言い訳のように「仕事だから」と言いますが本心は見えません。
そんなある日「悪のそしき」幹部のハルさんが、クロさんが束ねる支社にやってきました。ハルさんは赤屋の父親。息子の作った小部屋を見たハルさんは、クロさんを試そうとにじり寄ってきます。
ところがクロさんは、ハルさんのことは上司として尊敬しているだけ。それに今は赤屋という気になる部下もいます。必死に抵抗すると、そこへ赤屋が駆けつけて助けてくれました。
この事件以来、クロさんははどうにも赤屋をまっすぐに見られなくなってしまいます。意識してしまうと赤面して挙動不審になり、いつも以上にツンツンしてしまうクロさん。
家に帰っても考えるのは赤屋のことばかりで悶々とするクロさんのところへ、赤屋が訪ねてきました。
「クロさんは俺より父さんのほうがいいんですか」
お前とハルさんを比べる?比べたことないよバカ。お前がいいんだよ。
赤屋の手をぎゅっと握って、自分の気持ちをぶつけるクロさんの赤面顔がかわいい。その夜はもちろんエッチで盛り上がります。「クロさんて尻の中まで感度高いんですね」と言わしめるクロさんのお尻を、今度こそ隅々まで堪能する赤屋なのでした。
感想まとめ
クロさんが家ではメガネで髪型もラフになっててかわいい度が増し増しだったのにぐっときました。赤屋のことを思い出しては指をガジガジ嚙んだりして子供みたいでかわいかった。
クロさんが、赤屋以外のアルバイトの子たちからも信頼が厚くて、世話好きで褒め上手だったり、親身になって相談にのってあげたり、赤屋のことも将来のことまで考えて育てようとしてくれたりと、現段階でもとても良い上司だなとほっこりしました。
魔法少女とラッコもどきは謎すぎますが、あえて謎のままでいい気もします。だってファンタジーだから。あまり詳細は気にしない方が、このお話には没頭できるかもしれません。
描き下ろしの触手も、本編で出てきたインパクト大な触手が生かされていてエロエロしくて最高でした。「すけべな触手は人類の夢だ」と言ったアルバイトの緑原くんナイス。
クロさんの憧れの上司のハルさんは、ビジュアルが髭面マッチョ系で、赤屋とは顔は似てますが、また少し違ったタイプのイケメンです。893のボスみたいな貫録があるハルさん。あまり親子関係が良好でないのは、父子で好みが似てるからですかね?同族嫌悪みたいな。
ハルさんの秘書の一色さんがとてもいい味を出していました。小柄でひょろっとして見えて実はケンカが強いらしく、いったい何者!?8000円でその身をハルさんに捧げるとか、ぶっとびすぎててじわじわきます。チョロ…いや心が広いんですね。
悪のそしきの上層部(ハルさんたち)が、支部から集めた欲を何に使っているのか謎は明かされないままだったので、いつか知りたいような知りたくないような。社名からしてもうロクなことに使ってなさそうwそれともそれとも意外と慈善事業に使ってたりするのでしょうか。
あとがきによると続きがあるそうなので、またクロさんが、赤屋の発明によってすけべな目にあってくれることを切に祈っています。
肩の力を抜いて気楽に読めるお話なので、長編シリアスには疲れた人、適度にエロいファンタジーを楽しみたい人、ゆる~いラブコメに癒されたい人、リアル生活にお疲れな人にもおすすめです。