世界一初恋「高野政宗の場合」1話の感想です。コミックス15巻のネタバレを含む感想になるのでお気をつけください。

痺れを切らせた高野さんに突き放されたことが尾を引いている中で、高校時代の親友清宮くんからルームシェアを提案されたりっちゃん。

しかし体調を崩したときに優しく世話してくれる高野さんを見て、改めて自分の気持ちを確認します。「勇気を出して好きだと伝えたい」と感じるりっちゃんですが…。前回の復習はこちら。

世界一初恋14巻小野寺律の場合29話 ネタバレ感想 中村春菊

今回は初の高野政宗の場合ということで、高野さん目線のお話です。夏の号は「横澤隆文の場合」との2本立てでした。

それでは以下、中村春菊先生の「世界一初恋」高野政宗の場合1話の感想です。※ネタバレ注意です。

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世界一初恋 高野政宗の場合1話 感想 ネタバレあり


溶けそうだった高校生のりっちゃん


高校生の頃、図書館で告白してきたりっちゃんのことを思い出す高野さん。

「先輩が好きなんです…」

「俺と付き合いたいの?」

本気でそんなことを考えていたわけではなく、その場でなんとなく言っただけの言葉。なのに高校生のりっちゃんは耳まで真っ赤になって固まってしまったのでした。

(なんかこいつ、溶けそう)

おどおどして何も答えられないりっちゃんを見て、高野さんは「溶けそうだ」とそんなふうに感じたのでした。

りっちゃんの言動に期待してしまう高野さん


体調を崩してぐったりするりっちゃんを看病する高野さん。高熱にうなされながら迷惑をかけたことを謝罪するりっちゃんを、優しくフォローします。

ふと高野さんは、部屋に昔の雑誌が積み上げてあることに気づきました。りっちゃんが入社してくる以前に高野さんが作っていた雑誌ばかりです。

(ひょっとして、俺がどういう漫画を作ってきたのか知りたかったから…とか?)

わずかに期待する高野さんは、思わず眠っているりっちゃんに声をかけました。

「お前さ、マジで何がしてーの」

りっちゃんは、高野さんが同じ気持ちだと期待すれば逃げ、引けばまた期待させてきました。

高野さんが許せなかったのは、清宮くんに「高野さんと付き合うのはデメリット」と言われて躊躇したことです。

りっちゃんは、高野さんの知らないりっちゃんの10年を知っている清宮くんに心を許しているのです。それが高野さんの余裕をなくしている一因でもありました。

カッとなったとはいえ、りっちゃんの腕に痕がつくまで掴んでしまったことを、反省している高野さん。

でも高野さんは、りっちゃんが嫌いな相手に何度も抱かれる男ではないと、やはり期待を捨てきれないのでした。

(本当に嫌なら、あんなにも全身で俺に応えようとはしねーだろ)

エッチのときは、中出しされながら首筋を舐められるのが好きなりっちゃんは、高野さんに抜かせないように喘ぎながら思い切り締め付けてくるのです。

りっちゃん自身気づいているのかいないのか、いつも全身を火のように熱くして高野さんを受け入れるのでした。

拒むならいっそ身体だけの関係のほうが割り切れるだろうと言えば、それは違うと言うりっちゃんに、高野さんはほとほと彼がどうしたいのかが分からなくなっていました。

(正しいと言う思い込みで間違った道を行くのなら、それはただの不幸でしかない。間違っているのならやめればいい)

高野さんが距離を置いてただの上司と部下に戻ってみたら、思ったよりも簡単にできました。なのにりっちゃんは、また高野さんを期待させるようなことをするのです。

大学生の頃の高野さんと横澤さん


大学の頃、寄ってくる女性と次々付き合っては別れていた高野さん。

身体だけの関係でもいい、と女性のほうから言ってきたからそうしていたのに、いざそうなると「なんで体だけなの」と逆ギレされてフラれるパターンです。

横澤さんも、そんな高野さんをあきれたような目で見ていました。

「お前のタチが悪いところは、それで相手に恨まれるのを分かっててやってるところだ」

さすが横澤さん、高野さんのことをよく分かっています。

高野さんは大学に入ってから親からの送金も断り、学費と生活費をバイトで賄っていました。親の再婚にもほぼ興味がありません。

ソラ太をかわいがっているのは寂しさの現れだったのでしょうか。。。

桜の時期になると、大学生の高野さんはいつも桜を見上げてうっとおしいと感じていました。

なぜなら高校生だった頃の記憶が、りっちゃんと過ごしたあの日々が、否応なく脳裏によみがえってくるからです。

りっちゃんが突然姿を消してしばらくは、高野さんも思いつく限りの方法でりっちゃんを捜しまわりました。

でもすべてが無駄足に終わり、それでも諦めきれずに必死になって探していた時、高野さんはふと気がつきます。

「俺、何を期待してんの?」

相手にその気があればいくらでも連絡手段はあるものです。人に頼むことだってできます。しかしそれがまったくないということはつまり。

(俺が一人で勝手に盛り上がっていただけ)

