自分のために行動しようとする太一に引け目を感じてネガティブになっている航平。太一はそんな航平の姿勢に、もやもやする気持ちを抱えていました。
せっかくの久しぶりの2人でのデート。身体を動かしたい太一でしたが、航平の友達のリュウくんからのお誘いメールを見て、一緒に会いに行こうと提案します。前回の復習はこちら。
ひだまりが聴こえるリミット2巻9話 ネタバレ感想
それでは以下「ひだまりが聴こえるリミット」2巻10話のネタバレ感想です。
ひだまりが聴こえるリミット2巻 電子書籍
ひだまりが聴こえるリミット2巻10話 感想 ネタバレあり
リュウくんに会いに行く航平&太一
リュウくんの会社の新作ゲームの発表会に行く太一&航平。リュウくんは太一も来たことに少し驚いていますが、無邪気で明るい太一に一生懸命頼まれて参加を許可しました。
「太一ちょっと待って!本当にいいの?集まるのはリュウくんの友達や知り合いだから、たぶんみんな難聴の人たちで…」
「だから?」
きょとんとする太一に航平は何も言えなくなってしまいました。航平としては、太一が嫌な思いをするんじゃないかと心配しているのです。
対する太一は、心底不思議そうな表情です。聴こえるか聴こえないかの違いは、太一にとってはそれほど大きな問題ではないのでした。
暗い地下のイベント会場へ向かう途中、階段から派手に滑り落ちる太一に一瞬ドキッとしましたが、ケロッとしていて何事もなく無事。良かったあ。こういうところが太一らしいです。
会社の地下を借り切っての新作ゲームのお披露目会。リュウくんの友達や知り合いが集まる中で、告知を見て冷やかしにやってきたような人たちも混ざっていました。
俺には言わないのに…
「あそこの奴、人工内耳だよ」
航平の持っていた人工内耳のパンフレットを破いたことを少しは悪いと思っているのか、リュウくんは冷やかし半分でやってきたらしき3人組の1人の男性を指さして教えてくれました。それを見た太一は、思わず航平のうしろ姿を見つめます。
(俺には言わないのに、こいつには人工内耳のこと話してるのか?なんで…)
知り合ったばかりのリュウくんには話しているという事実を知って切なくなる太一。そこへ、デフフットサルサークルの仲間のユミさんがやってきました。航平に目をつけて、ぐいぐい来ていたあのお姉さんです。
美しく派手に着飾ったユミさんは、相変わらずのノリで航平に抱きついたり、ほっぺに派手にチューしたりとやりたい放題。航平もドン引きしながら慌てています。
ユミさんは当然のように太一にも目をつけ、ほっぺをプにプにしたりチューしようとしたりとフリーダムです。航平は、真っ赤になって固まってしまった太一を、ユミさんから守るように立ちはだかりました。
スキンシップ過多なユミさんは、リュウくんに呼ばれてお披露目会にやってきました。ユミさんいわく、リュウくんは「聴覚障害者ががんばっている」というふうに撮られるのがイヤで、テレビの取材なども全部断っているようです。
知らない人の輪にすぐに馴染む太一
ユミさんと話す航平を見て「美人にデレデレしている」とムカつく太一。まわりを見ると、カードを手にしたリュウくんの姿が目に入りました。
「超うまいじゃん!俺こんな絵がうまい奴会ったことない。すげーなお前!」
太一はゲームをグッズ化したカードのイラストを見て感動します。目をキラキラさせながら素直な声をあげる太一に、カードの絵を描いたリュウくんの仕事仲間も嬉しそうです。
知らない人たちの輪に入って、さっそく楽しげに笑っている太一を遠くからそっと見ていた航平は、改めて太一の性格をすごいなと感じていました。
パソコンのゲームを初めて触る太一は、やり方を近くにいた3人組に尋ねます。さっきリュウくんが「冷やかしでやってきたやつ」と指を指していたグループです。
ところが気づいても、さっと目を逸らしてクスクスと笑う3人組。感じ悪いですね。太一は「聴こえなかったのかな?」とまったく意に介していませんが。。。
航平が真剣に怒った!
