零の修学旅行でカナダまで付いて行ったハル。ハルの心の奥底には「誰かに愛されたい」という強い渇望があり、零にも異常なほどの執着を見せているのでした。
いっぽうカナダでは古高先生のお兄さんが、かつて零と顔見知りだったことが判明します。古高兄は零と関わり、すでに亡くなっていました。前回の復習はこちら。
スーパーラヴァーズ(SUPER LOVERS)12巻37話 ネタバレ感想 あべ美幸
それでは以下、あべ美幸先生の「SUPER LOVERS(スーパーラバーズ)」38話の感想です。ネタバレ注意です。
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SUPER LOVERS 38話感想 ネタバレあり
古高兄との最後の言葉
春子さんのところへ来てからも、なかなか夜に寝つけなかったことを思い出す零。眠るのが怖かったあの頃。しかし今は、夜ハルと出会ってからは、眠ることが怖くなくなっていました。
零の通う高校のヤギ部では、母親に無視される子ヤギがいることが話題になっていました。親に無視されても無事に育つのか。零は時分と子ヤギを重ねて考えています。
放課後、古高先生と日本語の勉強をしている零は、ふと子どもの頃に記憶が中途半端でスッキリしないとこぼします。
「何を思い出したいの?」
「言葉。彼に言われた言葉を俺は思い出さなくちゃいけない」
彼とはおそらく亡くなった古高先生の兄のこと。零が最後に彼と交わした最後の言葉を、零は思い出したいと願っていました。
幹子さんからのお願いごととは
ハルはお店に来た幹子さんから頼まれごとを断っていました。ハルが幹子さんのお願いを断るなんて珍しいことです。
幹子さんからの「頼みごと」とは、ハルの瞳の色を模したコンタクトレンズを作りたいというコンタクトメーカーからのモデルのお誘いでした。
ハルの瞳に入る光の加減や本人の感情の高ぶりで、微妙に変わる目の色合い。これを再現するのはおそらくとても難しいことです。
しかし技術的に可能なら、カラコンとしてほしがる人がいるのは気持ちとしては理解できるものでした。
全くその気のないハルに、幹子さんはここぞとばかりに交換条件を提示してきました。
「引き受けてくれたら、この家を公示価格の10分の1で売ってあげる」
春子さんの父親譲りのハルの瞳
幹子さんの頼みに即答は避けたハル。双子の弟たちも「10分の1」という価格に驚いています。しかし渋い顔のハル。実は瞳に関してはハルの地雷なのでした。
出会ったばかりの頃、なにげなく瞳の色を指摘した零も「じーさん譲りだからしょーがないだろ!」と大声で返されたことがあったのです。
それ以来、瞳の色については鬼門で、零はノータッチを貫いていました。ハルは瞳の色を含む自分の整った外見に昔からコンプレックスがあるようです。
春子さんの父親譲りのハルの瞳。春子さんと父親も仲はあまり良くありませんでした。それもあって、ハルは瞳の話をすると機嫌が悪くなるのです。
いっぽうカナダから帰ってから、子供の頃の施設の夢を見てはうなされる零。ハルはそんな零を気遣って、森先生に相談すべきかどうかひとり迷うのでした。
ハルと零の兄弟にかかっている呪い
結局、森先生に出張で零をカウンセリングしてくれるように頼んだハル。
子どもの頃の思い出は楽しい。故郷は懐かしい。
そんなことを感じ入る年齢ではないのに、そう思い込もうとしている自分には気づかない零を、森先生は心配していました。
(この兄弟は2人とも、同じ呪いにかかっている)
そう感じる森先生は、ハルと零が似ていると指摘します。
「2人とも責任感が強くて愛情深い。だから自分自身の呪いに気づかない」
森先生の言葉の意味が分からないハル。
「君たち兄弟にかかっている呪いの正体は、罪悪感だよ」
自分のせいで誰かを不幸にしたと思っている罪悪感。それはハルと零にとって、重い重い足かせになっているのでした。
君は必ず愛される
零は古高先生の家を訪れます。
「お前に呪いをかけてやる!お前のことなんて誰も好きにならない!絶対に愛されない!」
施設の子どもに言われたセリフを思い出した零。しかしその時、そばにいてかばってくれた人がいました。古高先生のお兄さんです。
古高先生がお兄さんの声とそっくりなので、当時の言葉を思い出した零は、お兄さんに言われた言葉を思い出しました。
「零には俺が別の呪いをかけてやるよ。君は必ず愛される」
学校では親が育児放棄した子ヤギを、別のメスヤギが世話をしている姿が目撃されます。本当の親じゃなくても親代わりになってくれる人はいる。
古高先生は、零の言葉を聞いて、新たな1歩を踏み出そうと決意しました。どうやら高校を辞めて、シアトルの大学に戻るようです。
国語の個人授業が受けられなくなった零は、榎本からの申し出で、榎本に個人授業を受けることになりました。
いつの間にか仲良く(?)なっている零と榎本に、おいてけぼりの同級生黒崎の絶叫がこだまするのでした。
スーパーラバーズ38話 感想まとめ
古高先生のお兄さんが、零にかけた呪いがとても温かくて素敵な言葉だったので、ホッとしたしジーンときました。
呪いと聞くと、なんとなくネガティブで怖いものを連想してしまいますが「君は必ず愛される」だなんて、こんな素敵な呪い文句は他にありません。
零も施設の子どもに酷い言葉をかけられたところで、かばってくれる大人がそばにいてくれて、かなり救われたんじゃないかな。
この後すぐお兄さんが亡くなったのはとても悲しいし残念ですが、零はこの幸せな呪いをかけられたことで、その時はよく分からなくても、今まさに思い出して、幸せを感じたのではないでしょうか。
古高先生も、家庭の事情もあり、零を見ているだけでお兄さんのことを思い出して、随分長く苦しんだと思います。これでふっきれて、シアトルで生き生きと自分の人生を送れるといいですね。
ハルのコンタクトの話はともかく、家は買う方向にはならないんじゃないかなあ。
私はハルと零は、森先生がいうように、狭い日本で生きるのではなく、双子が就職したら2人で海外に渡って暮らすのが自由な2人の性分に合っているのではないかなと思いました。
次回は2019年4月下旬発売のエメラルド春の号です。
それではまたスーパーラバーズ39話の感想でお会いしましょう。
追記)39話の感想を書きました。
スーパーラヴァーズ(SUPER LOVERS)13巻39話 ネタバレ感想
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