秋彦が向かったのは雨月の自宅でした。秋彦は雨月に「最近音楽が楽しい」「ここを出たい」と切り出します。しかし雨月に「ヴァイオリンを捨てるのか」と問われ、即答できない秋彦。
いっぽう、真冬にも変化が表れていました。音楽で誰かに伝えたい、分かってほしいという欲が出てきた真冬は、ライブ審査に向けて緊張しています。前回の復習はこちら。
ギヴン5巻26話 ネタバレ感想 キヅナツキ
それでは以下キヅナツキ先生の「ギヴン」27話のネタバレ感想です。
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ギヴン5巻27話 感想 ネタバレあり
俺が音楽を捨てれば全部うまくいくんじゃないか?
フェス出場をかけたライブ審査2日目。とうとう立夏たちのバンド「ギヴン」は、審査当日を迎えました。
「ここから出て、違う音楽をやってみたい」
雨月にそう言ったものの「ヴァイオリンを捨てるのか」と問いただされ、秋彦はとっさに、何も答えを返すことができませんでした。
「捨てない」と断言できず、雨月に追い返された秋彦は、審査当日もぼんやりしてしていました。
(俺が音楽を捨てれば全部うまくいくんじゃないか?)
そう思ってはいたけれど「ヴァイオリンを捨て」ると、ハッキリ雨月に言いきることもできず、中途半端な秋彦。
春樹は、審査前に手が震えてうっかりドラムのスティックを落してしまうなど、いつもとは違う秋彦を何とかリラックスさせようとフォローします。
審査会場には、雨月も足を運んでいました。
音楽が好きだ。
いよいよ始まるライブ審査を前に、ステージに立って緊張している真冬。以前は自分の言葉をぶつけるだけで精いっぱいでした。
(次は違う歌が作りたい)
立夏のこと、自分や春樹や誰かの恋。雨月と同じく共鳴させるやり方で、新しい音楽を作りたい。そう願う真冬は、曲はじまりのドあたまにアカペラで攻めてきました。
後ろで、引きずられるような感覚に陥る秋彦。この感覚はまるで雨月のヴァイオリンを聴いているときのよう。
真冬には、どんなに望んでも、離れて行く指がありました。一緒に過ごした季節から1歩ずつ遠ざかる気がして、夜明けが来るのが怖かった過去の恋。
秋彦は、突き進む真冬の歌に、鳥肌が止まりません。
いつから音楽が嫌になっていたのか。高校時代、雨月と一緒にヴァイオリンを弾くのがあんなに好きだったのに。雨月の演奏を始めて聴いた時は、確かに今と同じ震えを感じていたのに。
音楽が好きだ。
真冬の声を聞いて、改めて感じる秋彦。
雨月もまた、以前真冬の歌を聴いたときに「何か引きがねさえあればこいつも化けるのに」と思ったあの予感を、ここで答え合わせしてきたことに驚きます。
秋彦にとっては、その引きがねになったのが春樹。雨月はギヴンのライブステージを見て、秋彦の自分への決別を感じとっていました。
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いよいよライブ審査2日目。会場には雨月の姿もあり……!?
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雨月に別れ話をして背を向けた秋彦
本当はどこにも行きたくなかった。ずっと昔の恋人と一緒にいたかった。でも、どこにも行きたくないのに、夜はどうしても明けていきます。
どうしようもなく朝は来る。そしてきっとどこへでも行ける、だから大丈夫。
届いてほしいと願う強い気持ちを歌にぶつけた真冬。ライブ会場の観客たちも、審査中とは思えぬほど圧倒されていました。
演奏を終えた秋彦は、帰ろうとする雨月のうしろ姿を目で追います。「すぐ戻ってくるから」と春樹にひとこと告げて、秋彦は走り出しました。
「雨月、オイ止まれ」
「嫌だよ。止まったら別れ話するんだろ?」
ドキリとする秋彦。
「ドラム、良かったよ。相変わらず繊細そうだったけど」
振り返らずに、背を向けたまま告げる雨月の手を、秋彦はガシッと掴みました。
「俺、ヴァイオリンが好きだ。ドラムも楽しいけど、今までヴァイオリンに注いだものは嘘じゃない」
「なんだそれ。別れ話じゃねえか」
「そうだ。悪い」
何も答えない雨月に、秋彦はさらに続けます。
「今までたくさん傷つけてごめん。ありがとう」
応援してる、と短く返す雨月。その表情はまったく見えません。「もう分かったから手を離してくれ」そう言われた秋彦は、握っていた雨月の手を一度だけギュッと握って、そっと離しました。
黙って雨月に背を向け、ライブ会場に帰って行く秋彦。自分を引きとめず去って行った秋彦を思わず振り返った雨月は、大粒の涙を流していました。
