スペイン修行中、セレスさんからチュン太の幼少期について聞く高人。チュン太は特に大きく心を揺さぶられることなく、淡々と生きる少年でした。
セレスさんと妻ヤチヨさんの馴れ初めも強烈なインパクトを残すなか、覚悟を決めた高人はチュン太に会いに行って…。前回の復習はこちら。
抱かれたい男1位に脅されています6巻23話 ネタバレ感想
それでは以下「抱かれたい男1位に脅されています」24話の感想です。※ネタバレ注意です。
抱かれたい男1位に脅されています6巻 電子配信
抱かれたい男1位に脅されています6巻24話 感想 ネタバレあり
たった一人に出会ってしまったチュン太
ケースの中でぐるぐると回る電車のジオラマを見て、自分の世界がこれなのだと感じていた幼き日のジュン太。
ジオラマとは、ただただ右に回り続けるだけの平穏な世界。そこに何の感情も存在しません。
まわりの子どもたちは感情を大きく揺さぶられながら暮らしているのに、何を聞いても誰を見ても熱くなることがなかったチュン太は、ただただ日々を淡々と暮らしていました。
女の子に告白されて、嫌いじゃないから付き合いをOKしたら、泣いて喜んでいた彼女。そんな子を見ると、ますますジオラマが自分なのだと痛感してしまいます。
きっともうあの閉ざされた世界で走り続ける電車のように、ただただ呼吸をして生きていくのだろう。あきらめの境地だったチュン太は、たった一人に出会ってしまいます。
自分の世界が一変してしまうたったひとりと。
俺の想い、見せてやるよ
「俺の想い、見せてやるよ」
覚悟を決めた高人に頼まれ、サクロモンテに行くチュン太。高人は街に根付いたバルを訪れ、スペイン語で踊りを見せてほしいと頼みます。
高人は、まずはそれが礼儀だろうと、セレスさんにこのスペイン語だけは教えてもらっていたのでした。チュン太が生まれ育った国スペイン。高人は「いずれスペイン語もマスターしてやるよ」とさらりとチュン太に告げます。
店はすでに老若男女の踊る人たちの熱気であふれていました。
この土地の人たちにとって、フラメンコというものは、心に根付いたとても大切なものなのだと分かるような、飾り気がなくて生々しい踊りです。
すると、高齢の着飾ったおばあさんが「花婿と踊る」と言って立ち上がります。その花婿に選ばれたのは、チュン太。おばあさんは毎回好みの男を見つけては、花婿にしたてて踊っているおちゃめな人でした。
話を合わせるチュン太ですが、おばあさんはチュン太の顔を見るなり「この目は浮気をしている!心をどこに持っていかれたんだい!?」とダメだしします。
高人へ視線を向けたチュン太を目ざとく見つけ「花婿に色目を使うとはとんだアバズレだ!私と勝負しなさい!」おばあさんは怒り心頭に高人を挑発するのでした。
お前のためだけに踊ってやるよ
高人は怯まず、むしろ話に乗っかって踊りで受けて立ちます。そしてぼそっとチュン太に宣言するのでした。
「お前のためだけに踊ってやるよ」
できそこないが大嫌いだった高人。正確なレールを引いて、その上を完ぺきに走りきる。それが高人が選んできた俳優西條高人という役者でした。その在り方にも誇りを持っています。
でも今ここで見せる踊りは、台本を持たない、ただただチュン太を想うだけの西條高人。
頭より先に感情が動いて、溺れているように無様。想えば想うほど、ひとつも自分がままならない。もどかしくて悔しい。
でもなチュン太。こんなにも俺はお前を想わずにはいられない。
チュン太の目の前で、チュン太だけを想って踊る高人。踊り終えると周囲からも自然と拍手が沸き起こります。
チュン太は、息を切らせて自分のところへと戻ってきた高人から、目が離せなくなってしまいました。
「あなたって人は…。頭がおかしくなりそうだ…!」
「お互い様だろ」
ずっと一緒じゃだめだ
たまらなくなったチュン太は、お姫様だっこで高人をひとけのない路地へと連れ込みます。お互いに激しい息遣いのまま求めあう2人。
月明かりが動物のようにぶつかる2人を照らします。激しくぶつかりあった後、眠ってしまった高人がふと目覚めると、朝日が昇り始める時間になっていました。
「この丘には祖父に何度か連れてきてもらったことがあるんです。こんなに綺麗な風景だったかなあ」
高人に出会うまでは、空っぽのままだったチュン太。いろんなことを経験しても、それがなぜなのか、理由は分かりませんでした。
何か理由があればもっと足掻きようもあったのに、チュン太はその理由すら持っていませんでした。
いつしかチュン太は、自分には世界と交わる心がないのだと諦めて生きていました。でも違いました。チュン太にもちゃんとあったのです。心を揺さぶられるものが。
「こんなにも世界は鮮やかなんだと、たった一人が一瞬で教えてくれた」
