ルカと真矢の関係にもやもやする気持ちを抑えきれないネムは、いったん真矢と冷却期間を置くことにします。ショックを受ける真矢はなすすべがありません。
いつも強気な真矢だったはずですが、今回のことではすっかり病んでしまい、ほぼ廃人同様のありさまです。同居人の直也も困惑ぎみで…。前回の復習はこちら。
酷くしないで9巻2話 ネタバレ感想 ねこ田米蔵
それでは以下、ねこ田米蔵先生の「酷くしないで」9巻3話の感想です。※ネタバレ注意です。
酷くしないで9巻 電子書籍
酷くしないで9巻3話 感想 ネタバレあり
捨てられた野良犬のような廃人真矢
「濡れた野良犬みたいな匂いさせてる」
学食で話す直也の言葉に、彰と沖野くんは絶句してしまいます。なんでも真矢は、ネムに距離を置かれて以来、ずっとふさぎ込んで部屋から出てこないのでした。
食事もろくに食べず、お風呂にも入らず着替えもせず、仕事も休みっぱなし。直也はどうしようもなくて頭を抱えていました。しかし様子を見に行くと言う彰に、直也はきっぱりと拒絶します。
「失恋してスネてるだけだしほっとけばいい。彰がそうやってアイツをかまい倒すなら、あいつを追い出すからね」
分かりやすい焼きもちを焼く直也に、彰は呆れ気味です。いっぽうネムの方は、沖野くんいわく「元気はないけどフツー」な状態のようでした。
「真矢のことを好きだからこそ一緒にいるのが苦しい」と沖野くんには漏らしていたネム。直也はそれを聞いて「青春だね」と微笑みました。
相手を尊重しながら恋愛するタイプのネムは、秀幸とのギャップを埋めるのに真面目に考えすぎているのでしょう。
しかし彰はそんな2人のことを、好きあっていても折り合いがつかなくて別れることもあるからと、ひどく心配していました。直也はそんな彰を見て内心穏やかではありません。
とはいえ、お兄さん2人がどんなに心配しても、結局はすべて本人達の問題です。直也はため息をつきながら、真矢の世話をすることに決めたのでした。
野良真矢をシャンプーしてくれる直也
自宅に戻った直也は、トイレに出てきた瞬間の真矢をとっつかまえ、強引にフロに引きずって行きシャンプーをさせます。
真矢はもう意気消沈しているため、多少の暴言を吐くくらいで、直也にロクに抵抗もできないありさまです。
「今のお前を見たら隆くんもドン引きだな」
「どーせもう会わねーし…」
「完全に別れたのか?」
「知らねーよ。どーせアイツん中じゃもう終わってんだろ」
ため息をつく直也の言いなりになってお風呂に入らされた真矢は、うつむいたまま投げやりに口を開きます。髭もそらず、やせ細った身体はげっそりしていました。
「ああいう子はうやむやが一番苦手だろ。ハッキリ白黒つけたがるから、今も必死で答えを探してると思うけど?」
シャンプーの手を休めない直也は、さらに口にしました。
「ちゃんと答えを出して会いに来た隆くんが、今の腐ったお前を見たら今度こそ幻滅するぞ」
弱った真矢に心底がっかりするルカ
「まだ希望あるのかな…」
はじめて直也の方をふりむく真矢。
「それは知らん。でも答えが出てから死んでも遅くないんじゃないか?」
直也は、ルカとの仕事も放りだしている真矢に「責任を持て」と叱咤激励します。真矢はそこでようやく希望を見つけて立ち直ったようでした。
次の日、真矢は迷惑をかけた職場の人たちに頭を下げて謝罪します。しかしこの数日間、無断で仕事をすっぽかした代償は大きく、そう簡単には元の場所には戻れません。
真矢は「雑用でもなんでもやります」とすべてを受け入れる覚悟でいました。
ルカは真矢が戻って嬉しそうです。しかしネムとダメになりそうになり、今やっと立っていられる状態の真矢を見て、心底ガッカリしてしまうのでした。
(俺の体はこんなだったか?こいつは誰だ?)
真矢の状態を想像できないネム
そのころネムは沖野くんの家でくつろいでいました。ネムはネムで、真矢との関係について悩んだまま動けません。
「僕は真矢に甘やかされるのに慣れすぎて、我慢ができないわがままな奴になったのかもしれない。真矢の意識が全部自分に向いてないと許せない傲慢な…」
青い顔でつぶやくネムに、沖野くんは答えます。
「それは違うよ。ホンマの欲張りは真矢くんを独り占めしてしまうこと。それができないから悩んでるんちゃうの?」
直也から真矢の廃人状態を聞いている沖野くんは、思わず真矢に同情して涙してしまいます。しかしネムには「濡れた野良犬みたいになっている」らしい真矢にいまひとつピンときていません。
何よりもネムは、真矢と離れてから1週間は寂しかったけれど、受験が本格的に始まると同時に、他のことを考えている余裕もないほどに仕事に追われていました。
「真矢は楽しいこともいっぱい知ってるし、今は夢中になってることもあるから、今頃はもういつもの真矢に戻ってるんじゃないかな」
病んだ廃人の真矢など想像もできないネムは、さびしげにつぶやくのでした。
受け持ち生徒の合格第一号!
受験も大詰めになり、ネムの生徒たちの合格発表もぽつぽつと出てきます。しかしまだ受験は続くので気は抜けません。受験を控えてナーバスになる生徒のフォローをするのもネムの役目なのでした。
するとネムの大学を受験していた生徒が合格を伝えにやってきました。彼女ともうまくいっているようです。
受け持ち生徒合格第一号にネムが喜んでいると、生徒がネムにもらったお守りを見せてきました。ネムが年始に真矢と行った湯島天神のお守りは、どうやら受験にご利益があったようです。
帰宅すると、ネムは母親に自分の生徒の合格を告げました。母も喜んでくれて幸せなはずなのに、ネムはぽっかりと空いた心の隙間に虚しさがこみ上げてくるのでした。
(心がすり減ることはないけど、嬉しいことも楽しいこともみんな半分だ…)
感想まとめ
病み堕ちしていた真矢が、まだ別れていないという希望だけにすがって、なんとか立ち上がりました。
でもネムの返事次第では、このまま本当に廃人になってしまいそうな勢いです。
ルカとしてはそんな真矢は見たくなかったでしょうね。
病気がちな自分の「体」だと思っていた真矢が、まさか恋人と別れるかもしれないというだけで、こんなにも使い物にならなくなるとは思っていなかったようです。
なんだかんだと世話をしてくれた直也にも感謝しないといけません。
彰の頼みとはいえ、元気のない捨て犬のような真矢を叱咤激励し、シャンプーまでしてくれるとか、飼い主として素晴らしすぎました。
これで真矢の廃人ターンは終わりそうです。ネムの生徒の受験が終わったら、ネムなりに落としどころを見つけて、真矢に会いに行ってくれそうです。
真矢がいないと喜びも楽しみも半分しか感じられないだなんて、ネムにとってやはり真矢は相当大きな存在だったんですね。
次回は4/5発売のマガジンビーボーイ5月号です。
それではまた次回の感想でお会いしましょう。
追記)9巻4話の感想を書きました。
酷くしないで9巻4話 ネタバレ感想 ねこ田米蔵
ねこ田米蔵先生のBLコミックス
酷くしないで関連本
真矢とネムの単行本未収録の甘々な番外編。電子限定コミックスです。
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