親の立場であるはずの平田に命を狙われた矢代。その上濡れ衣を着せられて、追われる立場になってしまいます。三角さんもかばいきれず、事態はどんどんよくない方向へ。
置き去りにされた百目鬼は、やっと矢代に追いつき、離れるつもりはないという意思を伝えました。受け入れられない矢代は、百目鬼を突き放します。
いっぽう甘栗くんは、矢代に頼まれて平田を拘束していました。前回の復習はこちら。
囀る鳥は羽ばたかない6巻32話 ネタバレ感想
それでは以下、ヨネダコウ先生の「囀る鳥は羽ばたかない」33話の感想です。(※ネタバレ注意です)
囀る鳥は羽ばたかない6巻 電子書籍
囀る鳥は羽ばたかない33話 感想 ネタバレあり
俺を傷つけたいですか?
空気を読まずに車中に戻ってきた百目鬼。矢代はあきれて、一瞬無言になってしまいます。指定した倉庫に着くと、矢代はどこかに電話をして、車から降りてしまいました。
百目鬼は慌てて矢代を追いかけます。命を狙われている矢代を守るため、銃もスーツの後ろに潜ませていました。
「ここで誰と会うつもりですか?さっきの電話は…」
「あーうるせえ。お前には関係ねえ」
傷付いたか?と問う矢代。「いえ」短く答える百目鬼は、まっすぐに矢代を見つめました。
「俺を傷つけたいですか?」
「さあ」
熱が出てきてふらつく矢代を、百目鬼はすかさず支えます。硬いタイヤを枕にして横になる矢代は、百目鬼に「膝枕してくんねーの」と甘え始めました。
自分は下心があるからあまり触らないほうがいい、と膝を抱えて座る百目鬼。
「どうしてそんなことが聞けるんですか。さっきはあんなに…」
「なんだよ怒ってんのか?」
「怒ってません、いや少し…」
直前まであんなにも甘いセックスの時間を共に過ごしていた2人。なのに車の中ではあんなにも冷たく、コロコロ変わる矢代の態度に、百目鬼は頭を抱えています。
「そうだな。ついちょっと前にお前のが身体ん中に入ってたわけだし、お前の硬いしデカいし裂けるかと…」
デリカシーのかけらもない矢代の口を、百目鬼は思わず自分の手でふさいでしまいましたw
矢代の膝枕の要求に応える百目鬼
さっと手を離す百目鬼に、矢代はふたたび膝枕を要求します。結局膝枕をしてもらいご満悦の矢代。
触らないほうがいいと控えていた百目鬼も、結局は矢代のスキンシップを拒めません。
矢代は、影山医院から拝借してきた痛み止めを、器用に自分で注射します。矢代の右手が動くようになったことを、百目鬼はここで初めて気づきました。
矢代は青い顔で、まだあちこちが痛いとつぶやきます。
「色んなことしたから」
「すみません、俺が…」
「俺が?エロいことしたから?」
軽口を叩く矢代。百目鬼はその通りすぎて、何も言えなくなってしまいました。矢代の身体を案じた百目鬼は、今からでも影山医院へ行くべきだと主張します。
「人を好きになるのってお前はどんな感じだ?俺のこと聴いてるわけじゃねーから。他にもいたんだろ、そういう相手」
「あなたは他とは違います。そう言って欲しいからワザとそんな聞き方するんですか?」
「違う」
「違うなら聞かないでほしい!」
語気を強め、辛そうに顔をしかめてうつむく百目鬼の頬の傷に触れる矢代。まだ血がにじんでいて、痛々しい生傷です。
「俺にとってはこんな感じだ」
矢代にとって、人を好きになるのは痛いこと。
「妹は良かったな。お前がいて」
百目鬼が守った妹のことを口にした矢代。百目鬼は矢代に慰められたと感じたのでしょう。硬かった表情を少し崩して、わずかに気を緩めました。
トイレに立った矢代は「今さら逃げないから覗き見すんなよ」と百目鬼に釘を刺しながら、またどこかに電話をします。
戻った矢代は、煙草を吸いながら軽口を叩き、冗談にも生真面目に返す百目鬼に突っ込み返したり、和やかな雰囲気を醸し出しました。
百目鬼に銃口を向けて発砲した矢代
その時です。フラついた矢代を再び支えた百目鬼から、一瞬で銃を奪いとった矢代!百目鬼の左足を狙って、迷うことなく発砲しました。
「簡単に抑えつけられる人間に、銃口を向けられる気分はどうだ?」
足を撃たれて、思わずその場にひざまづいてしまった百目鬼は、額に銃口を押し付けられて動けません。
矢代は、致命傷にはならない程度に、だけど追ってくることができないように、巧妙に足を狙って撃ったのです。
「これでも傷つかないのか?お前を見てると無性に壊したくなる。お前が離れないからだ」
「あなたを守るために使うと決めた命です。あなたの好きにすればいい」
百目鬼は、銃口を突きつけられても動じることなく、ブレない矢代への気持ちを口にしました。
次の瞬間、銃声音が響き渡ります!
