千葉兄弟の喧嘩のいきさつが明らかになり、リュウくんはゲームのお披露目会で殴ってしまった相手に、頭を下げて謝罪をしました。
いっぽう航平は、母親から「自分の人生の主役は自分だから遠慮ばかりしてちゃだめ!」と喝を入れられます。前回の復習はこちら。
ひだまりが聴こえるリミット3巻14話 ネタバレ感想 文乃ゆき
それでは以下「ひだまりが聴こえるリミット」15話のネタバレ感想です。
ひだまりが聴こえるリミット3巻 電子書籍
ひだまりが聴こえるリミット3巻15話 感想 ネタバレあり
崔さんの元彼女の現在は…
学生時代、リュウ君が学校でぼんやりしていると若い女性の先生がやってきます。手話で「どうしたの?」と聞いてくる先生に、リュウくんも手話で答えました。
「誰かを犠牲にしないと幸せになれない世界なんてクソだなって」
思わずふっと微笑んだ先生。それをリュウくんは見逃しませんでした。
「何?」
「んー若いなって」
「それは先生が年くってるだけ」
耳を引っ張られるリュウくんw教師と生徒としての良い関係が見て取れます。先生は自分の若い頃の話を聞かせてくれました。
昔とても好きだった人がいたこと。でもその人の時間を奪ってまで幸せになる権利が自分にあるのかと悩んだこと。まだお互いに子供だったから、いろんな可能性を考えてしまったこと。
「でも出会わなければよかったとは思わなかった」
先生は今でも、その彼が大学で初めて話しかけてきてくれた日のことを覚えていました。周りの人が遠巻きに見ているなか、つたない手話でぎこちなく挨拶をしてくれた彼のことを。
「あの人が私にくれたのは、それこそ言葉ではうまく表現できないような、宝物のような気持ちだったの」
「いつかまた会うことがあったら、ちゃんと謝ってお礼を言いたい。出会ってくれてありがとうって」
その彼とは、実は太一の会社の同僚の崔(さい)さんだったのでした。うわあああ、崔さんんん!(涙)
千葉さんのこと目標にしてもいいっすか!?
太一の会社では崔さんや千葉さんたちが、障害者疑似体験の研修会を開いていました。自分の会社にいる障碍のある人への対応を学ぶための研修会です。
2人1組になって、1人が視覚や聴覚をふさぎ、もう1人が介助役となって一緒に歩いてみるというシンプルな体験から始まります。太一も障碍者の疑似体験をすることになりました。
視覚を遮られて、ほんの少しの段差につまづいたりして、だんだん怖くなる太一。しかしそこへ、千葉さんがとても上手にアテンドしてくれて安心感を覚えます。
目や耳の不自由な人は、圧倒的に情報が不足しています。そのため、介助者はできるだけ具体的に、周囲の状況を説明する必要があるのです。
最初の体験後、太一は目を輝かせて千葉さんのところへ駆け寄りました。
「俺、千葉さんのこと目標にしてもいいっすか!?」
まっすぐな太一にたじたじな千葉さん。珍しく照れて周りの人たちに笑われていますw
こういう体験は、あくまでも疑似体験でゲームのようなもの。怖いと思ったらすぐにやめて自分の人生に戻ることができます。
でもそうして置き去りにした世界も、誰かの日常なのです。そしてその日常を大事にしている人がいます。
「目を向けるのも向き合うのも、他人が決めることじゃない。俺達にできるのは、ただこうして考えるきっかけを作ることだけだ」
千葉さんの言葉には、自分でこういった世界と向き合うことを決めた人の覚悟がありました。
俺は人工内耳はつけません
太一は研修を受けながらずっと考えていました。
(この研修が終わったらあいつのとこに行って絶対話をする。拒否られても俺は、あいつの気持ちが知りたい)
航平に会いに行くと決めた太一。いっぽう航平は、手話サークルに久しぶりに顔を出していました。そこには航平のファンらしき女の子たちもいます。
文化祭の手話講習会で航平を見て一目ぼれをしたらしい1年生の女の子たち。航平は「ほとんど話したこともない人をなんでそこまで想えるんだろう?」と素朴な疑問を感じていました。
(俺の中身なんて知ったら、きっと幻滅するんじゃないかな)
ネガティブ思考になっている航平に、1年生の女の子が話しかけてきます。
「先輩はどんな曲聴くんですか?私も音楽好きでー」
きゃっきゃと話しかける1年生女子は、航平の補聴器をイヤホンだと思っていたのでした。航平が普通に会話をしているから全く気付かなかったようです。
「大変ですね。私だったら音楽聴けなくなったら死んじゃう!」
女の子の悪気ないひとことに、掌を握りしめる航平。太一の声が聴こえなくなったら?そんなことがふと頭をよぎったのでしょう。
そんなことがあった後、航平は病院で医師に告げました。
「俺は人工内耳はつけません」
病院の帰り道、航平は曲がり角でおじいさんとぶつかりました。
「ちゃんと前見て歩けよ、兄ちゃん」
舌打ちするおじいさんの顔を見て、航平は思わず「太一の…」と声をかけました。
感想まとめ
冒頭から崔さんの元彼女が出てきてウルウルしてしまいました。
崔さん、あなたが大事にしていたあの彼女、あなたに感謝しながら今も元気に暮らしていますよ。そして案外身近なところにいますよ!
この2人を再会させてあげられないかなあ。大人になった今なら、きっとまた違った道を2人で一緒に選べるはず…!
そして今回、千葉さんが今の会社に入社するのことを自分で決めたということが、彼の言葉の端々から伝わってきました。
弟であるリュウくんをきっかけに、障害のある人の世界に向き合う道を自分で選んだということですよね。それをリュウくんは今も自分のせいだと誤解しているという。
太一は航平に会いに行くと心を決めたようなので、あとは航平が遠慮ばかりせずに本音や自分の気持ちをぶつけられるかどうかです。
ネガティブな航平もそろそろ殻を破るときでしょう。欲しいものは欲しいと言わないとね。航平ママが言う通り、自分の人生の主人公は自分なのだから。
ラストには、図らずして航平が太一の唯一の家族と出会いました。
まさかおじいさんも、ぶつかったイケメンが孫の彼氏(今微妙な関係だけど)だとは夢にも思わないでしょうが、これでお互い家族に紹介ずみってことで(違)
おじいさんと航平はいったいどんな話をするのでしょうか。
っていうかおじいさん、薬をもらっているということは、やはりあまり具合がいいとはいえないってことですよね。前に変な咳をしていたし心配です。
ところで手話サークルの女の子は、悪気なく放った言葉でしょうが、何気ない一言が人を傷つけるんだということがひしひしと伝わってきました。
悪気がないというのが曲者で、誰にも指摘されなければ、彼女はきっとずっと気づかないままでしょう。
私自身、これまで誰かを知らず知らずに傷つけてきたかもしれないなと、自らを省みてしまいました。
たったひとことの言葉の重みが、誰かの心をえぐったり、その人の人生の呪いともなりかねないのだと肝に銘じなければ。
それには学ばないといけないですね。いろんな世界を見て知って学んでいく。生きている間中ずっと。BLから学ぶこともたくさんあります。
こういういことを考えるたび、このひだまりシリーズは、BLの枠に留めておくにはもったいない作品だと思います。
BL枠を飛び越えて、もっともっとたくさんの人に読んでほしいです。
次回「ひだまりが聴こえるリミット」16話は10/28発売のCanna68号です。
それではまた「ひだまりが聴こえるリミット」16話の感想でお会いしましょう。
追記)16話の感想を書きました。
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