明虎と出会って恋におちた卯一。花村一家の家族になりたくて、株で金を稼ぐことで貢献し、明虎に認めてもらおうと動き始めます。
明虎の妻の麻巳とも知り合い、用意された部屋でひとり誕生日を迎えていると、そこへ雑煮を持って明虎がやってきました。前回の復習はこちら。
ジェラシー3巻12話ネタバレ感想 スカーレット・ベリ子
それでは以下「ジェラシー」13話のネタバレ感想です。
ジェラシー3巻 電子書籍
ジェラシー3巻13話感想 ネタバレあり
俺を出し抜くくらいのことやってみろよ
卯一は明虎のいなくなった部屋で、麻巳の作ったお雑煮を食べはじめます。なにこれまずい!と悪態をつきながら、全部ぺろっと食べてしまい、大きなため息をつきました。
松見からの呼び出しのためマンションを出て行った明虎は、その香りだけを残して行き、卯一はちょっぴり切なくなるのでした。
いっぽう浅生田の運転で、松見のところへ向かう明虎は落ち着いています。正月早々の呼び出し。タイミング的には、代議士の宮川から奪い取ってきた金塊の話しかありません。
自分の調査が足りなかったと自己反省する浅生田に明虎は「なんでも自分のせいにするなよ」とたしなめます。
しかし真面目で神経質な浅生田は、明虎のちょっとしたジョークにも笑うことなどできないのでした。
「明日世界が滅亡するときにでも明日に向けて備えるのか?何もかも放り出して好きなことするだろ?」
明虎は、少しは手を抜くことを覚えないとパンクするぞと、やんわりと忠告しました。誠実なのはいいけれどズルをすることも覚えなければいけないのが893の世界。
「俺を出し抜くくらいのことやってみろよ。怒らないから」
「私は明日世界が滅ぶとしても、与えられた使命を全うします。何を犠牲にしても、あらゆる方法を模索してあなたをお守りします」
頭の固い浅生田の言葉に「怖いやつに惚れられた」と明虎は笑みを浮かべるのでした。浅生田への最大の賛辞です。
思考停止した人間ほど無様なものはない
事務所に鎮座していた松見は、明虎のことを「坊ちゃん」呼びで対応します。浅生田は内心ムッとしますが、明虎はまったく気にも留めていません。
金塊のことはこちらでうまくまとめておく、と告げる松見。
「家族じゃありませんか」
もっともらしく家族という単語を持ち出す松見に、明虎は警戒心を緩めません。明虎と2人で話したいと部下を追い払う松見は、浅生田にも下がるように命じます。
しかし浅生田は、明虎の命令がないため動きません。信頼関係ができあがっている明虎と浅生田に、松見の部下はキレぎみです。
ところが脅しても決して屈しない浅生田は、その場から離れることはありませんでした。
明虎は、部下に対して、誰かの言いなりではなく常に自分の頭で考えて行動するように言ってあります。
他人を崇拝するあまり、思考停止してしまった人間ほど無様なものはありません。松見はそんな明虎に、不気味な笑みを崩そうとはしませんでした。
君が彼をコントロールしなさい
「坊ちゃんは何が気に入らなくて会長に抵抗するのですか?」
松見は単刀直入に、父親に反抗する明虎に質問します。893の世界では親というものは神様と同じ。この世界に足を踏み入れた中で父親に抵抗する明虎に、松見は単純に興味がありました。
明虎の父には仁義が抜け落ちています。なのにそれを人に押し付ける父親を「自分の手で潰したい」と明虎はハッキリと告げました。
これには、そばで聞いていた浅生田も驚きます。本来思っていても、本家の幹部の前では口にすべきではない台詞で、堂々と宣戦布告する明虎に、浅生田は青くなってしまいました。
去って行く松見を追いかけ、明虎の本心ではないと慌てて告げる浅生田。しかし松見には、あれが明虎の本心だと悟っていました。
松見は、明虎が小さいころから十数年、本家で一緒に生活してきたのです。明虎の性格は、ある程度は把握していました。
「君も苦労しているだろう、よほど慕っているんだね」
