歌舞伎界の高校生御曹司・源介と惣五郎は、いろいろあった後に晴れてカップルになりました。ラブラブな2人は人気演目で再び共演を果たします。
絶好調な惣五郎に対して、自分の殻を破れずスランプに陥って苦悶する源介。大御所の雪之介にも、ことのほかキツくあたられてしまい、源介は密かに舞台裏で凹んでいました。
花恋つらね5巻27話 ネタバレ感想 夏目イサク
花恋つらね5巻 電子書籍
花恋つらね5巻28話 感想 ネタバレあり
一足飛びに成果がでないのが芝居
「お前の芸はつまらない」
父親以外の人からはっきりと否定されたのは初めてだった源介。あれから本番まで、できる限りのことはやってきました。しかし正解は未だ分からないままです。
昔から伝統芸能の世界で生きている源介は、芝居というものの性質上、一足飛びに成果がでるものではないということはよく分かっています。
それでも今、自分の目の前で明らかに成長していく同級生の惣五郎を見ていると、内心焦る気持ちが募っていくのでした。ネットでの歌舞伎評論家たちも、総じて惣五郎の成長をたたえています。
源介の焦りを知らない惣五郎は、絶好調のまま大舞台をこなしていました。最近ずっとご機嫌で、キラキラと輝いています。
惣五郎のいとこである武市さんも相変わらず大人気で、源介の焦りはピークに達していました。
焦りからだんだん追いつめられていく源介
(ここまで人の評価が気になったのは初めてだ)
眠りにつこうとしても、雲之介の言葉が頭をかすめていって眠れません。検索ワードに自分の名前を入れようとしたり、これまでにない焦りを感じている源介。
高校生って感じだねぇ。お前が褒められてるのは若いから評価が甘いだけ。
…などと、よくない言葉だけが頭の中をぐるぐると巡ります。
うとうとしていた源介は、ついに夢で「俺はずっと武兄の相方になりたかった。お前じゃ力不足だ」などと、当の惣五郎に言われてしまい飛び起きてしまいます。
源介は、人知れず追いつめられていくのでした。
舞台当日、源介は悪夢を払しょくしようと惣五郎に甘えます。支度の前に人目のないところに呼び出してハグをする源介。
「ちょっとチャージさせて」
キスをしてパワーを補充する源介に、惣五郎はこたえながらも戸惑います。誰かに見られては大変なことになってしまう、とあわあわする惣五郎を見て、源介は夢が夢でよかったと安堵するのでした。
ただ毎日をこなすだけで成長しているのかは?
源介はこれまで舞台で大きなミスをしたことはありません。細かいミスはあっても、大きなミスはなくソツなくこなしてきました。
反対に惣五郎は、緊張しすぎて出遅れるなどの些細なミスがわりと今でもあり、その都度しょっちゅう浮き沈みしています。
「舞台を失敗する夢を見た」
「そんなのただの夢だよ。お前は大丈夫だろ」
惣五郎は、源介を励ますように口を開きます。
確かに失敗はしない源介。セリフも動きも何百回も繰り返して体に染みついているし、役の解釈も自分なりにあります。
しかし、何が間違いかもわからない状態で、ただただ日々をこなしていくだけで、前へ進んでいるのかどうかがだんだんと分からなくなっている源介なのでした。
惣五郎の評価はうなぎのぼり
そうこうするうちに新春歌舞伎も半分が過ぎ、役者やスタッフが揃っての打ち上げが開催されます。
飲みの席では、もっぱら惣五郎に色気が備わってきたことで盛り上がっていました。惣五郎も褒められてまんざらではありません。
雲之介に厳しく指導された役者陣は、すでにそれを笑い話として話すことができていますが、源介はとてもそんな心境にはなれませんでした。
さらに、武市と惣五郎のカップルがお似合いだと盛り上がる役者たち。話をふられた源介も「2人のハマり方がすごい」と笑顔を作るしかないのでした。
惣五郎は飲み会終わりに、源介の兄蔦丸から、源介が家で元気がないと聞いて驚きます。
蔦丸は、当然、雲之介に厳しいことを言われたからだと気づいていました。しかしこういう時は、まわりに励まされてもあまり意味がありません。これは役者として、自分で乗り越えるしかないことなのです。
たったひとりで帰宅する源介は思います。
(今までずっと、それなりに頑張ってたら、たいていのものは手に入った。だから惣五郎の相方にだって、いつかはなれるんだって疑ったこともなかったな)
俺のライバルの孫だから
公演の途中で、雲之介が舞台を見に来ていました。舞台裏でばったり会った源介は、雲之介にあいさつをします。何を言われるかと構える源介ですが、雲之介は意外とあっさりと去って行こうとしました。
源介は思わず引き留めて、おそるおそる雲之介に自分の舞台について聞いてしまいます。
雲之介としては、源介の胸中を考えて、すべて公演が終わってから伝えようとしていました。しかし本人が望むので、今舞台を見て感じたままのことを答えます。
「まだまだ全然だな。全く足りない。心も熱も、稽古した日から何も変わってねえな」
ばっさりと斬られた源介は、さすがに沈んだ表情を見せました。
それを影からそっと見ていた惣五郎は、雲之介に声をかけます。
「なんであんな言い方するの?おじさん、なんか源介に意地悪だ」
「たしかに俺はあいつに意地悪をしてる。役者として別に嘘のアドバイスはしてないが、かなり感情で物を言ってるしな」
「そうなの?なんで??」
「俺のライバルの孫だから」
その源介は、このところ舞台が終わってから惣五郎に挨拶もせず、ひとりで苦悩しながら自宅に戻る日々を送っていました。
花恋つらね28話 感想まとめ
ほとんど挫折知らずでここできた源介にとっては、役者として一皮むけるかの正念場ですね。源介がこのまま闇堕ちとかしないといいのですが。
悩みすぎて舞台で大ミス(考えるだけで怖い)とかしないことを祈ります。これまでの実績とかもあるから大丈夫だと思いたい。
ネットの評判を気にするのも、現代の役者ならではの悩みなのでしょう。うら若き高校生御曹司だなんて、ネットでは良くも悪くもかっこうのネタになってしまいます。
それに、雲之介おじさんの源介へのアドバイスもかなり抽象的で、具体的にどうすればいいのかが全然分かりません。混乱する源介の気持ちはすごくよく分かります。
とはいえ芝居というものは、正解がないのが正解というとても難しい世界です。源介が自分自身で手ごたえを掴んで、自分なりの正解を見つけるべく、これから生涯をかけて切磋琢磨していくしか道はありません。
惣五郎も、なんとか源介の力になってあげたいと思っているようです。しかし惣五郎にできることは、今のところほぼないような気もします。
自信喪失している源介にたまに会って、軽くスキンシップをとって少しでも安心させてあげることくらいでしょうか。
スランプに悩む源介が、どうにかして乗り越えていくのを見守っていきたいと思います。
次回は7/13発売のディアプラス8月号です。それではまた次回の感想でお会いしましょう。
花恋つらね5巻30話 ネタバレ感想
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