しかし、追いかけようとする足は踏みとどまります。
秋彦を追わずに踏みとどまった雨月
秋彦が出て行ってから家に来ていた真冬には、自分の気持ちを話していた雨月。真冬に話した言葉を思い出していました。
雨月は、出て行った秋彦がこのまま帰ってこなかったらと何度も考えていました。しかし何度考えてもうまくイメージできません。
秋彦が帰ってこない未来を。秋彦なしで生きている自分を。
ところが、明日急に帰ってくるかもしれないと望む反面、同じくらいこの苦しみがもう終わってほしいとも思っていました。
「でもやっぱり嫌だな。この部屋に詰まってるものが全部消えちゃうのは。なにかひとつ、残らないかな」
二度と元に戻らなくても、遠くにいても、音楽だけは残ればいいのに。そう思っていたはずの雨月でしたが…。
「大丈夫」
さっきのライブを通して真冬にそう言われたような気がして、秋彦を追う雨月の足が止まったのでした。
「ばいばい、秋彦」
夜の街にひとりごちた雨月の言葉は、誰にも届くことはありませんでした。
ギヴン27話 感想まとめ
いびつなセフレ関係だった秋彦と雨月は、間接的に真冬に後押しされる形で終わりを迎えました。
問われたときは雨月にはっきりと「ヴァイオリンを捨てる」と言えなかった秋彦ですが、未練に引きずられることなく、ようやく別れを告げることができました。
雨月もまた、苦しかった思いにようやくケリをつけます。雨月が真冬から受け取った「大丈夫」は、すなわち秋彦と別れても大丈夫という意味なのでしょう。
若くして成功した天才ヴァイオリニストとして抱えていた孤独を、自分ひとりでは耐えられなかった雨月。
どうしても秋彦の手を離せず、すがって依存した状態のまま、こじらせた関係を続けてきました。しかし真冬の歌が届いて、今ひとり立ちしようとしています。
雨月の弱さは、雨月自身が乗り越えて行かなければいけないハードルです。人として、音楽家として、またひとつ成長するためにも必要な試練なのです。
共依存のような歪んだ関係ではなく、ひとりの人間として誰かと愛し合うためにも、克服すべき命題なのです。
真冬の想いが、ひとりの天才ヴァイオリニストと迷えるドラマーに届き、不毛な恋人関係に終止符を打たせてくれました。
私は、今すぐではなくとも最終的には、秋彦は雨月とくっつくといいなと思っている派なので、今回の雨月の涙は涙腺を直撃しました。
でもまだあきらめてはいません。(誰だよw)
雨月がこれから自分と向き合い、自分の弱さをひとりで克服できるようになったとき、そして秋彦もバンドで自分の音楽を余裕を持って楽しめるようになったとき、今度こそ良いパートナーとして一緒にいられるのではないかと思っています。
つまり、お互いがもう少し大人になってから再会できれば、今度はまた違った未来を2人で描けるのではないか。と信じたいです。
ただ、春樹の様子を見る限り、もしかして春樹となのか?という疑念も拭いきれず…。
春樹のことは大好きだし、絶対に幸せになってほしいけど、その相手は秋彦じゃなくてもいいんじゃないかなあ。
秋彦に春樹はもったいない!春樹ほどの男なら、秋彦みたいなクズ男じゃなくて、もっとふさわしいいい男がたくさんいるはずです。
大人組の恋愛は、もうこれ以上深堀りしないスタンスでも良さそうですよね。余韻と可能性を残す今くらいの感じで終わるのも悪くないなと思います
なんといっても4人全員まだ高校生&大学生(春樹のみ大学院生)で若いのだから。バンドが成功してメジャーデビューしてから、秋彦と雨月のスピンオフとかでも(願望)
世の中には春樹派の人のほうが多そうですが、私はやはり敢えて雨月派のままでいたいです。学生時代からのこじらせ執着愛大好きマンです。
これでお兄さん組の恋は一段落がつきました。ここからようやく高校生組へとシフトチェンジしていきそうです。立夏まだDTだもんなー。
今回の審査ステージで、歌へのポジティブな気持ちをぶつけて大きく成長した真冬。
目の前で見ていた幼馴染の柊も、真冬の変化に顔を覆って泣いていました。過去ではなく未来を見つめる真冬を見て、胸がいっぱいになったのでしょう。
春樹の失恋を知っているタケちゃんも観客席で泣いてました。タケちゃん、やっぱり超いいやつです。
次回は11/30発売のシェリプラス2019年1月号です。
それではまた「ギヴン」28話の感想でお会いしましょう。
追記)28話の感想を書きました。
ギヴン5巻28話 ネタバレ感想 キヅナツキ
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