明るい営業マン×真面目なSEカップル。接点のない2人がひょんなことから出会って人となりに触れ、少しずつ距離を詰めていくという王道ラブストーリーです。
多忙な社蓄リーマン同士ですが、くたびれた姿や愚痴などもなく、終始爽やかで純粋な2人の心ときめく胸キュン恋物語です。
最終電車 電子書籍
最終電車 感想 ネタバレあり
人当たりのよい営業マン×真面目なSE
SEとして働く夏目(受)は、しょっちゅう終電に乗って帰る多忙なサラリーマン。
ある日、終電に遅れそうになってダッシュするも間に合わず、ガックリうなだれていると、隣りに同じように終電を逃したスーツ姿の男性がいました。
飲みすぎて気持ちが悪くなってた男を介抱してあげた夏目は、今夜泊まるホテルを探します。ところが週末でツイン1部屋しか空室がありません。
仕方なく2人で泊まることになり、気まずい雰囲気の中お互いに自己紹介をすることに。夏目が介抱したのは、人当たりもよくコミュ力の高い営業マン(御木/攻)でした。
夏目がお風呂から上がると、寝ぼけた御木が突然抱きしめてきます。普段PCに向かって仕事をしている夏目は、久しぶりに人肌に触れてどぎまぎ。
翌朝目覚めた2人は、お互いに隣りに男が寝ていることに驚くのでした。
「生活のために仕事してるんじゃなくて、仕事のために生活してるんじゃないかって時々思う」
夏目が終電ダッシュしながら考えることが、思い当たる節がありすぎて、分かるぞその気持ち!!と涙目で絶叫したくなりました。
友達以上恋人未満な関係から前進
同室で過ごした一夜が過ぎ、なんとなく友達になった2人。たまに食事の約束をしても、仕事でなかなか時間がとれずに会えません。
今日は会えるかもしれないと思ってわざと終電を降りた夏目。すると目の前に御木がいました。御木もまた、夏目の姿を見て終電から飛び降りたのです。
お互いに好意を持っているのは明らかで、どちらもとても良い人なのが好感度大!2人して深夜の駅構内で赤面するスーツ姿のリーマンがじれったいです。
御木と夏目は、時間を合わせて水族館や映画に行ったりして、友達以上恋人未満の関係を続けます。
ある日、御木の会社の同僚たちと偶然会って、一緒に飲みに行くことになりました。
自分が夏目に対して、特別な感情を持っていることを自覚している御木は、夏目に女の子の影がちらつくと、いてもたってもいられません。
夏目を家に呼び出して、ストレートに告白する御木に「恐縮です」とか返事しちゃう夏目が天然でかわいすぎました。
コミュニケーションの基本
ゆっくりじっくり2人の距離が縮まっていくのも、すごく丁寧で好感が持てました。
身体の関係に進むときも、御木は夏目の心と身体を気遣います。お互いの素肌に触れ合って、高め合うことに慣れるところから始める御木。
最初は怖がっていた夏目も、優しい御木に少しずつ身体が開いていきます。翌朝、昨夜の余韻に浸ることなく会社にダッシュするあたりがサラリーマンのリアルだなーと思ってしまいました。
御木は無理強いせずに夏目の気持ちが固まるのを待ってあげて、夏目は夏目で、口下手ながらもきちんと自分の気持ちを言葉にして伝えられます。
2人ともとてもピュアで素直だから、全然こじれずに爽やか。会話から成る人と人とのコミュニケーションってこうでないとね、と見ていて気持ち良かったです。
読後は心が洗われるような「明日もちょっとがんばるかな」という前向きな気持ちにさせてくれました。
感想まとめ
「仕事はやりがいがあるけど、ときどき自分が機械の一部になったような感覚になるんです」
だとか、夏目の感じる社会人あるあるに共感しまくりです。
会社と家を往復をして、特に帰りに地下鉄の窓ガラスに映った疲れた自分の顔を見ると、自分は会社の歯車のひとつでしかないんだなと実感しますからね…。
ただ、夏目も御木も2人とも仕事が忙しすぎて、しょっちゅう終電に駆け込むような暮らしなのに、全然やさぐれたりネガティブにならないのはすごいなと思いました。
どちらも同僚や上司に恵まれている感じで、嫌な人が全然出てこないのも平和で癒されます。当て馬(というほどでもない)女の子もいい子でした。
仕事に忙殺されるなかでも、誰かと一緒に食べる朝ごはんに感動したり、手を握ってくれる人がいることにホッとしたり、大事にしあえる人がいるってステキなことです。
御木が告白したときの、玄関で背後からバックハグする形での壁ドン!いいですね~。御木と夏目の身長差も理想的です。
あと、男性の赤面顔ってやりすぎると女々しく見えるのに、この作品では全然そう感じなかったのは、絵柄に凛とした清潔感があるからでしょうか。
1話ごとの終わり方にセンスを感じるし、表紙の通りに絵が整っていて綺麗なので、これでデビューコミックスとか本当!?って感じですが本当なんですね。
BLはまだまだ初心者の人、初々しいピュアなカップルを見守りたい人、お疲れでやさしい世界を求めている人にぜひおすすめです。