幼馴染以上恋人未満な微妙な関係を維持しつつ、高校生になった財前&吉利谷。ある日、争いごとに巻き込まれた吉利谷をかばって財前が鈍器で殴られてしまいます。
朦朧とする意識のなかで財前が呼んだのは、医者を目指す幼馴染の一見でした。ショックを受けた吉利谷の前に、克也組長が現れて…前回の復習はこちら。
花鳥風月8巻55話 ネタバレ感想 志水ゆき
それでは以下志水ゆき先生の「花鳥風月」8巻56話の感想です。※ネタバレ注意です。
花鳥風月8巻 電子書籍
花鳥風月56話 感想 ネタバレあり
克也さんを足にして使った吉利谷
「外は暑いだろう。乗っていくといい」
黒塗りの高級車から吉利谷に声をかけたのは、のちの組長となる克也でした。人にはしばしば、その後の人生を変えるような大きな出会いがあります。
吉利谷は少し緊張しながらも車に乗せてもらいました。やけに大人しい吉利谷に、克やは笑顔を向けます。「アンタなんかやばそーだし」とそっぽを向く吉利谷。
「俺を足の代わりに使ったのはどこのどいつだ?」
克也は笑いながら吉利谷に声をかけました。どうやらあのとき、財前を助けようと必死だった吉利谷は、2人を病院へ運んでいくように克也に頼み「ダメなら警察に通報する!」と半ば脅かしたのでした。
ただただ怪我をして流血している財前を助けたいという気持ちでしたが、実際にあの時財前を助けたのは一見です。
一見は吉利谷が連絡したあとで蘭子さんに渡りをつけ、星川先生を呼び、さらに千尋ちゃんへのフォローまで完璧にやってくれたのでした。
それでも俺は見捨てたりはしない。
吉利谷がボコボコにしたあの男は、克也がすでに対応済みでした。漁船に載せて出稼ぎに出したようです。殺してリスクを負うよりも、生かしてもうけを出すほうが得策だからです。
「普通の会社なら首になって当然だし、メンツとかケジメとかって一番うるさい世界なんじゃないんですか?」
「本当にいい度胸をしている」
克也に怖気づくことなく疑問をなげかける吉利谷に、克也は鋭い視線を向けました。
一度盃をかわせば血のつながりのない他人でも、そこからは家族。どんなろくでなしだろうが、親になったら子分を見捨てることはしない。それが克也のやり方です。
「女を殴るような最低のクズでも?」
「それでも俺は見捨てたりはしない」
克也は一番信じてはいけないし、関わってはいけない類の人だと警戒していた吉利谷。しかし、車の中で聞いた克也の言葉に、吉利谷は一縷の甘い希望を抱くのでした。
永遠に変わらない親友で幼馴染という関係
吉利谷たちが高校3年生になると、受験という現実が差し迫ってきました。ちょうどそのころ、曜明が転校してきて、吉利谷としょっちゅうつるむようになります。
財前は仲が良さげな吉利谷と曜明を見て内心複雑な思いを抱えていました。吉利谷も吉利谷で、受験勉強で親しげにしている財前と一見を見る表情がどこか切なげです。
実は夏以降、吉利谷は克也のところへ出入りするようになっていました。曜明とはもちろん克也繋がりで親しくなり、丹羽もなんだかんだ一緒に行動しています。
丹羽や曜明とつるむ時間が増えたいっぽうで、志望大学の違う財前や一見とは少しずつ一緒に過ごす時間が減っていました。
小学生のときに出会ってから10年。受験を理由に初めてクリスマスと正月を別々にすごし、ついに財前の受験が終わります。結果はもちろん合格。
共有する時間や距離が開いても、会えばまた一瞬で出会ったころのように、幼馴染や親友の空気に戻れます。それは「友達」というポジションを望んで選択したからに他なりません。
この関係は永遠に変わらない。吉利谷はそう信じていました。
ずっと友達だよな?
高校の卒業式を迎え、財前は進学のために世話になった茂美さんの家から引っ越すことになります。荷物を運び出した後で雪が降り始めると、そんな悪天候の中で吉利谷が急に遊びにやってきました。
「今日で最後じゃん?この家で一緒にいられるのもさ」
思い出のつまった家を出る財前。吉利谷も居心地がよく、この家にはずっといりびたっていました。ちょうど茂美さんは温泉旅行、千尋ちゃんは友達の家に泊まりに行っているので2人きりです。
引っ越しのため1組しかない布団で、最後の夜を一緒に過ごす吉利谷と財前。
「なあ、くっついていいか?」
バックハグでくっついて甘えてくる吉利谷に、財前は何も言うことができませんでした。「今からすげー恥ずかしいこと言ってもいいか?」静寂の中、吉利谷が口を開きます。
「ずっと友達だよな?離れて会えなくなっても、俺らの関係はずっと続いていくよな?」
なんの戸惑いも躊躇もなく一緒に寝られるのは「友達」だから。それ以外の意味はない。そう思うと財前は涙があふれてきます。
「今さら何言ってんだ。当たり前だろう?」
お互いに顔の見えない暗がりで、吉利谷も財前も切なく互いを想い合います。ところが翌日、財前が目覚めると、吉利谷はすでにいなくなっていました。
そしてこの日を境に、吉利谷は財前の前から姿を消します。
花鳥風月56話感想まとめ
あ~~両片思いが切ないつらい!でもいいですね幼馴染の微妙な関係って。吉利谷は、怪我をした財前が一見を呼んだことで、財前は一見を想っているとほんのり考えているのでしょう。
ところで今回、高校生の曜明が出てきてホクホクしました。丹羽はまあ予想通りですけどw克也さんのところに出入りするようになって、自然と吉利谷は曜明と学校でも一緒にいることが増えていきます。
ただ、つるむ仲間が変わっても、子供の頃からの親友は親友のまま。変わらない吉利谷と財前(と一見)の絆がすてきでジーンとしました。
吉利谷は自分を捨てた父親を思い出して、克也さんに理想の父親像を見ているのでしょう。
ダメ押しのように財前に「友達確認」をしてから姿を消した吉利谷は、憧れの克也さんのところで盃を交わして、その世界で揉まれているはずです。
来月から「駆け出しの大人になる」そうなので、何年か会えないまま再会したときに、どんな感じになっているのか気になります。
どうやって財前と再会するのかも楽しみですね。財前が弁護士になってからかな。一見はどれくらい絡んでくるのでしょうか。
次回は11/14発売のディアプラス12月号です。
それではまた「花鳥風月」57話でお会いしましょう。
追記)57話の感想を書きました。
花鳥風月8巻57話 ネタバレ感想 志水ゆき
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