「親を守るのは当然のことですから」
「君の親は花村組長だろう?」
思わず明虎を「親」と言ってしまった浅生田。しかし建前上、浅生田の親は花村組長なのです。松見の誘導尋問にひっかかってしまった浅生田は、なにもかも見透かされていることに焦ります。
「彼のやっていることは極道のルールに背くことだらけだ。実直な君にとって、彼といることは相当な葛藤があるだろうね」
浅生田の苦労を見越して、優しげな言葉をかける松見。
「まさか本気で、自分たちに勝ち目があるとは思ってないだろう?君が彼をコントロールしなさい」
この世界では、無茶な組長のせいで、組ごとつぶされるということはよくあること。松見は、浅生田が明虎をうまくコントロールするよう巧みにけしかけたのでした。
浅生田はその場で返事はできず、考え込んでしまいます。いっぽう明虎は、会話の内容は聞こえないものの、事務所の上から2人の様子を静かに見つめていました。
浅生田と卯一に友情が!?と思いきや
浅生田が卯一のマンションに寄ると、卯一がまさに明日の朝一で株の空売りをするように指示を出しているところでした。
麻巳の重箱を取りに来た浅生田は、珍しく卯一に優しい言葉をかけます。風邪を引かないように風呂を入れたり、彼らしくない行動をとる浅生田に、戸惑い気味の卯一。
地上げを手伝ってもらった借りがある、と淡々と告げる浅生田。
「それに友達なんだろ」
背を向けたまま浅生田は、さらにらしくない言葉を口にします。卯一はこれまで持ったことのない「友達」に、ちょっと照れて、買っておいた焼きそばをプレゼントしました。
明虎をめぐる男2人い友情が芽生え始めた…かと思いきや、浅生田は卯一には黙って、先ほど卯一がかけていた証券会社にリダイヤルで電話をします。
間違い電話を装って、担当者の名前を聞き出す浅生田。卯一はそうとは知らず、お風呂でご機嫌です。
「僕が花村組に入ったらさ、僕のこと好きに使っていいからね」
すっかり懐柔された様子の卯一。しかし浅生田は、去り際の車から、苦々しい表情で卯一にもらった焼きそばを投げ捨てるのでした。
ジェラシー13話 感想まとめ
卯一、はじめてのともだちゲット!?かと思ったら、そんな簡単な話ではありませんでした。そりゃそうだ。
考えてみれば、突然現れた嵐のような卯一の登場に、浅生田の胸中は穏やかではありませんでしたよね。彼が現れて明虎と絡みはじめた当初からずっと。
真面目すぎる性格に「俺を出し抜いてみろ」などと明虎にまで言われてしまう浅生田ですが、こういう人が片腕としてそばにいるから明虎も自由に動けるのです。
浅生田が松見の誘惑に簡単には乗っからないと思うし、明虎をコントロールできる器が浅生田にあるとは、本人が一番思っていないのではないでしょうか。
とはいえ「組のため」という松見の巧みな言葉や、卯一の登場によって薄くなったような自分の存在感に、葛藤が生じているのも確かです。
卯一の株への投資を妨害するためか監視するためか、証券会社の担当者を調べたり、浅生田なりに動いています。
生真面目で融通のきかない浅生田の選択がどうなるのか、卯一への嫉妬や羨望などの感情が、その判断を鈍らせないことを祈るばかりです。
個人的には浅生田は、松見の言葉にギリギリまで悩んで迷っても、最終的には明虎を裏切るようなことは決してできない性格でしょうから、たぶん大丈夫だろうと思ってはいますが。
次回は3/30発売のシェリプラス2019年5月号です。3月号は1回お休みです。
それではまた「ジェラシー」14話の感想でお会いしましょう。
追記)14話の感想を書きました。
ジェラシー3巻14話ネタバレ感想
スカーレット・ベリ子先生のBLコミックス
スカベリ先生へのインタビューはこちら。大和辰之の衝撃の事実が明らかになります。
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