リュウくんの仕事仲間と仲良くなった太一は、ゲーム会社のことを聞いてみました。リュウくんの立ち上げた会社の正社員は3人。リュウくんと、あとの2人は同じ聾学校にいた友達同士です。
3人は聾学校時代から遊びでゲームを作っていて、リュウくんがこれで会社を作ろうと言いだして起業したようです。太一も自分の事を少し話しました。
そばで話を聞いていた冷やかし3人組の人工内耳の彼は、太一に興味を持ったのか、いろいろと話しかけてきます。
「何で大学辞めちゃったの?」
「やりたいことがあって…。いやまあ性に合わなくて、貧乏だったから早く金稼ぎたかったし!」
説明しにくそうな太一の話を聞いた人工内耳の彼は、手話で連れの2人と会話します。ところがそれは、どう見ても太一をバカにしているような嫌な感じのものでした。
太一には手話の内容は伝わっていません。しかし見ていた航平には伝わってしまいます。おそらく太一を侮辱するような会話だったのでしょう。
いきなり椅子を派手に倒し、険しい表情で3人組を睨む航平。見たことのない航平の表情に、太一はただただ驚いてしまいました。
帰ろう、今すぐ。
航平は、太一の手を取って会場を飛び出します。残ったリュウくんや仲間は、何が起こったのか分からず驚くばかりなのでした。
太一には関係ないから
「ちょっとあんた達!杉原くんとその友達に何か言った?フツー何もなきゃあんな態度とらないわよ!」
ユミさんは人工内耳の彼に詰め寄ります。航平が睨んでいた3人組を見てピンときたのかもしれません。人工内耳の彼は、都合が悪くなると聴こえなかったふりをするタイプのようで、すっとぼける彼に苛立つユミさん。
するとリュウくんは雰囲気で察知したのか、突然その彼を殴り飛ばします!パンフレットを破いたときもですが、リュウくんは結構すぐに手が出ちゃうタイプのようですね。
飛び出して行った航平と太一は、息を切らせたまま高架下で立ち止まりました。航平が怒ったのを初めて見た太一は、なにがなんだか分からずに困惑しています。
「どうしたんだよ!?あいつらが何か変なこと言ってたのか?」
「なんでもない。太一には関係ないから」
さっと目をそらす航平に、太一は唖然としてしまいます。航平のことがどんどん分からなくなっていく太一。航平に関係があるのなら、太一にも関係があるはず。なのに理由も説明もなく冷たく突き放す航平に、太一は苛立って大声を出してしまいました。
「なんで俺には何も言わないんだよ!他の奴には大事なことを話すくせに」
「だって俺と太一は違うから。俺はどう頑張ったって太一みたいにはなれないって分かったから」
太一に負担をかけたり嫌な思いをさせたくない。太一には迷惑をかけたくない。だからもう気にしないでほしい。
次々と語られる航平の言葉にショックを受けた太一は、こみあげる感情を抑えきれずに口を開きます。
「お前だけが我慢してるのを黙って見てろって?俺の気持ちを無視して何が迷惑だよ!」
迷惑をかけたくないからもう気にせず何もするなと言う航平に、それでは一緒にいる意味がないと感じる太一。
こんな迷惑ならいくらだってかけろよ!俺はお前のなんなんだよ!
太一は大粒の涙を流しながら走り出します。引きとめようとする航平でしたが、ふと太一の腕のヤケド痕が目に入り、1歩遅れてしまいました。
もし太一に何かあっても、自分では助けてあげられないかもしれない。あのバーベキューの時のように。そのことがひっかかってしまい、航平は太一の去って行く背中を見つめることしかできませんでした。
感想まとめ
あーこじれちゃった…。太一はどうして航平がこんなに沈んだ表情なのか分からず、恋人なのにちっとも頼ってくれないことが寂しくて、自分の存在意義を見失ってしまいました。
いっぽうひとりで悶々としている航平は、悪い方へ悪い方へとしか考えられなくなっていて悪循環に陥っています。
もともと甘えたり頼ったりするのが苦手なタイプで、昔のやさぐれ時代からのマイナス思考もあり、自分は太一にはふさわしくないのでは、などとぐるぐる考えていそうです。
恋人関係にある2人なら、お互いに頼りあって支え合うのが普通だと思っている太一。ところが、そうすることが相手の負担になるのではないかと考えて、何も言わず黙って飲みこんでしまう航平。
2人の性格の違いが大きく影を落とした形となりました。これはどんな恋人同士にでも起こりうることで、性格が違うのは別々の人間なのだから当たり前のことです。
その違いを、時間をかけてひとつひとつ話し合って、譲ったり譲られたりしながら、少しずつすり合わせていって、最終的に2人が心地よくいられるように関係を築いていくのが、お付き合いというものです。
時に迷惑をかけたりかけられたりしながら、人と人は支え合っていく。それが一緒に生きる意味なのです。太一の絶叫がとても心に響きました。
ところでユミさんが、妙に手が大きいことがフューチャーされていました。もしかして元男性なのかもとちょっと思ったり。ユミ姐さんがオカマさんのようなテンションの時があって、けっこうありうるかもなーと。考えすぎでしょうか。
リュウくんは太一に対して良い印象を持ち始めているような感じでしたね。自分たちの作ったものをストレートに褒めてもらって、リュウくんの仕事仲間にもすぐに馴染む太一のまっすぐな性格は、リュウくんの目にどう映ったのでしょう。
次回「ひだまりが聴こえるリミット」11話は8/28発売のCanna61号です。それではまた「ひだまりが聴こえるリミット」11話の感想でお会いしましょう。
追記)11話の感想を書きました。
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