抱かれたい男1位に脅されています23話の感想です。コミックス6巻のネタバレになるのでお気をつけください。

昨日の敵は今日の友達と、フラメンコダンサーのアントニオのところへ弟子入り(?)した高人。しかしアントニオには、チュン太とのコミュニケーション不足を指摘されてしまいます。

子どもの頃からチュン太を知っているアントニオは、チュン太が高人のことを、高人が想っている以上に大切にしていると気づいていました。前回の復習はこちら。

抱かれたい男1位に脅されています6巻22話 ネタバレ感想 桜日梯子

それでは以下「抱かれたい男1位に脅されています」23話の感想です。※ネタバレ注意です。

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抱かれたい男1位に脅されています6巻23話 感想 ネタバレあり


チュン太の中では何も起こらなかった。


身体がギシギシになるまでフラメンコダンスを教えてもらった高人は、アントニオの元を出て行きます。たった1日のレッスンですが、高人が殻を破れたかどうかはまだ分かりません。

だけど何かふっきれたような表情の高人は清々しそうです。高人はセレスさんのお店に向かいますが、チュン太はおつかいに出て留守。

セレスさんは家に招き入れ、高人にチュン太のこと、そして自分のことを話してくれました。

セレスさんの娘夫婦、つまりチュン太の両親は、日本で起業して忙しくはあるものの、裕福な暮らしをしています。家庭も円満で特に問題もありません。

チュン太自身も子どものころから目立つ容姿で、たくさんの人に囲まれて育ってきました。しいていうなら、チュン太の中では何も起こらず、平坦な暮らしを送っていたのです。

そういうところはセレスさんの血を受け継いでいました。セレスさんも若い頃、不満はないものの、ただ漠然とした浮遊感だけがあって、その理由を探しては街に降りて、フラメンコを踊って日銭を稼いで暮らしていたのです。

足りないときは、その美しい容姿に寄ってくる婦人たちの好意をもらったりして、特に生活に困ることもなかったセレスさん。

そんな折、出会いがしらに猛烈に絡んでくる日本人の女性(ヤチヨさん)が現れます。

「私、あなたの踊りすごく好き!いえ、あなたのことが大好きだわ!あなたを私に描かせて!」

たくましい女性だったヤチヨさん


その後もセレスさんの稼ぎ場を見つけてはなぜか現れるヤチヨに、セレスさんはゾッとしていました。チュン太のストーカー気質は、どうやらおばあさんの血を受け継いだようですw

はじめは旅行客の戯れだろうと、ヤチヨさんを邪険に扱っていたセレスさん。

しかし実はヤチヨさんは、日本でいいところのお嬢さんだったのに、それを捨てて画家になるため単身スペインに渡ってきたというたくましい女性なのでした。

セレスさんは、帰る場所もないのにこんなにもまっすぐに立っていられるヤチヨさんのことが、少しずつ気になっていきます。

どれだけ足元を踏み鳴らしても、白紙のままでまるで自分がそこにいる実感が持てずフラフラしていたセレス。

ある日、暇な奥様の相手をしていると、旦那が乗り込んできて殴られてしまいます。

ボコボコの顔のまま街に佇んでいると、またしてもセレスの居場所をかぎつけてきたヤチヨが、1枚の絵を見せてくれました。

ヤチヨさんの絵はドへたくそだったw


「私の心を駆り立ててやまないあなた」

そんなタイトルの絵に、セレスさんは思わず呆けてしまいました。その後一緒にグラナダを出たセレスさんとヤチヨさんは、結婚して共に暮らし始めます。

「高人、チュン太に気づかせてあげてくれないかな。ようやく出会えたかけがえのないものに怯えている場合じゃない。残念ながら時間は永遠じゃない。すれ違っていてはもったいないからね」

高人に淡々と告げるセレスさんは、穏やかで幸せそうな表情でした。

「その時見たヤチヨさんの描いた絵を見てみたかったです」

ヤチヨの描いたセレスの絵に興味を持った高人に、セレスさんはある絵を指さします。そこにあったのは激ウマ絵!…ではなく、子どもが書いたようなラクガキ絵w

「ド下手くそなんだ」

セレスさんも一目見て呆けてしまったその絵は、それでもヤチヨさんの精いっぱいの気持ちが込められているのでした。

セレスさんから「チュン太は展望台にいる」と聞いた高人は、その場所へと向かいます。ひとりでたたずむチュン太を見つけた高人は、口を開きました。

「車出してくれ。グラナダサクラモンテの丘まで」

感想まとめ


セレスさんとヤチヨさんの関係がすごく良くて、恋の効能ってこういうものなんじゃないかなと思ってしまいました。

ヤチヨさんももしかすると、日本でぬくぬくと暮らしている時には埋まらない心の空洞を抱えたまま絵を描き続け、ついに飛び出してスペインまでやってきたのかもしれません。

そしてセレスさんという「描かずにはいられない被写体」を見つけてしまいました。

セレスさんはセレスさんで、ずっと抱えていた説明のできない心の空洞に、ヤチヨさんという生き方やその存在がすっぽりとハマったのです。

心を駆り立てる何かを持っている人を見つけた2人。そうやって、お互いになくてはならないものとなっていきました。

それにしてもヤチヨさんの絵!オチが秀逸ですwいや、オチといってはいけないかもしれません。

ヤチヨさんは、超絶技巧の上手さを持っている絵描きというわけではなく、ただただ純粋に描くことが好きだったんですね。絵のうまさに勝る情熱が、彼女を突き動かしました。

大切なのは技術ではなくてハートとパッション。芸術の世界の難しくもあり素晴らしくもある所以です。

好きなものを好きだと素直に言って、日本を飛び出してしまえるヤチヨさんの行動力や性格がとても魅力的です。ストーカー気質が孫のチュン太に見事に受け継がれているのもさすがw

幼少期のチュン太の中で「何も起こらなかった」というのは、マグマのような不満を抱えるでもなく、淡々とした暮らしの中で、どうにも居場所が定まらないような虚無感が心に広がっていたということなのでしょう。

熱くなれる何かがあるわけでもなく、かといって何が不満というわけでもなく、からっぽのまま周囲に迎合して過ごしていた昔のチュン太。

それが、高人というかけがえのない人を見つけてからは、仕事にも暮らしにも生き生きとし始めて、自分を磨く術を見つけました。恋が人を成長させたのです。

チュン太と高人、セレスさんとヤチヨさん。2組のカップルの在り方が重なって、リンクするような描写に舌を巻いてしまいました。

さあ、アントニオにスパッとコミュニケーション不足を指摘された高人。腹をくくった高人は、グラナダの丘でチュン太に何を語るのでしょうか。

次回は1/7発売のマガジンビーボーイ2月号です。

それではまた次回の感想でお会いしましょう。

追記)24話の感想を書きました。

抱かれたい男1位に脅されています6巻24話 ネタバレ感想

桜日梯子先生のBLコミックス




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