恋をするとこんなにも弱くなるということも。失うのが怖くなるということも。
泣きながら告白するチュン太を、高人は見つめます。別れようと言われたときも、チュン太は目の前がぐちゃぐちゃになってしまいました。でももう二度と言わないと、高人が約束してくれます。
「この先ずっと一緒に生きるためには、ずっと一緒じゃだめだ」
そっと抱きしめて口を開く高人。
「でも俺は絶対にお前の元に戻ってくるし、お前も帰ってこい」
高人も失うのが怖くて弱くなってしまいました。でもその弱さは、チュン太と生きていくためための弱さなのです。
高人の覚悟と落ち着きに、改めて「好きです」と告白するチュン太。高人も同じ言葉を返して2人はキスを交わすのでした。
健在だったヤチヨさん
セレスさんの店に戻った高人とチュン太はどこか晴れやかな表情です。そんな2人を見ただけで、聡いセレスさんは2人の関係がよくなったのだと感じとっていました。
経験を積み余裕のあるセレスさんに、チュン太はまだまだ敵いません。そこへなんとセレスさんの妻ヤチヨさんが現れました。どうやらヤチヨさんは旅行に行っていただけだったようです。
話の流れでヤチヨさんはもう亡くなっているのかと思っていた高人は驚いてしまいますwセレスさんは、高人に聞こえるように「Mi tesoro(ミテゾーロ)」という言葉を口にしました。
「Mi tesoro(ミテゾーロ)」とは「私の宝物」という意味です。なんとなくその言葉に覚えがあった高人は、はたと気づきました。チュン太の指輪に彫ってあった言葉です。
「バレちゃいました」
天使の笑顔のチュン太ですが、高人は真っ赤になってしまいます。照れすぎて爆発しかけている高人に、いつも通りにかみ合わない会話でいちゃつくチュン太。そんな2人をセレスさんはあたたかい目で見つめるのでした。
しばらくスペインに滞在したのち、帰国することになった2人。アントニオと高人はなぜか少しだけ分かりあった(?)ような雰囲気で再会を約束します。
帰国便の飛行機のなかで、チュン太は自分の指輪にへたくそに彫られた「Mi tesoro」の文字に気づきました。高人の気持ちを嬉しく思うチュン太。
(あなたを想うことのできるこの世界は、苦しくて幸せで、こんなにも綺麗だ)
感想まとめ
スペイン編はここでおしまいです。ヤチヨさんがご健在で何より。なんとなくそういうオチかな?とは思っていましたがw
別れ際、高人に絵をプレゼントすると言ってくれたヤチヨさんに、高人とセレスさんとチュン太が3人とも微妙な笑みを張り付けていたのが楽しかったです。優しい世界っていいな。
セレスさんがチュン太に久しぶりにどの花が好きかを聞いたとき「オレンジの花」とたったひとつを刺して言ったチュン太の満足気な表情がとても印象的でした。
たったひとりに出会えたことで、からっぽで虚無だったチュン太の人生が動き出して、少しずつ色づき始めたんですね。モノクロだった世界が、一気にカラーに染まっていったのでしょう。
セレスさんの人生がヤチヨさんに出会って変わったように、あきらめていたチュン太の世界が、高人に出会ってからカラフルに鮮やかに輝きだしてがらりと変わって行きました。
今回のエロシーンが、2人の息遣いだけで描かれていて、無我夢中で求めあう男たちの姿が生々しくてドキドキしました。言葉なんていらない2人だけの濃密な世界。
日本の俳優という肩書がさほど通じない海外、かつ野外というシチュエーションもあって、野性味あふれる迫力のシーンでした。
「ずっと一緒にいるためにはずっと一緒ではだめ」
高人が年上の先輩らしく、不安だと涙するチュン太を抱きしめて言った言葉も、温かくて力強かったです。
チュン太の異様なストーキング癖や、高人を縛り付けるような執着心は、失うのが怖いという不安からくるものです。しかし本来、人は不安を抱えながら生きるもの。
チュン太が不安との付き合い方を覚えなければ、芸能人として、大人として、いずれ共倒れになる可能性があります。
愛だの恋だのと騒ぐときを終えて、高人もチュン太も変わらなければいけない時期に突入しました。チュン太はもっと高人を信じる必要があり、高人はそれをスペインの地で伝えることに成功します。
フラメンコダンスを通じて手ごたえを掴んだ高人が、先輩らしく、一足先に変わろうとするきっかけを見つけました。
器用そうに見えて実は不器用なチュン太が、帰国後に高人と演じる2人芝居の中で、それにどうやって応えていくのでしょうか。
次回は2/7発売のマガジンビーボーイ3月号です。
それではまた次回の感想でお会いしましょう。
追記)感想を書きました。
抱かれたい男1位に脅されています新章プロローグ ネタバレ感想 桜日梯子
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