ついに平田と直接対決!
いっぽう平田を拘束した甘栗くんは、矢代の到着を待って、呑気に花札をしていました。
「お前らの望みはなんだ?」
「平田さんともあろう人が今さら餌で釣って、俺らを籠絡ですか?」
その手には乗らない甘栗くん。敢えて望みを言うなら、平田がこの先どうなるのか興味があるということだけです。
「矢代が拷問でもするって言うなら、やぶさかじゃないですがね」
ニヤ付きながら甘栗くんがさらりと怖いことを言っていると、そこへレクサスが飛び込んできました。手が自由に使えず、熱もある矢代が運転をミスったようです。
「俺が見たレクサスじゃねえ」
ボロボロになった車を見て、冷静な感想を述べる甘栗くんw
「あれっ?平田組長じゃないですか。こんなところで何してるんです?忙しいのにいいんですか?」
矢代は、たった今平田の存在に気づいたかのように、シレっと口を開きます。
「親である俺の金を盗んだあげく、こんなマネするとはな。お前もついに八方ふさがりってやつか。ただじゃ済まねえって分かってんだろ、お前もお前の部下も」
「はて。こんなパパが俺にいたかな?」
平田の苦し紛れの脅しにも、矢代は動じません。ところが何を思ったのか、矢代は2人を見守っていた甘栗くんに「平田の拘束を解け」と指示しました。
撃たれた挙句、今も豪多に狙われるハメに陥っている大ピンチな矢代。なのに、平田の手を今解放するなど、甘栗くんには理解できないことです。
「退屈はキライだって行ったよな。ぬる過ぎんぜ矢代」
甘栗くんは、せっかく面白いものが見られると思っていたのにまったく期待とは違った展開になり、捨て台詞を吐いて去って行きました。
平田自身も、自らの手の拘束を解かれたことに困惑気味です。
「人を痛めつけるのは嫌いではないんですがね。アンタにはまったく興奮しそうにない。ご期待に添えず残念です、平田さん」
右手をポケットにつっこんだまま、うっすら余裕の笑みを浮かべる矢代ですが…。
囀る鳥は羽ばたかない33話 感想まとめ
ついに、ちょこまかと悪知恵を働かせていた平田と矢代がご対面しました。
平田の両手を自由に使えるように仕向けたのは、矢代にとっては諸刃の剣ではないでしょうか。ハイリスクハイリターンです。
しかし、これから何が起こったとしても、どちらかの一方的な行為ではなく、表向きは2人は対等なポジション取りをしていたという前提が成り立ちます。
矢代のポケット右手には、百目鬼から奪った銃が握られているはずです。これで平田を…ということになるのでしょうか。
とはいえしぶとすぎる平田が、熱があって腕も思い通りでない矢代に、そう簡単に撃たれるとは思えません。矢代の身に、また何か良くないことが起こりそうでハラハラします。
ただし、平田が矢代の右手が今も動かないと信じ込んでいるなら、そこそこ油断するはずです。ここで平田と矢代は、平田の死をもって決着がつくのかもしれません。
平田と対面する直前、百目鬼に向けて銃を撃った矢代。嫌な音だけが響いていましたが、矢代には百目鬼は撃てないでしょう。
だから百目鬼も心配っちゃ心配ですが、生きているだろうと思えるので、今は矢代の方が気がかりです。
撃たれていたとしても、百目鬼はたぶん致命傷になる撃たれ方はしていないと思います。とはいえ動くことはできないはず。
つまり矢代は今、番犬も連れず完全に単独行動をとっているので超心配です。
百目鬼は忠犬だから、どこまでも矢代を追っていく…とはいえ、そのご主人様に撃たれてはそれも難しいでしょう。
ところで膝枕のくだりでは、矢代もやっぱり甘えたいんじゃん!とつっこんでしまいました。矢代のコロコロと変わる態度は、百目鬼の愛情を試していたのかもしれません。
百目鬼がどこまで付いてくるのか、どこまで自分に付いて来れるのか。しかし本当は、矢代も分かっているはずです。
何をしても何を言っても、百目鬼はもう離れないということを。どこまでも、死の果てまでも、しつこく付きまとってくるであろうということを。
だから撃つしかなかったのです。追い払っても追い払っても、空気を読まずに付いてくる忠犬を追い払うために。
愛情を感じているからこそ、平田のところへは連れて行けなかったのです。
平田vs矢代の直接対決がどんな結末を迎えるのか。百目鬼も矢代も無事でいられるのでしょうか。
緊張でドキドキしながら次号を待つしかありません。2ヶ月が長いよう。
次回は11/30発売のイァハーツ2019年1月号です。
それではまた「囀る鳥は羽ばたかない」34話の感想でお会いしましょう。
追記)34話の感想を書きました。
囀る鳥は羽ばたかない6巻34話 ネタバレ感想 ヨネダコウ
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