そう気づいてからは何もかもがバカバカしくなったのでした。

高野さんがほしかったもの


それまで周囲は勝手に妄想して、自分の理想を高野さんに押しつけくるような人ばかりでした。関わるだけ時間の無駄だし期待されるのも白けます。

ではどうしてりっちゃんとは付き合おうと思ったのか。

高野さんが何気なく言った「俺と付き合いたいの?」という言葉に対して、他の人たちと同じように期待しているのだろうとばかり思っていたのに。

りっちゃんはポカンとして「何で?」という顔をしていたのです。

りっちゃんは、告白して答えを聞きたいとか恋人になりたいとかは何も考えていなくて、ただ単純に純粋に、高野さんを好きだと言いたかっただけなのです。

何も期待しないただただ純粋な好意。それが高野さんのほしかったものです。唯一、ほしかったものをくれたりっちゃんだからこそ、高野さんは付き合おうと思ったのでした。

りっちゃんが消えた後、大学生になった高野さんは桜を見るたびに「早く忘れたい」と願っていました。

やっぱりズルいりっちゃん


物思いにふけっていると、清宮くんが帰ってきました。りっちゃんの部屋に高野さんがいて驚きます。事情を説明する高野さんを、清宮くんは相変わらず敵視していました。

挑発するような清宮くんに、高野さんは大人の態度で接します。

「つか嵯峨さん、マジでこれ以上律を傷つけるのやめて下さい。いつだって律はあんたにふりまわされて結局バカを見る」

「あんたに言われる筋合いはねーよ」

清宮くんを静かに牽制した高野さんは玄関に向かいます。実際、振り回されているのは高野さんのほうなのです。

高野さんが玄関で靴を履こうとすると、なぜか靴の中に高野家の鍵が入っていました。

「俺ん家の鍵握りしめて、何をしようとしてたの」

以前高野さんが「いつでも好きなときに使って入ってくればいいから」と言って鍵を渡したから、具合が悪いことを伝えに来ようとしたのでしょう。

こうやって高野さんを期待させ引き留めるからりっちゃんはずるいのです。高野さんはそのまま鍵を、りっちゃんの靴に入れて返すのでした。

お前、俺の事好きなの


翌日、りっちゃんはマスク姿で出社します。どうやら疲れからくる胃腸炎だったようです。

りっちゃんは会社で高野さんを引きとめ、清宮くんがらみで高野さんに不愉快な思いをさせたことを謝りました。

「会社で話すことじゃないのは分かってます。できれば今度少しでいいので時間をとっていただけるとありがたいというか」

「今言えば?」

もごもごするりっちゃん。高野さんは賭けのように口にしました。

「お前、俺の事好きなの」

高校生だったあの頃とまったく同じ表情で真っ赤になって言葉に詰まるりっちゃん。高野さんも高校生だった頃と同じように思うのでした。

(こいつ、溶けそう)

りっちゃんからにだけ、好きだという言葉を言ってほしくて、また期待をしてしまう高野さん。

(やっぱり俺はこいつが欲しい)

世界一初恋 高野政宗の場合1話 感想まとめ


高野さんサイドの気持ち、嫌というほど分かるなあと思いました。りっちゃんの思わせぶりでちぐはぐな言動は、期待せざるを得ないですから。

惚れた弱みというか、高野さんはどうしてもりっちゃんじゃないとダメなようですね。執着以上のものを感じます。

自分に何も期待せずに好意だけを向けてくるりっちゃんが、高野さんにはまぶしく映ったのでしょう。

同じくらいの愛情を返せとも、付き合って大事にしろとも、りっちゃんは何ひとつ望んでいませんでした。ただただ、好意を伝えたかっただけ。好きだという気持ちが溢れだしただけでした。

そこが高野さんにはドンピシャで刺さったんですね。ほしかった単純な好意を、まっすぐにぶつけてくれたから。そんなりっちゃんを失った高野さんの喪失感も相当大きかったはずです。

大学生になり異性関係が荒れ虚無感にあふれている高野さんを、そばで世話してくれていた横澤さんも大変そうでした。

高野さん、もしかしたら期待した自分に罰を与えるつもりで、相手から恨まれるような異性関係を作っていた可能性もありますね。

りっちゃんに期待などしなければ、こんな気持ちにはならなかったのにと。期待した自分が馬鹿だったと。

それゆえ「もう二度と他人に期待しない」という、自分への戒めもあったのかもしれません。

今回、セカコイ初めての「高野政宗の場合」でしたが、次回以降でりっちゃんに戻って、やっとちゃんと気持ちを伝えられるでしょうか。

ズルいりっちゃんも込みでりっちゃんなのであり、高野さんもここまで待ったのだから、もう最後までじりじりしながら読者と一緒にりっちゃんを待ってあげましょう。

ほんと不憫だと同情しますが、りっちゃんから好きだと言ってもらえるその日まで。あと5年くらい?w

肉体関係はすでにあるんだし、りっちゃんの気持ちはエッチのときにダダ漏れているみたいだし、あとは告白してくれるのを待つばかりです。

ところで世界一初恋の新作アニメ化も発表されました。副題が「プロポーズ編」なのでテレビシリーズではないかもしれないですね。

エメラルド5周年記念の特別企画のようなので、OVAか劇場版でしょうか。思い起こせば5年前、エメラルド発売第1号が全国で売り切れ続出になってザワついたのが懐かしいです。

私は出先で偶然入った本屋さんで見つけて、すごくラッキーだったんですよね。あれは嬉しかったな~。

久しぶりの世界一初恋のアニメなので楽しみです!動くりっちゃん達にまた会えるなんて嬉しすぎます。

テレビアニメの放送が2011年だったから、2020年公開だとして9年ぶり?すごいなあ。

夏の号は「横澤隆文の場合」もあったので、そちらも感想を書こうと思います。

これまで基本的に桐嶋さん×横澤さんは小説版で進行していましたが、今回は漫画になっています。2人でラブラブお花見回です。

追記)桐横カップルの感想を書きました。

世界一初恋15巻横澤隆史の場合1話 ネタバレ感想

次回は2019年12月末発売のエメラルド冬の号です。

それではまた「世界一初恋」小野寺律の場合30話の感想でお会いしましょう。

中村春菊先生のBLコミックス


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